'THE勝負駆け①予選トップ争い
瓜生、貫禄のトップ当選'
昨日までのトップ3と、今日の枠番をおさらいしておこう。
①瓜生正義…⑤⑥号艇
②山口達也…①号艇
③中島孝平…⑥③号艇
さて、誰が一番有利か。客観的には山口達也だろう。瓜生と中島は枠が遠く、達也はインから逃げきるだけ。とりあえず、8R5号艇・瓜生の結果が、重要な鍵を握っている。そう思いつつ、8Rの瓜生を見ていた。
すると……なんとなんと、枠なり基本の瓜生が3コースまで潜り込んでしまった!! 外の今村暢孝の動きに連動したとはいえ、かなり見慣れない光景だ。
瓜、本気でトップを獲りに行ったな。
この前付けは成功だった。3コースから伸びなりに舳先を傾けて、あっという間のまくり差し、一撃。この10点はあまりにもでかい。これで瓜生のトップ条件は、他の選手の成績に関わらず「12R6号艇で④着」になった。このレースの1号艇は暫定2位の達也だが、トップ争いだけで言うなら、「逃げられても構わない」のだ。瓜生自身が4着以内に入りさえすれば……。
雌雄を分かつ12R、昨日までのトップ3がすべて顔を揃えた。枠番は①達也、③中島、⑥瓜生。そして、このレースにはもうひとり、虎視眈々と明日の1号艇を狙う男がいた。5号艇の三井所尊春。ピストンリングを2本換えた三井所は、展示時計で6秒38という恐ろしい数字をマークした。今節の展示トップ時計だ。
一発勝負の調整が、当たった??
そう、当たったのだ。5カドに構えた三井所が、カド受け中島とほぼ同体のスリットから伸びる伸びる伸びる。わずか数秒の間にインの達也までゴックン飲み干した。その鮮烈な引き波を浴びて、最後方にズリ下がる達也。事実上、この瞬間に瓜生の予選トップが確定したと言っていいだろう。達也の惨敗が見えた以上、瓜生が6着だとしても、もう誰もその勝率に届かないのだ。
結局は、瓜だったか。
トップの決まったレースを見ながら、ぼんやり思う。本命視した達也は、コンマ22というスタートだった。これでは、勝てない。だが、若い達也には、これはこれで良かったのかも知れない。明日は12Rの1号艇どころか、4号艇までスライドした。ならば、再び失うもののない挑戦者として、予選前半戦の果敢なレースに徹すればいい。
一方、トップを守り抜いた瓜生は、あと2回逃げきるだけで優勝、という大きなアドバンテージを得た。直近の瓜生のリズム、強さを考えれば、その可能性はあまりにも高い。あえて死角を粗探しするなら、ここが平和島であること、今日の12Rの足色が昨日までとは一変して悪く?なっていたこと。この2点くらいしか見当たらない。そして我々は、その程度の死角を、軽々と克服できる選手であることを知っている。大勢は、決したか!?
'THE勝負駆け②予選ボーダー争い
やったぜ、俊キチ!!'
ピンピン連勝でミラクル予選突破を果たした平田忠則、減点がありながら不屈の闘志で準優の切符を鷲掴みにしたツヨポンなどなど、エピソードは多々あったのですが……今日のところは、極端なエコ贔屓扱いを許していただきたい。「我が息子」と勝手に呼び、20年近く応援し続けてきた守田俊介が、それなりに
苦しい勝負駆けに臨んだのだ。
まず2Rは、4カドからまくり差しが届かず2着止まり。とりあえず、8点加算によって、後半10Rは4着で当確ランプが点ることになった。とはいえ、残された枠番は6号艇……。
<勝負駆け手記>
10R、もちろん俺は4Fの記者席を離れ、スタンドの1マーク方面に向かった。フェンスにカブリつく。隣に若いカップルがいて、男がこんなことを言う。
「守田クン、何着でいいのかな。入れるかな。このダービーが終わったらさ、ブログに『めっちゃ疲れたーーー』とか書くよ、きっと」
おお、かなり浸透しておるじゃないか、俊キチの抱腹絶倒ブログ『風雲きもり城』は。などと思いつつ、ファンファーレを迎える。6号艇の俊キチはスタート展示同様、4コースまで潜り込んでいる。ただし、途中でエンジンをギュンと噴かしたため、スタ展よりも10mほど深くなりそうだ。
ヤバイ。
6号艇でよくよく半端な前付けをやらかす俊キチだが、ほとんどうまくいった試しがない。吉村正明が、颯爽と5カドに引いた。吉村、伸びだけは上位級なんです。ヤバイって俊キチ、一撃でまくられたら4着もないじゃないか。
12秒針が回る。俊キチの起こしは、お世辞にも早いとはいえない。吉村がぐんぐん迫る。ぐんぐん迫ってスリット通過。あっという間に、半艇身ほど覗かれた。
オ、オワターーーー!!!!????
だが、そこから俊キチがシュッと伸び返した。しかも、3コースの白井英治師匠が、強引に握って攻めた。
ズッッッッッッポンッッッ!!
凄まじい自家製音響が俺の耳の中で鳴って、俊キチがブイ際を突き抜けてゆく。
嘘、嘘、ウソダローーーーーー!!!!
以下30秒ほど、頭、真っ白。
「嘘、守田クン、1着って、こんなの買ってないよぉ」
隣の若者の言葉で、我に返った。俊キチの1着、そして予選突破をしみじみ実感した。
ゴール。先頭で1マークにやって来た俊キチに、俺はフェンスから身を乗り出して両手を振った。振り回した。
「俊キチーーーーーーッッッッ!!」
チラリ、俊キチが俺に視線を送った気がした。さらにハゲしく手を振ると、隣のカップルがククク&フフフと笑った。
はい、以上、グダグダの手記ですんまっせん!! それから物凄く頑張ったヒラポン&ツヨポン、申し訳ないっす。お詫びに、写真だけどーーんとアップしときますっ!!(photos/シギー中尾、text/畠山)