BOAT RACE ビッグレース現場レポート

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THEピット――戸田の風

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「ちょっと逃げてくるわ」

 by森高一真。

 逃げとらんやないか~い! などと言ってはならない。ここは戸田なのだ。そして、今日はイン選手にとっては、なかなか厄介な展開が続いている。

「ちょっとコンディションが難しいけどな」

 森高はそう付け加えて、展示の準備へと向かったのだが、難しいコンディションとは、風。発表を見ると2~3mとなっているが、実際は強くなったり弱くなったりで一定しない。しかも、風向までちょいちょい変わっており、いわゆる風が舞った状態。そんななかでコンマ15のスタートを決めている森高を責めるのはちょっとかわいそうな気がする。

しかも、外がさらに早いスタートを決めているのだ。

 

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 丸岡正典も同様だ。2Rで丸岡は、インからコンマ12のスタート。この状況では好発と言っていいだろう。しかし、ダッシュ勢のスタートがもっとすごかった。4カド川﨑智幸がコンマ03、5コース鈴木勝博はコンマ01、6コース松尾昂明はコンマ05。戸田でこの隊形になると、インは苦しい。

「めちゃ早かったっすからね~」

 レース後の丸岡は思わず顔をしかめていたが、その気持ちはよくわかる。

 

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 ちなみに、川﨑智幸は「あんなに早いとはね~(笑)」と勘通りのスタートというわけではなかったようだ。この風はもちろん、ダッシュ勢にとっても厄介なもの。今日は風を制した者が優位に立つ流れとなるだろう。ならば、インの弱い戸田だから、1~3Rでインが連敗するのも不思議ではない……などと書いてたら、5Rは6コースが1着! 7マンシュウ! 舟券的にも、風を制した者が……ってことか。

 

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 さて、整備室を覗くと、市川哲也が今日も本体整備。開会式で「エンジンは厳しい」と言っていたが、ピットに戻るとさっそく整備室にこもったというわけだ。10R1回乗りと、時間はそれなりにあるので、今日は徹底的にモーターと向き合う心づもりだろう。

 

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 整備室には、瓜生正義、重野哲之、田村隆信、濱野谷憲吾の姿も。そう、ドリーム組だ。12R1回乗りとなるドリーム組が、公開インタビューを終えると本体を整備、点検するのはよくある光景。時間はたっぷりあるから、本体をバラしたりする余裕もある。組んだりバラしたりで時間がかかる本体整備を落ち着いてするにはもってこい、なのだ。もちろん、部品交換までやっているかどうかは別の話。点検だけという可能性も高いし、瓜生は3日目や4日目にそれをしていたりする。実際、大掛かりな整備をしている様子は、瓜生、重野、田村にはなかった(重野は3R前には試運転の準備も始めている)。

 

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 ただし、濱野谷だけはかなり入念な整備に見えており、直前情報はぜひともチェックしてほしい。ともかく、ペラ調整主体の濱野谷が本体を調整しているのはなかなか珍しいことであり、そして実は最近は時折見かけるようになった光景である。

 

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 ドリーム組のなかで、勝野竜司だけは早いうちに着水していて、1R終了後には係留所へと降りていく姿があった。その後、いったん陸に上がってモーターを外すと、整備室へ。さっそく本体を取り外していた。ただ、勝野が触ったのはキャリーボディー。中からマフラーを取り外していた。おっと、最近流行のマフラー洗浄か。布で拭いている姿だけは見かけたが、その後はキャリーボディー内も拭いていたから、それをマフラー“洗浄”と言っていいものかどうかはなんとも、といったところだ。

 

 え? 池田浩二? ペラ室でした。今日の午前中のペラ室は、やけに閑散としていて、覗いたときには池田と横澤剛治しかいなかった。もっともその頃、水面は大賑わいであって、まずは手応えを得るために試運転を、という選手が多かったわけである。そんななかで、やけにゆったりと動き出した松井繁、ってのもちょいと気になったのだが。(PHOTO/中尾茂幸 TEXT/黒須田)