さあ、SG戦線の開幕!! 今節の目玉商品は、文句なしに35号機だ。2連率では50%超えの28号機に見劣るものの、とにかく「伸びーーーる!」と大評判。展示順位が断トツで、「スリット同体からでも1艇身ほど覗く超快速機」と言われている。
もちろん、その噂を聞きつけている地元のカマギーこと鎌田義も、ぬかりなく目を光らせていた。最前列に陣取って、平田忠則が33号機と知るや「惜っしい、かすった~」。さらに瓜生正義が34号機と聞けば「うわっっ、コスッたーーー!!」。他の選手たちも、数字上のエース28号機はそっちのけで、「さんじゅうご」「さんじゅうご」と囁き合っている。
実際、金田幸子が28号機を引き当てたときも、しーーん。誰ひとりとして歓声を上げることはなかった。金ちゃん自身もまったくの無表情、というかボーーッとした感じで自分の席に引き上げて行った。まあ、ポーカーフェイスはいつものことだけど。
なかなか出ない超目玉商品。残り13人、というところでその瞬間はやってきた。
「モーター、さんじゅうご番!!」
読み上げるスタッフの声も、ひと際高かった。昂揚した声に連動する形で、場内が「オーーーッ!!」と歓声に包まれる。やはり、明らかに選手たちも35号機の動向だけを気にしていたのだ。
そして、このお宝をゲットしたのは……浪花の新モンスター太田和美。大歓声が耳に届いているはずなのだが、当の太田本人は表情を変えることなく席に戻って行った。で、椅子に座ってから周辺の選手に「ん、ええの?」と声をかけていた。あらら、ほとんどノーチェックだったのね、和美さん。喉から手が出るほど欲しがっていた選手たちではなく、35号機の存在を知らなかった選手の元へ。まあ、ありがちですわなぁ。
そしてそして、最前列でいちば~ん目を光らせていた鎌ギーが引いたのは、2連率38%の40号機だった。35号機ではなかったことに一瞬だけ落胆の表情を浮かべてから、40号機のデータに目を落とす。5秒ほどじっと見つめてから、鎌ギーは「うん、わるない、わるないっ!!」と自分に言い聞かせるように叫んだ。(photos/シギー中尾、text/畠山)
'今節の注目機
★★★35号機…太田和美
★28号機…金田幸子
★22号機…岡村仁
★10号機…石渡鉄兵
★37号機…吉田俊彦
★40号機…鎌田義'