BOAT RACE ビッグレース現場レポート

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THEピット――曲者の表情

 

 

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 2Rの1マーク。競技棟1階ロビーで見ていた選手たちから悲鳴があがった。インコースの菅章哉が転覆。インコースの転覆は後続を巻き込む危険性も高いので、一瞬緊張が走る。これが、手前からボートが浮くようなかたちで流れながらの転覆となったため、3号艇が少しかすめたようにはなっていたものの、ほぼレースには影響しない転覆となっている。まずは安堵の空気が流れる。

 菅自身にもケガはなさそうだった。レスキューはレースが終わるまで帰ってこなかったし、戻ってきた菅は走って着替えに向かっている。救護室に向かう様子も皆無だった。転覆整備に駆けつける際には笑顔も見えており、一安心。予選突破は相当に厳しい状況となってしまったが、一矢報いる走りを期待したい。この人もけっこう“曲者”ですからね。もう失うものはないと、思い切っていろいろやっちゃってほしい。

 

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 3R、スタート展示はエンジン吊りに出てきていた選手たちの注目の的となっていた。5号艇・西山貴浩。6号艇・西川昌希。正真正銘の曲者が外枠に入ったのだ。スタート展示は、西川が2コース、西山が4コース。西川は後付けっぽい入り方でしたね。見ていた某O選手が「曲者軍団って、ようするに前付け軍団っすね。強盗軍団」と大笑いしていた。

 因縁のニュージェネがそんなふうに見るなか、本番はどうだったかというと、これがまるで動かず(笑)。4号艇の竹井奈美がピット離れで後手を踏んだ分、ひとつずつ内には入るかと思われた、竹井が回り込んでコースを取り返しにいったため(小坂尚哉が入れて3コースに)、結果は枠番通りの5コースと6コース。Oさん、前付けしませんでしたね(笑)。ようするに、ヤリのヤラズ、ですか。やっぱり曲者である。

 

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 しかし、この作戦はまるで奏功せず、着順も枠番通り。さすがに西山も西川も悔しさを隠せなかった。西山は一人になると顔を歪めていたし、西川も山口達也と話しながら微笑を浮かべたが、目がまったく笑っていなかった。いろんな意味で、悔恨がたっぷり残るレースとなってしまった。これをふまえて、今後はどう戦っていくのか。山口も含めて、引き続き注目しよう。

 

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 で、まさかの浅い起こしになった1号艇の宮地元輝は、山田康二に出迎えられて、まず苦笑い(笑)。逃げ切り勝ちとなったわけだが、やはり意外な状況が起きたことが表に出たか。その後は山田とともに、ニコニコニコニコとエンジン吊りを進めていて、快勝という手応えはあったようである。これで2勝目、かつオール2連対。昨年は優出している宮地、今年もその予感がひしひしとしてくる予選前半戦である。この人も案外“曲者”だからなあ。何を見せてくれるのか楽しみだ。(PHOTO/中尾茂幸 TEXT/黒須田)