BOAT RACE ビッグレース現場レポート

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THEピット@シリーズ――勝負を懸ける

 

 

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 津田裕絵がいい動きを見せている。これはピットのお話なので、もちろん陸の上での話だ。同期の鎌倉涼が試運転から上がってくれば、寄り添って会話を交わす。ボート運びのヘルプもしていた。遠藤エミが整備をしようとすれば、助言を飛ばす。「私はオススメしない。これから回転が下がってくると思う」との声が聞こえてきた。遠藤は回り過ぎなのだろうか、回転を抑える調整をしようとしていたのだろう。しかし、今日の天候を考えれば、この後は気温が上がって回転が上がらなくなる、との読みだろうか。結局、遠藤はギアケース調整に取りかかっていたが、津田はそうして周囲に目配りをしていたのであった。

 同時に、津田のボートは係留所にあった。そうした選手とのやり取りがひと通り済めば、速攻で水面へ! 自身の調整もしっかり行なっているのだ。ピットでの津田を見るのは今節が初めてだが、その明るさと動きはなかなかに目を惹くものだ。

 

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 動きが目立つと言えば、竹井奈美も同様だ。今節はピットを駆けまわる姿をかなり見かけており、それは整備室に向かうところだったり、試運転へと飛び出すところだったり、足合わせのあとにパートナーだった先輩のもとへ向かうところだったり。竹井に初めて会ったのは、2年半ほど前だったか。当時はまだ4点台のB級選手だった竹井が、3日後にはA1級となるまでに成長した。竹井の様子を見ていると、それにも深く納得できるという次第。今朝は本体整備をしており、準優を前に勝負を懸けたひと調整をはかっているようであった。

 

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 本体整備をしている選手は、竹井のみではない。準優1号艇登場の香川素子も整備室にいた。1R発売中の時点で香川のボートは裸であり、朝から整備をしていたのか、朝特訓の後にモーターを外したかの確認はできなかったが(朝特訓の後なら本体のみを外すパターンのほうが圧倒的に多いが……)、とにかく1号艇だからといって、まったく油断をしていない。昨日からインがえらく強くなっているが、だから機力に不満があっても逃げられるだろう、などとは考えていないのだ。

 

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 同じレースの2号艇・山川美由紀も整備をしたようだった。整備室の入口脇に置いたボートへの装着作業をしていたのだ。好枠ではあるが、さらに万全を期したということだろう。こうした姿勢が、ここまでトップクラスを保ってきた原動力である。

 その山川に、日高逸子が歩み寄って声をかけていた。強烈なツーショットだ。今節は売上絶好調だが、こうして花開いた女子戦フィーバーは、山川や日高がまだ注目度も浅かった頃から奮闘して築いたものだ。功労者二人が、このレディース花盛りのなかで今日、勝負の一番を迎える。実に感慨深い光景なのであった。(PHOTO/中尾茂幸 池上一摩 黒須田 TEXT/黒須田)