BOAT RACE ビッグレース現場レポート

BOAT RACE ビッグレースの現場から、精鋭ライター達が最新のレポートをお届けします。

準優ダイジェスト

アイドル台頭PART1

 

10R 進入順

①高橋淳美(大阪)11

③大嶋一也(愛知)16

②鈴木茂正(東京)16

④落合敬一(長崎)26

⑤西山昇一(愛知)29

⑥岡  孝(徳島)22

 

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 百戦錬磨の頭脳プレイ。知将・大嶋が、老獪な陽動作戦で1マークを突き抜けた。布石はスタート展示。ゴリゴリ動いて、淳美を脅かす。それでもインを死守した淳美と大嶋の起こしは、軽く80mを切っていた。

 そして本番。大嶋がまた動く。腹を決めた淳美が、早々にターンマークを回る。3コースが有利と見た茂正が、大嶋を招き入れる。その瞬間、大嶋はレバーを緩めた。スタ展とは真逆の、美味しい2コース。3号艇の大嶋は、あれよあれよと枠なりの2号艇と同じような2コースを取りきったのだ。ダンディマジック。

 

 

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 こうなってしまうと、3コースの茂正はじめ外の艇の旨味は激減する。大嶋は楽な起こしから過不足のないスタートを決め、インの淳美を力ずくで差しきった。もちろん本人は「スタ展で抵抗されたので、作戦を変えた」と言うだろうが、結果的には大嶋のシナリオ通りのレースだったと言えるだろう。

 

 

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 それにしても、淳ちゃんは男前だった。ダンディに翻弄?され、ただひとり80m起こしになったというのに、コンマ11のトップスタート!! 1周2マークでは後続艇から嫌味を付けられたが、冷静沈着に立ち回って2着を確定させた。もちろん、パワーに自信があるからこその平常心。日々スタンドを驚かせてきた浪花の熟女アイドルが、明日もあっと驚く大技をやらかすかも??

 

 

 

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アイドル台頭PART2'

 

11R  進入順

①西島義則(広島)+04

⑤倉谷和信(大阪)13

②原田順一(福岡)09

③長谷川巌(山口)14

④長岡茂一(東京)15

⑥新良一規(山口)18

 

 

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 江口がFに散った昨日の12Rに続いての波乱。こちらは賞典レースだから、昨日以上の大波乱と言えるだろう。断然人気の西島、フライング。起こしのタイミングを間違えたのか、エンジンが噴きすぎたのか、原因はわからないがコンマ04という突出したハミ出しだった。今朝、青山登さんとの雑談で「4人の名人(西島、今村、大嶋、江口)で戦いたかった」と江口の離脱を惜しんでいたそうだが、まさか自分自身も自滅してしまうとは……。私も残念だが、西島にFは付き物。今日のところは、お疲れさんとねぎらっておこう。

 

 

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 西島が去った水面、先頭に踊り出たのは長谷川だ。1マークは倉谷に続く2番差しだったが、そこから伸びる伸びる。今日は倉谷を圧倒する仕上がりだった。明日は2号艇。金子と大嶋に挟まれる悩ましい立場だが、逆に自分の判断次第で進入~展開を作れるという強みもある。2コース死守か、美味しい3コースか。今晩から明日の本番まで、エンジンとの密談が交わされるだろう。

 

 

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 そして、2着には混戦の2マークを捌いた順ちゃんだ。64歳での特別レース優出! この記録は大村名人戦の加藤峻ちゃんに及ばないが、優勝してしまえば万谷章オヤビンの62歳を凌ぐ特別レース最年長Vとなる。もちろん、5号艇で易々と成し遂げられる相手ではないが、乗ったからには6分の1。あの万谷オヤビンの4カドまくりを彷彿させる、新鋭のような走りを見せてほしいぞ。順ちゃんは『なんてったって永遠のアイドル』なんだから。パワー的には、誰にもヒケを取らないとお伝えしておきます!

 

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主役撃沈'

 

12R

①今村 豊(山口)33

②中村裕将(埼玉)20

③金子良昭(静岡)19

④松野京吾(山口)18

⑤亀本勇樹(広島)17

⑥泉 具巳(兵庫)11

 

 

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 11Rに続く大波乱。ただ、性質的には11Rと真逆の大波乱だった。ミスター今村が、まさかまさかのコンマ33、ドカ遅れ!! 1号艇で、いや、どんなコースだろうが、これほど遅れたミスターなんて見たことがないぞ。もちろん、現時点では直接の原因はわからない。

 私の勝手な憶測を言うなら、やはり11Rの西島Fが何らかの影響を与えたのではないか。昨日は江口が散った。今日は西島が散った。施行者のためにも、ボートレースファンのためにも、明日の優勝戦を盛り上げるためにも、自分は消えてはならない。そんな強い義務感責任感が、起こしで握る指を緩めてしまったのではないか。そんな気がしてならない。

 

 

