BOAT RACE ビッグレース現場レポート

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浜名湖・笹川賞TOPICS 3日目

ダッシュ帝国の逆襲

 

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 やっぱ、「正統・ボートレースの華」といえば4カドまくりですな。

 

まず、寺ショーが!

 

 初日1Rから25レース全敗中だったダッシュ勢が、3日目2R、ついに覚醒した。5号艇ながら俊敏なピット離れで4カドを得た寺田祥が、コンマ12全速発進。半艇身ほど覗いたスリットから一気に絞りはじめ、カド受けの田口節子を蹴散らすようにしてまくりきった。

「寺ショーーーーーーーッ!!!!!!!」

 半ば、完全に諦めきって寺ショーのアタマ舟券を買っていた私は、耳から脳みそをはみ出させながら絶叫したものだ。結果は、配当が安すぎて嫌った5-4……それでも、今節はじめてのスリットシャウトで、溜まっていたフラストレーションを一気に解消できたぞ。

 

光ちゃんが、栄蔵が!!

 

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 この寺ショーの痛快カドまくりで、シリーズの空気が一変した。続く3R、同じく4カドの今垣光太郎が、ブイ際をくるり小回りしてバック併走。最内からモコモコモコモコと地味に伸びて2マークを先取りしてしまった。昨日まで、どうしても届かなかったダッシュ勢のまくりや差しが、こうも鮮やかに決まるとは……ボートレースっていうヤツは、本当にわからないし、奥深い。

 後半戦の7Rでは、やはり4カドの辻栄蔵が3コース笠原亮とゴリゴリやり合いながら、力ずくで1マーク先制。たまらず真横に流れたものだが、後続の5艇もすべて接触や振り込みなどで失速、バックでは悠々の一人旅を決め込んだ。フツーならズボズボに差されてしまう、超無理筋の競りまくりだったぞ。流れというのは恐ろしい。

 

そして、坪井が……!!!><

 

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 さらにさらに、続く8Rでは、最アウト坪井康晴のブイ差しが炸裂。2コース西島義則と3コース松井繁の大競りで、ぽっかり開いた亜空間スペースに舳先を突っ込んだ。が、バック前半は、まだ先マイした山口剛の方が1艇身ほど優勢だった。前検から山口にこだわり続ける私の舟券は、山口-坪井-全の決め撃ち。今日一番の勝負舟券だ。1マークでは西島が転覆、松井も脱落して、残る3着候補2艇はどちらも人気薄。1-5-3なら今晩は料亭のうなぎコース、1-5-4なら弁天島温泉で芸者とかっぽれコースが約束される。

 

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 運命の2マーク、内からぐんぐん伸びた坪井が先マイし、山口が開いて全速差しに構える。転覆があったから、この攻防で雌雄が決する。

「山口、舳先突っ込めーーーーーーーーーーーーッ!!!!!!!」

 記者席中に、脳汁が飛び散った。が、坪井のパワーは、ケタチすぎた。山口自慢の回り足を、まるで寄せつけずに2艇身突き放す。不振に喘ぐダッシュ勢に同情し応援し続けてきた私だが、6コース差し抜けはやり過ぎでしょ、坪井クン!!>< つか、あの悶絶パワーは反則でしょっ!!!!

 

 ってなわけで、喉が枯れるほど叫び、その叫びがついぞ報われることのない1日だった。でも、まったくの無駄なシャウトだったとは思わない。今日の勝利コースは、②④④①③④⑥③②①①。どこでも何でもありの面白い1日を、何度かの叫びとともに堪能できた(←負け惜しみですか、はい)。

 

独断のパワー診断

 

 シリーズの折り返し地点ということで、私なりのパワー番付を整理しておく。もう、バレバレですけどね。

 

★節イチ候補BEST6

 

①坪井康晴…出S行S伸SS

 全部が抜群で、特に行き足~伸びが凄い。今日の山口との2マーク攻防で、はっきり優劣が見て取れた。総合力でいうなら、ほぼ間違いなく節イチだ。

 

 

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②井口佳典…出A行S伸SS

 初日から伸びはトップ級。ただ、今日の展示タイムが一息だったのが、少しだけ気になる。レースを見る限りは、何の変化もなさそうだが……。弱点があるとすれば、回り足か。

 

 

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③松井繁…出A行S伸SS

 井口によく似たパワーで、特に伸びが強い。スリットからその伸びを持て余している印象もあるが、すんなり出切ってしまえば圧勝が可能な足。

 

 

④白井英治…出S行S伸S

 高いレベルでまとまっているバランス型。今日の2マークで菊地孝平を一気に交わした足は、鳥肌が立つほどのド迫力だった。Fさえなければ、Vに手が届く剛脚だったが……残念!

 

 

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⑤西島義則…出SS行S伸B

 何らかの整備をしているのか、日々出足が強まり、その分伸びが落ちている気がする。これまでの3号機(バランス型)と違って、西島モードの超出足型。前付けの武器があるだけに、この足で十分。ただ、今日の転覆&減点で、準優がほぼ絶望的に……残念!

 

 

⑥山口剛…出S行S伸A

 間違いなく抜群レベルの一機ではあるが、今日の坪井とのバトルで現状節イチではないことが判明した。明日、減点のハンデを克服して予選突破すれば、準優でも面白い存在になるぞ。2・4号艇で①①条件なら、十分にありえる!

 

 

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 以上が私の独断ベスト6。手前味噌だが、この6人は前検番付9人(機)にすべて入っており、今節の見立てはそれなりに正しかったと自負している。まぁ、単に前検番付の面々をエコ贔屓しているだけかも?(笑)。

 これ以外にも気になるパワーは多々あるが、今日になって行き足が一変した選手がふたりいた。湯川浩司と濱野谷憲吾だ。ふたりとも、前検ではサッパリの行き足だったが、今日はスタート展示で「えっ????」と驚くほどの俊敏ぶり。湯川の行き足は井口のそれを連想させるほどで、あるいは何らかの銀河交流があったのかもしれない。勝負駆けの明日、狙ってみる手はあるだろう。

(Photos/中尾茂幸、text/H)

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