BOAT RACE ビッグレース現場レポート

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THEピット――初日“早朝”

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 まず、本日朝、菊地孝平が日本財団に50万円を寄付した。授与式は、ドリーム戦インタビュー後にピットで行なわれ、菊地本人から目録が手渡されている。

 菊地といえば、「支部」「出身地」併記により、少し驚かれた方もいるのではないか。「菊地孝平(静岡・岩手)」。菊地は幼き頃、東北で過ごしているのだ。それだけに東北への思いも強く、寄付金の使途として「東日本大震災の復興支援、東北の子供たちのために役立つことを」と希望している。日本財団もその希望に沿う形で、菊地からの寄付金を役立てるとのことだ。

 これはもちろん、オールスター(笹川賞)優勝がきっかけとなっての寄付。「もっと寄付できるよう、また頑張ります」と菊地は述べている。地元でSG連覇となったら、また丸亀でこのシーンが見られるかも!?

 

 今日はちょっと思い立って、開会式が終わって選手がピットに戻ったころに足を運んでみた。初日朝は慌ただしい、というのが基本的な光景。ドリーム組がまだ公開インタビューに臨んでいる頃にはすでにざわついたピットになっているのかどうか。

 ……さすがに静かでありました。開会式で着ていたウェアを着替えなきゃいけないし、もろもろの準備もあるだろう。ペラ室は早くも調整する選手たちでにぎわい始めていたが、装着場はひときわ静寂を漂わせており、戦闘準備前の空気はなかなか新鮮であった。

 

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 整備室を覗いたら、烏野賢太がいた。これは素早い動きだ。というより、おそらくは朝から整備を続けていて、それを中断して開会式に向かったということだろう。それでもピットに戻るや、速攻で着替えて整備室にこもったわけだから、やはり素早いことは素早い。8R1回乗りと、時間にはやや余裕があるとはいえ、やると決めたらとことんやるウノケンなのである。

 

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 烏野を眺めていたら、後ろのほうでエンジンが始動される音が響いた。係留所に誰かが下りて行って、試運転に飛び出そうというのだろう。水面のほうに駆け寄って覗き込むと、徳増秀樹。1R出走だから、もちろん動き出しが早くなるのが自然ではあるが、静まり返った水面にただ一人飛び出す姿には、地元SGにかける気迫を感じさせた。

 

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 そこに、鎌田義も降りてきた。開会式では、カマギーらしいステージを演出していたわけだが、このときのカマギーは正反対の鋭い表情。こちらに気づくと、右手をあげてきたが、顔つきには緊張感がびっしりと張り付いているのだった。鎌田も1R出走。戦いのときは目前に迫っている。開会式からすぐに切り替えて先頭モードに入るのも、実はカマギーらしさである。その表情はその後も変わらないまま、鎌田は準備を粛々と行なっていた。

 

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 おはようございまーす! ちょっと離れたところから笑顔を向けてきたのは、篠崎仁志だ。この若者はいつでも礼儀正しいし、また快活だ。控室からペラ室へと向かう途中に怪しいハゲ頭に気づいて、挨拶をしてくれたらしい。こちらもピカピカの若者に負けないよう、元気に挨拶を返す。第一感として、やはり地元SGの福岡よりは、リラックスしている雰囲気がある。逆に言えば、福岡への思い入れがいかに大きかったかであり、そして今節は自然体で戦いに臨めているということでもあろう。どちらが結果に結びつくのか、それはまったくわからないが、少なくとも悪いムードではないな、と思ったりした。

 

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 そうこうしているうちに、ドリーム組もインタビューから戻ってきた。まずは地上波放送のインタビュー収録を6人はこなし、それから思い思いの作業に取り掛かっていく。松井繁はさっそくボートを水面に下ろして試運転に飛び出し、瓜生正義は整備室に駆け込んで、本体整備を始めていた。瓜生が初日の朝に本体を見ている、というのはよく見かけるシーンである。

 

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 カポックを着こんで、やはり試運転に飛び出そうとしていたのは白井英治だ。白井は開会式で「優勝しますっ!」と力強く語った。昨日のピット記事に書いたとおり、前検での感触は最悪なのである。それでも、白井は優勝宣言をぶち上げた。カッコいいじゃん!

「出てない時ほど、自分を鼓舞しなきゃね。うん、こういうときこそチャンス、ですよね」

 目元に力を込めて、ちょっとカッコつけながら(笑)、白井はそう言った。うん、やっぱりカッコいいぞ! その決意があれば、白井はいつだってSGを獲れるはずである。(PHOTO/中尾茂幸 黒須田=菊地 TEXT/黒須田)