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 コンマ33で喘ぐ大本命を尻目に、2コースの中村が軽々とその舳先を飛び越えてゆく。イン逃げにも近いまくりではあったが、強いホーム追い風が前進を阻む。そこに、3コース金子の鋭角まくり差しが、ズッポリと突き刺さった。もうそこに、今村が残す余地は微塵もなかった。

 熾烈を極めたのが2着争いだ。自力でレースを作った中村と、アウトから超抜パワーにモノを言わせてぶん回した泉の一騎打ち。

 

 

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このふたりの明暗を決定づけたのは、やはりパワー差だったと思う。1周2マークを回った時点では、中村に1艇身ほどの分があった。が、内から泉がぐいぐいと伸び返し、2周1マークの手前で舳先を揃えた。中村が選んだ戦法は、強ツケマイ。完璧なタイミングで、中村は握った。泉は艇をもたれ掛けるようにして、必死に耐えた。ギリギリ耐え抜いて、そこから一瞬にして中村を突き放した。優出確定。

「デビューした頃から憧れていた先輩たちと一緒に走れるなんて、幸せです」

 

 

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 初日の選手紹介で、泉は初々しくこう語った。おそらく、今村豊はその「憧れの先輩」の最たる存在だろう。展開はともかく、天上人とも言うべきスーパースターを打ち負かして優出を果たしたのだ。中村に競り勝ったレースぶりも含めて、特大の「あっぱれシール」を贈りたい。明日も同じ6号艇。知名度も含めてオッズは跳ね上がるだろうが、今節の波乱の流れを考えれば人気以上のチャンスはある、と思う。少なくとも超抜の伸びを誇るエンジンは、アウトから突き抜けるだけのポテンシャルを秘めている。デビュー節のように、無欲無心でレバーを握ってほしい。(photos/シギー中尾、text/畠山)

 

※追記

 

『競艇好き』さん、『ダイチボス』さん、貴重なコメントありがとう。で、一昨日の『競艇好き』さんのコメントについて、私なりの考えを伝えます。

 スポーツかギャンブルかと言う話はちと厄介なので置いといて、極端にシンプルに言うなら「好みの違い」だと思います。20年前に“競艇”と出逢った私は、真っ先に「競艇は水上の格闘技」と教わりました。そして、実際に目にするレースの多くが格闘技そのものでした。進入争いはゴリゴリ、道中の競り合いはゴッツゴツ、ピットでもさまざまな大喧嘩の噂が漏れ聞こえたり(笑)。選手と選手が、進入からスリットから1マークから道中から陸の上から、ファイティングスピリッツを剥き出しにしてぶつかり合う。反則すれすれの突進やダンプで、相手を攻め潰そうとする。

 それを当たり前として育った私には、今のスマートすぎるボートレースがどうにも気に喰わない。西島や今垣、田村のように闘争心を剥き出しにして走ってくれる選手が好きで好きでたまらない。『競艇好き』さんが「池田や瓜生が絶賛されている」と言うように、西島、今垣、田村を絶賛する人もいます。

 要は、どっちが好きか?ということだと思うのです。趣味でもなんでも、好きなものがあったら周りの人を巻き込みたくなりますよね。私は、私の好きなタイプのボートレースを人々に伝えたい。そして、自分の好きなタイプの選手がもっともっと増えてほしい。『競艇好き』さんもそうだと思います。だから、どんどんフェアでクリーンなボートレースを目指して、仲間やファンの方々を巻き込んでください。今回のコメントのように。現在のボートレースは、昔に比べてかなり『競艇好き』さん寄りの考え方が浸透してきたと思いますよ。とりわけ選手の多くが「フェアでクリーンなレース」を心がけていると思います。私にとっては、その趨勢に多大な危機感を抱いています(笑)。だから、私は私で、大好きな『水上の格闘技』の復活を目指して「もっと激しくやりあってくれ!」と訴え続けるつもりです。それでいいのではないでしょうか。というか、それしかできない。

 ひとつだけ反論めいたことを言うなら、「クリーンな選手の方が損をする」的な考え方は違うと思います。進入から動く選手は様々なリスクと覚悟を背負って戦っています。仲間から嫌われるし、起こしは深いし、フライングは多くなるし、よくよくまくられるから1マークでの事故の危険も大きいし……私は彼らを尊敬しつつ、こうした命懸けの選手たちの方が損をしているのではないか、と思うくらいです。まあ、これも私と『競艇好き』さんとの立ち位置というか、見解の相違なんですけどね。

 だらだらと書いてしまいましたが、『競艇好き』さん、ともに自分の理想のボートレースを目指して戦い続けましょうよ。私はあなたの目指そうとするボートレースは嫌いです(笑)。逆に、私の目指すものが嫌いでしょうから、気に喰わない文章があったら今回のようにどんどん書き込んでください。それが、他の人々を自分の側に巻き込むチャンスにもなるかもしれないし(笑)。何かしら、伝えることができたでしょうか。まったくのお門違いだったら、ごめんなさい。