BOAT RACE ビッグレース現場レポート

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THEピット――努める者たち+「本日の水神祭」付き

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 「努める者は報われる!」

 午前中は、ビールジョッキ印のTシャツを着ていた日高逸子だが、午後の日高は、背中にそう書かれたTシャツに着替えていた。

 普段からオンとオフとの切り替えがうまくできていることを想像させる“お色直し”だが、どの節でも、ムダな時間をまったくつくらないように作業している日高には、このTシャツがよく似合う。

 

 

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 努める者……すなわち努力する者しか、王座のピットにはいられない。

 本日それが報われた一人が、滝川真由子だ。

 8Rで、気風のいいスタートからの差しを決めて、1着! これがGⅠ初1着だったので、当然の水神祭だ。

 ただ、最初は誰もその事実に気づかなかったのか、あまり人が集まってこなかったので、守屋美穂が「2人でやろうか」とも発言……。もちろん、本当にそうなったわけではなく、すぐにわらわらと選手が集まってきて、水神祭が敢行されている。

 

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 ボートリフトから投げ込まれながら、滝川はくるりと回転!

「体操選手のようだった」という声も聞かれたほどの見事なダイブとなっている。

 滝川選手、おめでとうございます!

 明日以降も頑張ってください!!

 

 

 

 

 

 

 

 

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 その8Rがスタートする少し前、目の前を通っていった長嶋万記に頭を下げると……。

 彼女は「こんにちわ」と頭を下げ返してくれたあとに「あっ」と声を発して、ニコリ。その段階で僕の顔に気がついてくれたのだろう。

 以前にインタビューをしていたこともあるため、普段から話をする機会は多いのだが、それに続けて彼女の口からこぼされた言葉は「これから勝負駆けです」とのものだった。

 当然ながら、笑顔はすぐに、しまわれた。

 初日ドリーム戦で転覆→2日目1走目で1着ということから、早くも“正念場”を迎えているわけだ。

 そのレースで4着となり、立場は厳しくなってしまったが……、レース後の悔しそうな顔も含めて“勝負師”としての一面はしっかりと見せてもらった。

 いや、いまの彼女にとって、それは「一面」などではなく、「オモテの顔そのもの」になっているのだろう。

 

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 午後のピットでは、歴戦のツワモノたちに、あらためて感動させられることも多かった。

 たとえば海野ゆかり。

 SGでも女子戦でも、常に飄々として過ごしているように見えることが多いが、今節もそうだ。

 鳴門のピットは、うだるような暑さになっているが、彼女を見ていると、ひと時だけでもそれを忘れることができる。今日は、ペラ叩きをしているところのほか、装着場を歩いているところなどを何度か見かけたが、とにかく雰囲気が涼しげなのだ。

 鼻歌でもうたいそうなムードで歩いてきながら(実際はうたっていません)、ふと装着場で作業をしている竹井奈美を驚かせてみせたり、まさに貫録のマイペースだ。

 

 

 

 

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 もう一人は寺田千恵だ。

 ピットで見るたび、「やっぱり偉人だなあ」とうならされることの多い選手だが、今節も例外ではない。

 他の選手たちにとっては良き先輩であり、記者にとっては貴重なエンターテイナー。

 いくらピットが暑くても、そんな姿勢は少しも変わらない。

 ボートにモーターを装着しようとしていたときに金田幸子が通りかかると、「ナイス!(ナイスタイミングの略)」「載せて、エンジン!」と、とびきりの笑顔で明るく依頼。

 選手同士は、相手から頼まれなくても、気がつけばモーター運びなどは手伝うものだが、これくらい気持ちのいい頼み方というものは、誰にでもできるものではないだろう。

 そして寺田がボートにモーターを着けたあと、金田がしばらく寺田の作業を見ていると、「ここはこうなっていることもあるから、覚えておいたほうがいいよ」というようにアドバイスをしていた。そうやって、ライバルたちに対しても「良きアドバイザー」であるのだからすごいことだ。

 その後、田口節子が通りかかると、「ちょっと小細工してみたよ」とのひと言。

 その小細工の様子を惜しみなく金田に見せていたのだから、この人のふところは、とにかく深い。

 今日の12Rでは1号艇で敗れてしまったが、この人が本領を発揮していくのはこれからだ!

(PHOTO/中尾茂幸 内池=水神祭  TEXT/内池)