BOAT RACE ビッグレース現場レポート

BOAT RACE ビッグレースの現場から、精鋭ライター達が最新のレポートをお届けします。

THEピット――準優進出戦シリーズだから……!

 

 

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 丸亀の選手宿舎は徒歩で通える場所にあるのだが、バス移動の場の一部と同様、帰宿は1便と2便がある。1便は10R終了後で、作業を終えている選手が管理さんに導かれて、てくてくと歩いて宿舎へと帰っていくわけだ。

 今日、1便で帰った選手は………………4人! 4人だけ!? バスは乗車人数に制限があるので、できるだけ1便に人数を乗せる必要があり、急ぎの作業がない選手には1便で帰るよう要請があったりもするようである。丸亀は徒歩だから、その点に関しては考慮する必要はない。それにしても4人!? 後姿を見たので、ハッキリと4人が誰なのかは確認し切れなかったが、水口由紀と茶谷桜がいたのはわかった。僕的には「足に不安なし」と判断する次第なのだが、それ以上に今節のナデシコたちの精力的な努力に敬意を払いたいわけである。

 

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 48人が残っているのだから当然かもしれないが、それでも終盤の時間帯になっても整備室、ペラ室は閑散となることはなかったのだ。もちろん、ジタバタしないというのも、勝負においては大事なことだろう。モーターが好調なら、そんな必要もない。したがって、機力に不満、不安のある選手が多いということでもあるわけだ。それでも、やはり彼女たちの「とことん!」の姿勢は素晴らしいと思う。たとえば、ペラ室には、すでにベテランの粋である角ひとみの姿があり、最後の最後までペラを叩いていた。ベテランといえば、登番最上位の渡辺千草も1便では帰らず、ピットに残っていたな。宇野弥生と長い時間話し込んでいたが、大ベテランが後輩の相談を受けている図、に見えた。

 

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 長嶋万記も懸命だった。彼女の場合は整備だ。初日5着2本で、今日が早くも勝負駆けだった。しかし3着。長嶋らしいレースができていない状況だ。明日は1号艇だが、ここで何としても勝たねばならぬ。先ほどアップした勝負駆け情報によれば、1着でも想定ボーダーには届きそうもない。だが、おそらく長嶋はそんなことを考えていたわけではないだろうし、ただただ勝ちたいという思いを貫いて、整備に励んでいたわけである。

 

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 そう、この「1便で4人しか帰らない」という光景は、予選がたった3日間しかない、ということが反映されていたのかな、と思ったりする。今日は、初日に大敗を喫した選手がよく勝った。インが8勝もしているのだが、僕は「初日出遅れた選手が、1号艇では何としても巻き返さねば、との気合で走った」ことが理由のひとつではないかとにらんでいる。もちろん、1号艇以外の選手でも、今日は絶対に巻き返したいと願っていたはずで、それが予選3日間の過酷さかなと思う。水神祭を果たした川野芽唯にしても、昨日は4着6着である。11Rで大敗していれば、もう終戦だった。イン平高奈菜のS遅れという展開利はあったとはいえ、この一戦に懸ける思いも強かったはず。今回は、準優進出戦が2日目をエキサイティングにしてくれたし、また2日目後半のピット風景を賑やかなものにしていたとも言えるだろう。

 

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 昨日も書いたとおり、丸亀の試運転は10R発売中まで。今日はその時間帯に、昨日以上に多くの選手が水面を走り回っていた。渡邉優美、竹井奈美、山下友貴、遠藤エミが明日、勝負駆けに臨む面々。細川裕子、小野生奈の当確組の姿もあったが、小野は昨日の連勝から一転して、今日は大敗。その原因を探り、解消しておく必要はあっただろう。予選突破は絶望的になっている金田幸子、樋口由加里も、なんとか一矢報いんと試運転を続けていた。というか、いちばん最後まで走っていたのはこの2人でしたね。奇跡が起こることを祈っていたかも!?

 これもまた、準優進出戦シリーズの2日目らしい光景だったかもしれない。ナデシコたちの勝負師魂に触れられた気がして、なかなか気持ちのいいピットだった。

 

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 そんななかで、快調に星を伸ばしたのが、魚谷香織、松本晶恵。魚谷は無傷の3連勝! 松本は10R、今井美亜の強襲を受け、バック伸びた倉田郁美にも迫られたが、エース機パワー&巧捌きが炸裂して、1着をもぎ取った。なかなか苦しいレースに、ピットに戻ってきた直後は疲労感も見えていたものだが、同期の平山智加が出迎えて背中をポンポン。無言の祝福に、松本の目が細くなっていった。さらに、先輩の土屋千明が、控室に戻る間じゅう話しかけていて、土屋が言葉を投げるたびに、松本はニコッ。これがニコッニコッニコッと数回続いて、実にかわいらしい光景となっていた。

 松本も魚谷も、予選突破は当確。もちろん、明日も快進撃を続ける可能性は高い。その二人に、果敢にアタックする勝負駆け組たち。うん、明日の予選最終日も間違いなく興奮モノの熱戦が続く!(PHOTO/中尾茂幸 池上一摩 TEXT/黒須田)