BOAT RACE ビッグレース現場レポート

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THEピット――坪井に死角はあるか

 

 

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 ピットに入ると、いきなり坪井康晴がプロペラを叩いている姿が目に入った。1Rスタート展示が始まる20分ほど前のことである。これは早い。たしかに今日は気温が下がった。優勝戦の時間帯となる夕方も、おおよそ同じような数字になるかもしれない。それにしても、超抜モーターを駆る優勝戦1号艇が始動する時間としては相当に早い。大きな調整ではないにしても、通常の優勝戦の朝としては異質な光景だ。

 ただ、坪井のルーティンとも言える。昨夏メモリアルの優勝戦の日も、坪井は1日じゅうペラ調整をしていた。しかしそれは、たとえばプロペラのちょっとした凸凹を直すなど、性能に関係ない作業だったりもしたという。そうすることで落ち着く。時間を持て余さずに済む。それが大一番の日の過ごし方だったりするわけだ。今朝の特訓では、冷えたことでさらにパワーアップの気配があったという。死角はさらに潰されたとしか思えない。

 

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 早く動いた選手といえば、中野次郎も同様。次郎は、1R発売中に試運転に出ている。これも昨日の整備と同様、気合のあらわれだ。作業を言うなら、プロペラ調整。坪井を発見した直後に、次郎の姿も目に入ってきている。地元SGに懸ける思い。闘志。勝利への渇望。昨日今日と、次郎は実にわかりやすく、そういうものを発散している。もっとも、こちらの姿に気づいて、目をぱーっと見開いてにっこり笑うのは普段の次郎のままなのだが。

 

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 プロペラ調整をしていたのは、深川真二と田村隆信も同様。深川は今村暢孝と向かい合って叩いていて、時折言葉を交わしては、笑い合っている。この二人、レースのスタイルが似てますよね。外枠なら前付け。2コースに潜り込んでの差しが絶品。そうした共通点が関係しているのかどうか、二人の絡みというのはけっこう見かけるものである。二人の男らしく、また渋い笑顔というのは、なかなか痺れますね。

 

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 田村は、ペラを手に整備室と調整所を往復していて、ゲージも調整しつつの作業ということだろうか。その表情はかなり鋭く、声をかけるのがためらわれる。でも、こちらの姿を見つけると、笑顔で歩み寄ってきて「冷静に戦ってきますよ」と明るく言った。もちろん、田村の「冷静」は、時に我々を驚かせるような戦法につながったりするわけだが。

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 松井繁、守田俊介は、ひとまず作業の様子は見かけなかった。守田はまあいつものことで、松井も気候などを見据えつつ、マイペースでいつも通りに、調整を始めることだろう。今日は5R発売中に優勝戦出場選手公開インタビューが行なわれる。これを境に、それぞれの動きが活発になっていくはずだ。(PHOTO/中尾茂幸 池上一摩 TEXT/黒須田)