BOAT RACE ビッグレース現場レポート

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平和島クラシックTOPICS 2日目

大技・一本勝ちラッシュ!

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 初日は万舟一発のみだった無人の平和島水面に、「まくり万舟」の打ち上げ花火が4発も飛び出した。真っ先に讃えたいのは6Rの平高奈菜だ。このレースは⑤吉川元浩13号機に注目が集まった(もちろん私も!)が、その吉川をガッチリ受け止めての4カドまくり。コンマ08まで踏み込み、強引に内3艇を絞め込むという超男前な大金星だ。柔道で言うなら「小外刈り一本!」てな感じか。

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 昨日の平高は3コースからしっかり捌いて2着ゲット。センター枠の2戦を終えて9・00=予選2位は天晴れと言うしかない。もちろん、明日からはSG百戦錬磨の兵どもがさらに目の色を変えて襲い掛かることだろう。平高37号機のパワーにしても、昨日は「出足系ランキング」の末席に加えたが、良くて中堅上位までか。今日の金星もスタート勝ち、ギリギリ締めきっての勝利で機力的にはむしろ劣勢だったかも知れない。
 残り3戦(おそらく1号艇なし)、どこまでこの“貯金”を活かして準優圏内に踏みとどまるか。ちょいとネガティヴな見立てで申し訳ないが、できればしっかり着をまとめて準優の好枠をゲットしてもらいたい。去年の秋、男女混合戦を連続で制した女傑の底力に期待しよう。

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 続いての大穴ヒーローは、4Rで2コースから伸びなりのジカまくり=3連単544倍!!を決めた下出卓矢。深い意味はないが「背負い投げ・一本!」としておこう。まあ、このレースもスタート勝ちなのだが、スリットから飛び出すやいなや、しゃくるしゃくる!! 兄貴分(?)の今垣光太郎も真っ青の悶絶しゃくりまくり。前節の三国・優勝戦でも4カドからゴリゴリしゃくっていたが(まくりきったところ、古結宏のマーク差しを喰らって準V)、とにかくこの男のレースは観ていて飽きることなし。昨日も書いたように「瞬き厳禁!」のリーサルウェポンなのである(昨日は下出-全-全を買っていたのに、この2レースはスルー。ワシの馬鹿!)。

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 後半10R、下出は新たな切り札を繰り出す。チルト2度!! 昨日の6号艇は1度に抑えた(まだ伸び型に特化できなかったか)が、今日の調整で「跳ねればまくりきれる」との手応えを掴んだのだろう。展示タイムも6秒65の猛時計を叩き出し、完全に「下出フェスティバルモード」に突入したようだ。実戦は、最アウトから「大外刈り」を狙ったものの、5コース池永太のブロックを超えきれずに大技不発。それでも、ゴリゴリと攻めの姿勢を貫いて3着をもぎ取った。この変幻自在の超個性派には、18位で構わないから是非とも予選を突破してもらいたい。そこでの切り札は、もちろん問答無用のチルトMAXを想定しておきたい。おっと、その前に、明日の下出は2R3号艇じゃないっすか!? 外から前付けに動きそうなムードもなく、ならば切り札は……言うまでもないだろう。

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 後半になってもまくりの一本勝ちは続く。7Rは福岡のクセモノ西山貴浩が3コースから絶妙なタイミングの全速ツケマイでインの太田和美を撃破。敵の意表を突く「巴投げ・一本」で188倍の万舟をこじ開けた。
「伸びを求めたけど、エンジン的に無理そうなので出足型で勝負します」(勝利者インタビュー)
 2日目でガッチリと方針を固めたニッシーニャ。明日以降も神出鬼没の勝負手に注意を払いたい。

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 それからそれから、11Rの永田秀二も鮮やかすぎる3コースまくり一撃。深い意味はないけど「背負い投げ・一本!」。永田は前半5Rでも大外6コースから果敢なまくりを見せている。その猛攻は4コース石野に弾かれたが、何かしら一発やりそうな不気味なムードをぷんぷん漂わせていた。この11Rはインの柳沢一より遅いスタートから、獲物に襲い掛かるようなツケマイで嬉しいSG水神祭。近況の勝率で8点を超える絶好調男だけに、「一発屋」で片づけるのは早計とお伝えしておこう。

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 なんとなく柔道ネタでここまできたので、「技あり」もひとつ。5R3周1マークの白石健×上平真二の3着争いだ。その手前のホーム直線、外から2艇身ほど先行する白石は確固たる主導権を握るために内へと締めはじめた。ほぼ同時に、上平も外へと持ち出して内外が入れ替わる。で、白石が上平の位置を確認して前を向いた瞬間、上平は一気に内へと潜り込んだ。ターンマーク直前、白石がそうと気づいた時には2艇の体は完全に入れ替わっていた。教科書に載せたいような切り返し、一撃。「小股すくいで技あり、3着」とでも言っておこう。しつこいか(笑)。残念ながら、この老獪すぎる名人芸はVTRの枠内に残っていない。無観客レースの哀しさで、このシーンを現場で観た客がいたらば「うむむ、上平、あっぱれ!」と惜しみない拍手を送ったことだろう。リプレイ観戦される方は、そんな“水面下”の攻防を想像しつつ、両者の着順の入れ替わりをご覧いただきたい。

今日の元浩13号機
3着→2着で明日こそっ!?

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 うーーーーーん、今日の吉川元浩13号機も、期待したほどの超抜パワーではなかった。5号艇の前半6Rは、前出・平高の4カドまくりにコンマ05で連動しつつ、インから残した濱野谷憲吾を捕えきれずに3着まで。3号艇の後半10Rは3コースから豪快な全速まくりでイン池田浩二に襲い掛かったが、惜しくも引き波にハメるに至らなかった。5号艇3着&3号艇2着。もちろん悲観すべき成績ではないものの、本来の13号機のパワーならひとつずつ着順を上げられた気がしてならない。

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 ただ、昨日の懸念材料だったターンマークごとのバタバタは、かなり解消されたように見えた。出口からスッと押して行くレース足も上々。10Rの展示タイムもチルト2度の下出卓矢に迫る6秒68で、パワーアップの片鱗を見せはじめている(13号機の調子の良し悪しは、展示タイムにかなり反映されるのです)。ドリーム5着から3着→2着ときて、明日は9R6号艇の1回走。簡単に1着が奪える枠ではないが、13号機の底力と元浩の剛腕を信じて明日もアタマ決め撃ちで買うつもりだ。ゲンコー、よろしくっ!(photos/シギー中尾、text/畠山)