BOAT RACE ビッグレース現場レポート

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THEピット――順当!

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 今日の終盤は順当決着ラッシュであった。9R湯川浩司、10R赤岩善生、11R吉川元浩、12R池田浩二と、SG覇者の1号艇がしっかり逃げ切り。中盤の範囲ではあるが、8Rの濱野谷憲吾も逃げ切り勝ちである。銘柄級がきっちりと逃げ切ったレース後は、どちらかといえば淡々と空気が流れる。勝者からは、安堵だったり、他選手への気遣いだったり、あるいは勝って当然の枠番ではしゃぐわけにはいかないという美学だったりで、歓喜を大爆発させたりはしないから(優勝戦などは別)、派手なアクションが見られるわけではない。それがレース後の空気をやや落ち着いたものにさせるわけである。写真はなかなか象徴的で、勝者の湯川が表情を変えていないのに対して、後方で山川美由紀と平本真之の外枠勢がレースを笑顔で振り返っている。内コースですんなり決まるようなレースでは外枠に出番が生まれないケースも少なくないから、むしろ外コースの選手のほうが苦笑混じりで豊かな表情を見せたりするわけである。

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 10Rは赤岩善生、菊地孝平(二人は同期)、毒島誠(菊地とは公私ともに仲がいい)という心安い3人が上位争い。ということもあってか、3人はピットに戻る前、ボートの上でも言葉を交わしていた。常滑では、レースを終えた艇がピットに戻る際には出走ピットや展示ピットを横切ることになるわけだが、その引き波に展示艇が影響を受けるのを避けるために、6艇はいったんバック側の2マーク奥で艇を流して待機し、展示航走がピットアウトしたあとにデッドスローでゆっくりとボートリフトへと向かうことになる。3人が会話をしていたのはまさにその間であって、右手を掲げてレース後の挨拶のようなアクションも見られていた。

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 それでも、陸に上がればもういちどご挨拶。3人は歩み寄って、頭を下げ合ったり、右手を掲げ合ったりしていた。それが選手間の礼節ということなんでしょうね。もちろん、それぞれ他の3名に対しても同様であった。

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 11Rは寺田祥と徳増秀樹、柳沢一が逃げた吉川の2番手を争う展開。しかし2マーク、外マイを放った徳増の艇に寺田が軽く接触。徳増が後退している。寺田が弾き飛ばしたわけではなく、軌道が少々重なってしまったといった感じだった。

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 帰還し、ボートリフトに乗り込んだ徳増は、中2艇挟んだ場所にボートを乗せた寺田に「ショー!」。まさか、クレームが入るのか……。「ごめーん!」。こっちも接触しちゃって悪かった、という感じか。ところがそのとき、寺田は吉川と話し込んでいて、徳増の声が届かず。呆然と寺田を見つめながら、ボートリフトは浮揚していくのだった(笑)。
 もちろん寺田は無視していたわけではなく、陸の上ではノーサイドとばかりに、笑顔でレースを振り返り合っていた。遺恨などいっさい残ってはいないのである。

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 それにしても、12Rを逃げた池田浩二のレース前は気合が入っているように見えたなあ。地元中の地元のSG、今節は気持ちの入り方が違うのは当然であるが、1号艇はどんなことがあっても取りこぼせないという決意のようなものが見えた気がする。今日は連勝。外の攻めにハマって大敗、という危険性もある明日の2号艇がひとつの試金石となるだろう。明日も怖いくらいの迫力を見せる池田浩二に会えそうだ。(PHOTO/中尾茂幸 黒須田 TEXT/黒須田)