雑記
いやあ、差さったわ差さったわ差さったわ! 口開け1Rは塩田北斗の3コースまくり差しだったが、それからはズブ差しフェスティバル。2Rは海野康志郎の2コース差し、3Rは本多宏和の6コース差し、5Rは平高奈菜の4コース差し、6Rは秦英悟の4コース差し、8Rは茅原悠紀の5コース差し、10Rは杉山裕也の4コース差し……ハァ疲れた。差しも差したり6発攻勢(北斗も入れると7発!)。イン逃げは4つだったから、今日の尼崎はまさに差し天国水面だったわけだ。
最大にして唯一とも言うべき原因は、風。前半は6m、後半に至っては8~10mの強いホーム追い風がイン選手とまくり選手を押し流し、落として差した選手だけを前に前に押し出した。何度も書いてきたが、ボートレースほど風の影響がモロに反映される公営ギャンブルは他にはない。改めてそれを強く感じさせる1日ではあった。
せっかくなので、ちょいとQ&Aビギナー講座的なことも書いておこう。舟券ベテランの方々は、読み飛ばしてもらってけっこうです!
Q1/差し抜けた6人のうち5人が偶数コースだったのはなぜか?
A1/近代ボートレースの基本戦術は、奇数コースが自力で握って攻め、偶数コースが落として差し回るケースが多い。今日も奇数選手が握って流れている間に、偶数選手がそれに連動する形で差し抜けた。シンプルに言うと「極端に追い風の強い日は、246の偶数コースが強い」と覚えておきたい。
今日、唯一の例外というか、5コースから茅原が差して勝ったのは、ちょっと別格とも言うべき強さだった。レース後のインタビューでも「内の艇より足がちょっと強めだったから、ゆっくり流しながら、どこに入ろうかなっていう感じで……」という半端ない余裕のコメントを発している。たまたま最内を差して勝ったわけだが、その気になれば違う戦術でも勝てた、と意訳してもいいだろう。こんな選手、若手ではほとんどいません!!
Q2/それにしても、他の記念レースより差しがズバズバ決まって見えたのだが?
A2/血の気の多い若いレーサーは、イン戦で握りたがる傾向が強い。ターンのスピード化が進んでいるし、経験が浅い分「落として回るとまくられそうで怖い」といった心理も働くのだろう。だから、握れば不利な追い風と知りつつ、ついつい身体と指先がいつものように反応したのだと思う。インに限らず握って流れる選手が多ければ、それだけ差し抜ける選手が増えることになる。今日はその典型的なパターンだった。ちなみに、1Rのイン島村隆幸の1マークを見れば、どれだけ握って回っているかがわかりやすいな。島村はデビューから一度もイン戦でまくられたことがないそうだが、あの超全速インモンキーに対してまくりに行ったら、張り飛ばされるに決まってます!(笑)
Q3/これほどの差し水面の中、11R青木玄太の2コースまくりが鮮やかに決まったのはなぜ?
A3/あくまで私の勝手な推測だが、クレバーな佐藤翼が「今日のイン戦は握りすぎたら差される」と判断し、そうならないように自戒していたのではないか。で、実戦のスリットはほぼ横並び。右を見ても覗いている選手はなく、まくられる不安はほとんどない。こうなれば、さらに差しへの警戒が強まるのは自然の理。丁寧に慎重に落として回った瞬間、2コースの青木が外から襲い掛かった。完全に意表を突かれた、見えないところからの強ツケマイだった。
ちなみに、その直前の10Rでも2コースの西川昌希が差しではなくツケマイを打ったが、インの岡村慶太にものの見事にブロックされた。そりゃそうだ。ふたりは同期で、西川の獰猛な?性格を嫌というほど知ってるのだから。「来る」とわかっていて来られたら、行くしかないでしょ。今日の風のセオリーを無視した西川アタック&岡村ブロック=同期競りは、それぞれ6着・4着の共倒れに終わった。まあ、お互いに「隣り合わせた相手が悪かった」というべきか。特に、インで確勝を期していた岡村にとっては……(笑)。
Q4/「追い風が吹けば差しが決まる」というセオリーが定着していて、6レースがその通りの決着だったのに、ほとんど高配当だったのはなぜ?
A4/そう、これがもっとも重要なテーマだな。今日、ヤンダビの舟券に参加した人は①完全な差し水面だと知っていて舟券を買った人、②まったく知らずネット投票などで買っていた人、に二分される。どちらが有利か。もちろん①だ。しかも、単に予想ファクターとして有利なだけでなく、配当の期待値としても圧倒的に優位なのだよ。
風や水面状況などを知らずに買った人は、ほぼ「推定・無風&静水面」を念頭に置いてフォーカスを組み立てるはずだ。普通に「今日の尼崎もいつも通りインが強いだろ」と考えて1号艇が売れまくったと思う。当然、2~6号艇のオッズは1よりもはるかに高い。一方、現場にいた我々はじめ、気象状況を知っていたファンの多くは「この風なら、差す選手が勝つ確率が高い」と考えて2~6号艇(特に偶数艇)を積極的に買ったはずだ。で、そのセオリー通りに決まれば、1号艇から過剰に?売れた分の利ざやを分け合うことになる。極端な例を挙げるなら、ネット販売で腐ったリンゴ(今日のインコースやまくった選手)だと知らずに買った人と、そのリンゴを現場で見て腐っているから買わなかった人、どちらが得をした?? ってな感じだろうか。
今日の2~6号艇が勝った配当は、特別に高かったわけではない。記念レベルの2~6アタマは、いつだって高いのだ。ただ、「今日の2コースは、いつものインコースと同じくらい強い」とわかっていれば、いつもと同じはずの配当がとびっきりのお宝配当に変わる。まさに、セオリー通りにバンバン差しが決まった今日は、お宝配当ラッシュとも呼ぶべき日だった。そして、今日の私は……このセオリーを熟知していて、セオリーに則って差しそうな2・4・6号艇の選手ばかり買っていたのに、1枚たりともお宝舟券にありつけなかった。まさに、宝の持ち腐れ。それがなんとも悔しくて情けなくて、こんな変な文面になってしまったのだな(いま、我に返りました)。
最後にひとこと。今日のような風&水面になったら、1-2ではなく2-1を買え!! そっちのほうが、はるかにお得なのだから。(photos/シギー中尾、text/畠山)