BOAT RACE ビッグレース現場レポート

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下関メモリアルTOPICS 4日目後半

 7Rで予選トップが決まった勝負駆けデー(速報参照)。8R以降も、私なりのハイライトと思われる部分を抽出してお伝えしよう。

【8R】王者がミラクル復活!

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 既報のとおり、前半の4カドまくりで息を吹き返した松井が3号艇で再登場。3コースからまくり勝ち連発とはならなかったが、1マークまくり差しで3、4番手に付けて1周2マーク~2周1マークの絶品ターンで3番手をキープ。そのまま必要条件の3着でゴールを通過した。

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 6・00ながら2勝の価値が高く、レース終了時点で12位にランクイン(18位まで6・00がずらり7人並んでその先頭)。この時点で準優の当確ランプが点った。減点10点のハンデを克服しての予選突破は、もちろん勝負駆けのMVPに指名していいだろう。結果論だが、昨日の減点がなければ7・67で予選2位=準優1号艇。裏を返せば、今節の松井64号機はそれだけのポテンシャルを秘めているわけで、5号艇の明日は「隠れ1号艇」という言葉を念頭に置いたほうがいいだろう。
 それから、このレースでイン逃げを決めた赤岩善生は5・80で暫定18位にランクアップ。背筋の寒いボーダーラインではあるが、微かな望みとともに残りの4レースを待つ身となった。

【10R】絶対エースの底力

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 準優へ4号艇で③着条件まで追い込まれた石渡鉄兵が、4カドから展開を作って鮮やかに抜け出した。スリットは2コース魚谷智之がやや凹んで他5艇はきれいな横並びに。そこから11号機のパワーでグングン伸びた石渡が気合の絞めまくり。が、カド受け平高奈菜の伸び返しもなかなかにゴキゲンで、石渡を受け止めての先制攻撃だ。その男前なアタックを横目に、石渡はいったんスピードを緩めてからの鋭角なマーク差し。自力で攻めた平高の内に舳先を捩じ込み、予選突破のみならず準優の好枠へと突き進んだ。
 石渡11号機の予選成績は6・80で8位。絶対エース機として物足りないか充分かは意見が分かれるところだが、舟券的にはセンター枠がもっとも面白いパワーだと思っている。明日は自慢のストレート足に磨きをかけて、スリットから自力で攻めたてるレースを魅せてもらいたい(最大の不安はやや頼りないピット離れ、スタート展示で要チェック)。
 このレースでは菊地孝平vs中野次郎が火の出るような3着争いを繰り広げたが、3周1マークで絶妙な切り返しを見せた菊地が逆転の3着をもぎ取った(7・20暫定4位)。で、この4番手→3着が40分後に驚くほど大きな役割を果たすことになる。

【11R】まさかの失墜

 このレースの準優勝負駆けは【1号艇の馬場貴也が①着、5号艇の吉川元浩が⑤着】と2人だけに絞られたが、馬場が逃げて吉川がまくり差しての鮮やかなワンツー決着! 予選5・80で結果待ちだった赤岩は、馬場と入れ替わる形で次点へと押し出された。

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 このレースでも、やたらと目立ったのは吉川のレース足だった。5コースからずんずん伸びて内艇を叩きながらのまくり差し。この引き波を超える迫力が素晴らしく、インの馬場まで捕えきるかという勢いだった。うーーん、42号機は三島敬一郎リストのAランク(短評は「初下ろしから良かった直線系。夏バテも一切無し!」)だから気にはしていたのだが、これほどの鬼足とは思えなかった。それが、今日は1Rから鬼気迫るオーラを放ち、この11Rも含めてAランクでは収まらない抜群パワーと言うしかない。よほど今日の気象・水面がマッチしたのか、それとも元浩が完璧に仕上げきったのか。もちろん、後者だとしたら、明日の準優でも人気の1号艇を強烈に脅かす存在になるだろう。それがたとえ寺田祥だとしても。

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 そしてそして、このレースには大きな“番狂わせ”が潜んでいた。昨日まで9・50で「トップはともかく、準優1号艇は間違いなし」と見ていた峰竜太が、前半7Rの6着に続いてこのレースも見せ場なく5着大敗……2走連続で這う峰を見るのは、いったいどれくらいぶりだろうか。2走でわずか3点しか稼げなかった峰は6・83=予選7位まで失墜。今節の相棒34号機は峰本人も「足は中堅か上位の次くらいで大したことはない」と値踏みしていたが、その悪い部分がまとめて出てしまったのか。とにかく、急転直下のリズムで準優に臨むのだから、「SG連覇に黄信号」と思って良さそうだ。

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 代わって予選3位に繰り上がり、準優1号艇のチケットを掴んだのは菊地孝平だった。そう、10Rでの3周1マークでの逆転の切り返しが、ここで大きくモノを言ったのだ。菊地21号機はこれといった特長は感じないが、初日から「全部の足がしっかり上位でまとまったバランス型」と見ている。インコースから得意のデジタルSを決めれば十分に勝ちきれる足で、この1号艇を得た価値はかなり大きい。パワー面では、峰34号機よりも信頼できる白カポックとお伝えしておこう。(photos/チャーリー池上、text/畠山)