BOAT RACE ビッグレース現場レポート

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びわこ名人戦TOPICS 4日日

'THE勝負駆け!

 

波乗り落合、ピンピン突破'

 

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 終日、強い追い風が吹き荒れたびわこ水面。1マークに間断なく「うねり」が発生し、選手たちは暴れ馬の如きボートを抑えるだけでも大変そうだ。こうなると、テクニックの有無よりも「どんだけ根性があるやなしや」が重要になる。誰が度胸と根性で、うねりに揺れる艇団を切り裂くのか……。

 今日の「波乗りキング」は、落合敬一だ。昨日まで22位、今日の2走で16点ほどが必要だった落合は、スリットから攻めに攻めた。まずは3号艇の4R、西島義則を入れて4カドに引いた落合は、コンマ13のトップS(おそらく全速)から一気に内を絞めはじめた。強い追い風は、まくり艇にとって最凶の敵。それまでのレースでも、握った選手は風に拐われてはるか彼方に流れ飛んでいた。

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 が、落合の舳先はターンマークから漏れることなく、水をしっかり噛んで力強く前進した。これはパワーに依る部分もあるが、落合自身が風とうねりの強さを体感で捉えながら、1ミリも怯まずに立ち向かっていった証である。私の予測では、内の艇の舳先にぶつかって行くくらいの感覚で、ちょうどあれくらいの完璧なまくりになるではなかろうか。

 後半の9Rは、2コースからコンマ06まで踏み込んだ。今日走ったのべ72選手の中で、もっとも早いスタートだった。インの長谷川巌はコンマ12。またまた絞める選択もありえるところだが、今度はじっと我慢。冷静に長谷川を行かせて、うねりの中を差し抜けた。まくって差して、と完全に風とうねりを支配したのである。この勇気あるピンピン連勝で、明日の準優は4号艇。もし明日も同じような荒天になったら、10Rの青いカポックを絶対に軽視してはならない。

 

Vへのアトサキ勝負

 

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 一方、名人位の行方を大きく左右する予選トップ争いは、11レースを終えてほぼ2人のレーサーに絞られた。12R1号艇の古場輝義と、同5号艇の江口晃生。トップを決める“ルール”は簡単だ。

「この直接対決で、先着したほうがトップ」(ただし、同2号艇の藤井定美が1着、古場5着、江口6着のときのみ、藤井が大逆転トップになる)

 当然、江口が前付けに動き、3コースに潜り込む。トップの可能性のある3人が、スロー水域できれいな横一線になった。勝負駆け条件を知っている者なら「江口がイン古場を自力で叩き潰しに行く」と考えるだろう。たとえ共倒れでも、江口は先着さえすればいいのだから。

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 だが、いざ本番ではスローの3者が、すべて引き波に呑み込まれた。4カドの今村暢孝の、火の出るように絞りまくり。昨日の妨害失格の鬱憤を水面で晴らした。が、ことトップ争いに関するなら、この暢孝の素晴らしい激勝は二の次なのである。やはり、古場と江口の後先勝負。態勢を立て直し、1マークのうねりから先に脱出できたのは……古場だった。

 明日から古場が2度逃げ切ったとするなら、この12Rの後先が運命の分岐点だったことになる。まあ、現段階では「古場が一歩リード」というレベルでしかないのだが。

 

独断パワー診断

 

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 準優の前に、私なりのパワー診断を記しておこう。今節は気温や風向きが猫の目のように変わり、それによって選手の整備やレースっぷりも変わったので、「コレが節イチ!」と断言できる選手はいなかった。ただ、4日間を通じてどんな環境でも「中堅上位~上位級」で噴いていた選手は何人かいた。

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 北川幸典、山﨑昭生、山口哲治、岡孝、西山昇一。

 この5人は自力、または展開ひとつで突き抜けるパワーがあるので準優でも大いに注意していただきたい。特に、今日の11Rで大逆転の勝ちっぷりが半端なかった山口哲は、アタマで狙っても面白いかも??

 

連載企画 今日のアラセブ

 

 

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『走る人間国宝』加藤峻二と『瀬戸内の静かなるドン』万谷章をとことん応援するコーナーなのだが……遅ればせながら、峻ちゃんがやっと舟券に絡みました!

 

'★加藤峻二…6R4号艇②着! 節間勝率3・40

★万谷章…2R4号艇⑥着 節間勝率1・20'

 

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 まず、2Rの万谷親ビンは、今日も精彩を欠いた。6コースからコンマ27の一番遅いスタートでは何もできない。2日目から連続の6着。まだ浮上の兆しは見当たらない。

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 一方、峻ちゃんは5コースから「あわや1着?」の見せ場を作った。4コースの占部彰二がまくって流れ、ぽっかり空いた隙間に俊敏に舳先を突っ込んだ。バック先頭だ。が、インから残した金子良昭がするする伸びて、2マーク先マイ。峻ちゃんの差しは惜しくも届かず2着。1着の最年長記録は更新できなかった(峻ちゃんが勝つたび新記録!)が、明日以降に夢が広がる2着だった。(photos/シギー中尾、text/畠山)