一時的な黒須田とのバトンタッチで、今朝、徳島空港に着き、そのまま鳴門ボートに入った。
ピットに行くと、まず目に入ったのは、新田芳美だ。その表情はやはり硬いといえるものだった気はする。昨日のフライングを考えれば、さすがにニコニコしているはずはない。それでも、意気消沈しているわけではなく、気持ちを奮い立たせようとしているふうに見えたので、ここからの走りに期待したい。
個人的には09年名人戦以来の鳴門ピットになる。整備室では、入り口付近と奥とで「ペラ作業場」が分かれていて、名人戦でもこうだったかな、などと記憶を甦らせていく。
入り口付近の作業場では、海野ゆかりや金田幸子ら、奥の作業場では、倉田郁美や岩崎芳美らがペラを叩いていた。
このグループ分けになんらかのルールがあるのかどうかは、一見しただけではわからなかったが、何かがわかったときにはまたお伝えしたい。
黒須田からは「Tシャツリポート」を続けるようにとの指示らしきものもあったが、変わったTシャツはとりあえず目に入ってこなかった。
「PINCH WA CAHANCE」というTシャツを着ている選手は目立ったが(いろんな色のバージョンがある)、BOATBoyの女子バン=森によれば、「このTシャツを着ている選手は多いですよね。ルールはあるのかどうか……。リーグに出ている選手だけが着ている気はします」とのことだ。
ピンチはチャンス! いい言葉だが、それを着ていた一人は長嶋万記だ。昨日の転覆にめげず、2Rでは見事に1着! まさにピンチをチャンスに変えてみたわけだ。
他では日高逸子が「麦釣会」というジョッキ印のTシャツを着ていたくらいか。
佐賀・長崎・福岡の九州グループのようだったが、いまのところ、鳴門ピットでこのTシャツを着ているのは日高だけのようだった。
装着場で気になったのは福島陽子だ。
実をいうと、「女子王座」ではいつも気になる存在である。母性的なやさしい顔が印象的だが、女子王座では常にキーパーソンになっている気がする。
寺田千恵と一緒にいることも多いが、今朝もやはりそうだった。自分のボートのチェックをしながら、寺田と話をしていたが、笑顔で談笑しているようでいながら、しっかりと手は動いている。そして、顔からポタリと汗が落ちてきても、それをぬぐおうともせず、作業を続けている。
やさしそうというだけではなく、ハンサムウーマンなのである。
汗をかいたハンサムウーマンといえば、渡辺千草もそう。
以前に取材をしたことがあったりするため、こちらを見かけると、いつも笑顔で声をかけてくれる人だ。今朝もやっぱり、僕を見かけて、「あっ、こんにちは」とニッコリ。
この「あっ」がついていることが、こちらにとっては嬉しかったりするわけだ。そして、2Rでは、前に食らいついていくレースで3着を奪取。引き上げてきて、ヘルメットを脱ぐと、その顔が汗できらきら輝いていたのも格好よかった。
そして、勝利者インタビューを受けている長嶋の横で、インタビューのことなどはまったく気にせず、リプレイを流しているモニターを見つめていた。その目はとにかく鋭いものだった。
(PHOTO/中尾茂幸+内池=日高Tシャツ、TEXT/内池)