BOAT RACE ビッグレース現場レポート

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THEピット@シリーズ――グランプリジャンパー

 

 

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 井口佳典がヘルメットを頭にちょこんと乗せて、ピット内をうろついていた。なんか不思議な姿(笑)。ただ、本当に気になったのはそちらではなく、井口のウェア。グランプリジャンパーなのだ。今節、井口がこれを着たのは今日が初めて(のはず)。雨は降っているものの、特別冷え込んでいるわけではないので、「寒いから」が理由ではあるまい。まあ、たいして意味があることではないのだが、やはり井口はグランプリによく似合う、と思う。

 

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 以前、赤岩善生はこう言っていた。「賞金王ジャンパーにはこだわりがあるんです。1年間がんばって、12人(当時)に残って、やっと着れるものだと思っている。だから、出場を逃したら、僕は袖を通すことができない。ピットで着るわけにはいかないんですよ」。だから出場を逃している10年以降、赤岩は当時の賞金王ジャンパーを着たことがない。現在のデザインのものは残念ながら持っていないが、おそらくタンスにしまわれている栄光のジャンパーは取り出されたことはないのである。

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 一方で、赤岩はこうも言っていた。「(出場を逃したのに)着ている人には、その人なりのプライドがあるんでしょうね」。こだわりの持ち方は人それぞれ、ということだ。そう思ってピットを見回してみると、井口以外にも瓜生正義、白井英治がグランプリジャンパーを着ている。瓜生は今年、事件的に出場を逃した。しかし、10年も連続で出場してきたことに、プライドを持っていないわけがない。白井は昨年のファイナル1号艇だ。今年は休みが長かったりして出場できなかったが、昨年のリベンジをいつか果たすのだという思いは抱き続けているだろう。トライアル1stからシリーズに回った者でも、松井繁、今垣光太郎は引き続きグランプリジャンパーを着用中。こちらは、グランプリ出場者には違いないから、自然に着ている部分はあるだろう。

 

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 逆に、賞金ランク19位の次点に泣いた吉田拡郎は、普通のSGジャンパーを着用している。チャレンジカップはグランプリジャンパーを着ていた記憶があるので、拡郎には赤岩に近いこだわりがあるということか。19位という順位としっかり向き合うために、という意味もあるかもしれない。来年こそは改めてグランプリに、という思いがそこに託されているというのは、決して深読みが過ぎるとは思えない。

 

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 で、今村豊は、まさに“賞金王ジャンパー”を着用してます。現在のデザインのものも持っているのに、以前のジャンパーをずっと着ているのである。これ、実は去年の平和島でご本人に訊ねているのだが、ミスターはきょとんとして「荷物は全部、女房に任せてるんで」とのことだった(笑)。奥さんが詰めた服をそのまま着ているだけなのでありました。(PHOTO/中尾茂幸 池上一摩 黒須田 TEXT/黒須田)