BOAT RACE ビッグレース現場レポート

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THEピット――好天!

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 1R展示後に整備室を覗いたら、実に閑散としていた。昨日までは本体整備をしている選手が山ほどいたのに、今日は一転、静かな整備室。隅にあるペラ調整所で星野政彦がペラを叩いている以外は、選手の姿がまるで見られなかった(のちに、死角で岡孝がギアケース調整をしていたことが判明)。

 3日目の朝に整備室閑散、というのはSGと共通の様子である。SGクラスは悪いところを見つけ、解決するスピードも速い。そしてそれは、何十年も戦い続け、整備など山ほどこなしてきたベテラン勢だって同じことだろう。いや、むしろ整備力では彼らのほうが卓越していると言ってもいい。

 もちろん、このあとも本体整備に着手する匠はあらわれるだろう。敬意を込めて言うのだが、あきらめが悪いのも彼らの持ち味。だからこそここまで戦ってこれたのだし、このあともそうした匠らしさをおおいに見せてくれると思う……などと考えていたら、さっそく山﨑昭生が本体を外してました(笑)。昭生さん、けっこう出てると思うんだけどなあ。

 

 というわけで、なんとも静かな3日目の朝。装着場にあらわれる選手も数えるほどで、ペラ調整室に多くの選手が確認できるものの、春らしい好天ということも相まって、ピットはまったくもってのどかである。

 装着場の隅のほうに、選手用の喫煙所があるが、ここで一服している田上晋六、島川光男、佐藤幸子もなんとも気分良さそう。喫煙所は日陰になっているが、日向よりもかえって通り過ぎる風は爽快であり、いやはや、ボートレース日和ですなあ。

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 そうした穏やかな空気だから、選手の声もよく通る。1R、6艇がスリットを通過すると、「おぉっ!」という声が聞こえてきた。装着場のモニターを見ていた金子良昭だ。僕は水面際で対岸のビジョンを見ていたため、距離はそれなりに離れているが、その声ははっきりと聞こえてきた。

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5カドから高塚清一が軽快に伸びていく場面で、大先輩の快走の予感に金子は声をあげたというわけである。

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 もういちど「あぁぁ~~……」という声が聞こえてきたのは、2周1マーク。2番手争いに持ち込んでいた加藤峻二が大嶋一也に捌かれてしまった場面だ。高塚は同県の先輩だが、加藤はそうではない。しかし、加藤峻二はボートレースに関わる者すべてにとっての大先輩である。金子も加藤の2番手浮上を応援してたんでしょうね。大先輩二人の雪辱は、金子に晴らしてもらいましょう。

 

 さて、びわこのピットはなかなかに広く、特に水面際は屋根がない屋外装着場となっていて、こうした好天時は実に爽快。夏は暑そうだけど、今頃の季節は本当にいい感じなのです。

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 で、ここにもずらりボートが並べられているわけだが、あら、エンジンがカポック着てる。しかも4艇並んで。左から日高逸子、西島義則、井川正人、長谷川巌のモーターとボート。西島は昨日もこうしていて、彼なりのルーティンみたいなものがあるのかと思ったら、今日は西島だけではなかった。

 以前、「その日最初に着水したときが、モーターはいちばん出ている」と聞いたことがある。試運転を繰り返していくうちに、パワーは落ちていくというのだ。つまり、冷えた状態がいちばん出てるってことですよね。温まるごとにパワーは奪われていくというわけだ。今日は春の日差しが燦々と降り注ぐ。屋外に出しておくと……。なるほど、これは日よけなのかもしれないですね。4人と遭遇することがなかったので話は聞いていないけど、こうした部分にもこだわる匠たちなのであります。

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 あらら、これもこだわりでしょうか。1Rを終えたあと、ここにボートを運んだ大嶋一也なのだが、なぜか1艇だけバックで駐艇してる……。作業しようとすると、水面に落ちちゃいそうなんですけど……。(PHOTO/中尾茂幸 黒須田=ボート、加藤 TEXT/黒須田)