BOAT RACE ビッグレース現場レポート

BOAT RACE ビッグレースの現場から、精鋭ライター達が最新のレポートをお届けします。

THEピット――雨空のち晴れ間の終盤ピットから

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 2R頃に降り出した雨は、結局夕方くらいにはやんで、太陽が顔を出す瞬間もあった。終盤のピットはひときわ蒸し暑く、風もほとんど吹かなかったので、ジメジメベタベタ。まさに梅雨の夜、という感じなのでありました。
●速攻ペラ

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 9Rをまくり差しで豪快に貫いた毒島誠。得点率は10.00で、もちろん首位キープである。しかし毒島はいっさい気を緩めない。すぐにペラ室の住人になって、調整を始めていたのだ。ほぼ最後までペラ室にこもっていて、それほど強くではないが、叩いている姿も確認している。今日は伸びがやや落ちていたように見えたが、どうだろう。そのあたりも含めて、まだまだパワーを上積みしようとしているのだと思う。その執念がもう見事である。
●今日のギリペラ

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 遠くからペラ室をのぞくと、毒島が調整しているその奥に、深谷知博の姿があった。今節、ペラ室の最奥部あたりで叩いている姿を頻繁に見かけており、懸命な様子がうかがえる。このところ、SGでも深谷が調整と試運転に駆けずりまわっているのを何度も見ており、その必死さが印象に残ってきた。そして12R出走の今日は、毒島の向こうを張るかのようなギリペラ! 他5艇がボートを展示ピットに移動してもまだ調整を続け、締切9分前くらいに係留所に駆け下りてようやくペラを装着したのだった。今日は結果にはつながらなかったけれども、どこかで活きるはず!
●ありがとう!

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 深谷が展示ピットにボートを移動したのを見届けて、ふたたびペラ室のあたりに目をやると、今垣光太郎が「ありがとう!」と声をあげてペラ室から出てくるところだった。アドバイスでももらったのだろうか。今垣が誰に礼を言ったのかを確認しようとペラ室を覗くと、そこにいたのは毒島、新田雄史、鹿島敏弘、金子和之。誰だったんですかね、今垣のお礼の相手は。なんとなく新田のような気がしたんだけど……(新田だけペラを叩いていなかった)。

 

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 10Rでは1着競りとなり、今垣を逆転したのが新田。戦い終われば、レースでの手応えなども含めて言葉を交わし合う。こうして選手には引き出しが増えていく。それが次につながる。って、本当に新田だったのかはわからないんだけど。
●またまた今垣と新田

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 11Rのエンジン吊りのあと、また今垣と新田が言葉を交わしていた(って、さっきも交わしていたかどうかは未確認ですけど)。さらに篠崎仁志も加わった。「北極星ってどっちに出る?」「あっちでしょ」「あっちじゃないっすかね」。そんな感じ? いや、そうではない。新田のボートの上に太いパイプのようなものがぶら下がっている。ここからは冷風が吹き出していて、選手がこの下で涼んでいるのをときどき見かけたりするんです。今回、我々は装着場に立ち入ることが許されていないのだが、かつての取材時には選手の姿が薄くなると、ワタシもこの下でこっそり冷風を浴びていたものです。新田のボートには、いくつかある吹き出し口がもろに風を直撃させていて、そのへんについて話していた模様。まあ、だからなんだというわけではないのですが……。
●仁志よろしく

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 エンジン吊りの際にはドライバーを使ってモーターとハンドルやレバーを装着しているボルトを外す作業を行なう。このドライバーは共有で、丸亀の場合はリフト周辺の柱に置き場所が設けられている。選手はここからドライバーをとってリフトに向かい、ボルトを外すと置き場所に戻すことになるわけだ。

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 11R、勝った太田和美のエンジン吊りはやや手薄で、大阪では最若手の湯川がドライバーを手にしてボルトを外す係となり、さらには架台に乗せたモーターを整備室に戻す係にもなっていた。ドライバーを手にしながら架台を押す湯川。その途上に、篠崎仁志の姿を発見。このレースには九州地区勢の出走はなかったが、篠崎はヘルプに出てきていて、ちょうど手が空いたところだった。まるで陸上五輪代表のリレーチームのようなスムーズな動きでドライバーは湯川から篠崎に手渡され、篠崎は置き場に歩み出した。金メダル! のわけはないけれども見事なバトンリレーなのでありました。
●ご苦労様!

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 先ほど、ペラ室に金子和之の姿があったと記したが、今日の金子は11R発売中まで試運転。そのとき水面にいたのは金子だけで、最後の最後まで試運転で走った選手となったのであった。その後、すぐにペラ調整にも入ったわけだ。
 なにしろ金子だけが試運転をしていたわけで、そのエンジン音も夜空に吸い込まれて、他の選手たちはそれに気づいていなかった。というわけで、金子がボートを陸にあげたときにも誰も気づかず。エンジン吊りにも誰も来ず! 艇運の方が一人、お手伝いをしてなんとか終わったが、これはなかなか珍しい光景なのであった。ちなみに、金子のボートが装着室に運ばれたまさにそのとき、門間雄大と中山将太がマグネットを手に飛び出して、係留の鉄くず拾い。あと5秒でもどちらかがズレていたら、門間と中山が駆け付けたんでしょうけどね。いやはや、金子選手、最後までもろもろご苦労様でした!(PHOTO/池上一摩 黒須田 TEXT/黒須田)