BOAT RACE ビッグレース現場レポート

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THEピット――グランプリへの第一関門

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 準優ボーダーが低くなるため、大半の選手に予選突破のチャンスがある、というのが34人出場にして準優3個制のチャレンジカップ。となれば、大きな着を並べていたとしても、4日目を迎えてひとムチ入ろうというものだ。というわけで、4日目といっても選手の動きは活発。試運転をする選手、ペラ調整をする選手で、ピットは賑わっている。坪井康晴は本体整備。パワーアップに余念がない。もしボーダーが通常の6・00あたりだったとしたら、坪井は今日1着勝負。出番は12Rで6号艇という厳しい勝負駆けである。しかし、ボーダーは低くなっているから、そこまでの過酷な状況とはならない。それもあってか、坪井は微笑を浮かべながら装着作業をするなど、テンパった雰囲気はない。

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 予選前半ゴンロクで、昨日の逃げ切りで望みをつないだのは西山貴浩。こちらは6・00がボーダーだったとするなら今日連勝でも届かないが、今日は2着2本条件と楽ではないながら勝負駆けは残っている。西山は今朝、ネックウォーマーを鼻のあたりまで引き上げて過ごしていた。今朝はかなり冷え込んでいて、ピットも寒さがぐっと増しているわけだが、それが西山だけに「今日はコミカルな話題はいたしません」という決意表明にも見えてくる。本気でグランプリを目指して戦ってきた今年、その最後のひと勝負に懸ける思いが見える――などというのは考え過ぎだろうが、34人制のチャレンジカップだからこそ、そんなことも頭をよぎるわけである。

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 2R2着の山崎智也は、安堵の思い、だろうか。今日は当欄の想定ボーダーに到達するためには2走11点が必要で、そのうち8点を2Rで稼いだ。後半の勝負駆けはぐっと楽になった格好だ。ピットに戻ると井口佳典にからかわれるように声をかけられて、目尻が下がる。娘=山崎小葉音がデビューし、智也は“カッコいいパパ”を見せつけると同時に“カッコいい先輩”であらねばならない。そのためにはやっぱりグランプリ出場! そのためにも、後半は何としてもノルマ以上の着順を獲らねばならない。

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 賞金ランク19位の赤岩善生も、今日は特別に気合が入る一日だ。2走9点という条件だが、大敗が続けば容易に予選落ちしてしまう。それは、18位以内に入る可能性を著しく削るものでもある。ピットではいつだってあふれる闘志を見せつける赤岩だが、その目つきはいつにも増して厳しいように思えた。調整も朝から入念。赤岩の姿自体が、勝負駆けとは何かをあらわしているようにさえ見えた。

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 女子のほうは、20人出場で6人しか残ることができない。賞金ランク12位圏外から逆転を目指す選手にとっては、今日は大事な一日となる。1Rは、逆転組の大山千広が2着。初戦1着のあと落としていた着を挽回している。1着ではなかったから、笑顔満開とはいかないけれども、やはり安堵感は伝わってきた。今日はもう1走残されているが、ここからが第一関門突破へのラストスパート。後半も気合の走りを見せてもらおう。(PHOTO/中尾茂幸 黒須田 TEXT/黒須田)