優勝戦の朝は、いつものことではあるが、落ち着いたものである。特に、朝に優出インタビューが行なわれるときには、その後はゆったりと過ごす優勝戦メンバーが多い。もちろん12Ｒ１回乗りで、仕上がりがいい選手が優勝戦に乗ることが多いわけだから、急いで動く必要がないということもあるだろう。
そんななかで、インタビューから戻り、地上波中継のインタビュー収録を終えるや、すぐにペラを調整し始めたのは、松井繁である。もう微調整の範囲であろう、それほど強い打突はなく、丁寧に丁寧にゲージを当てながら、時に服部幸男と会話を交わしたりしつつ、調整を進めていた。この調子で行くと、優出メンバーで最も早く試運転を始めるのは王者ということになるだろう。
田中信一郎は、調整はまだこれからのようだったが、松井と同じ流れをこなした後は、モーターを丁寧に磨き始めていた。相棒を大事に扱うのもまた、一流の所作。そして、大急ぎで手当てしなければならない部分がないことを示してもいる。その後は整備室内のペラ調整所で、ペラのチェックも始めていた。大阪の実績者ふたりが、動き出しとしては先陣を切ったようなかたちだ。
もう一人の大阪、石野貴之は優出インタビュー後はゆっくりと過ごしていた。モーターからペラは外れているものの、調整に向かう様子は見えない。凛々しい表情で淡々と、朝の時間を送っている。もちろん、午後の時間帯に入っていけば、いつも通りの調整や点検に移っていくことだろう。
ニュージェネ勢は、いずれも穏やかに過ごしていた。篠崎元志と桐生順平はプロペラもモーターに着けたまま。さまざまな選手と会話を交わしたり、私物をまとめたりしているところを見かけている。元志は地元の関係者と話し込む場面も。期待の大きさをひしひしと感じつつ、じわじわと闘志を高めていくことだろう。
茅原悠紀は、プロペラを外しており、ニュージェネ勢では調整をいち早く始める様子だった。ピット内を移動する歩様は実に早く、心身ともに調子が良さそうだ。気合が表に出やすいタイプなので、レースが近づけば鋭い表情になっていくことだろう。
全員がＳＧウイナー、グランプリ覇者も３人というメンバーだけあって、ある意味、目立った動きは見えなかったと言っていい。これもまた、ハイレベルの優勝戦であることの証しだろう。もちろん浮足立つような選手も皆無。間違いなく、内容の濃い優勝戦になることを確信した。（ＰＨＯＴＯ／中尾茂幸 池上一摩 ＴＥＸＴ／黒須田）
中田竜太は元気です。「僕って、いつも最初のうちはうまくいかないんですよ」と笑っていた。ならば次はきっとうまくいく！
１Ｒ、長嶋万記が６コースから１着。今日は誕生日！ 強烈なバースデーウィンだ！ 祝福の声をかけたら、とびきりのマキスマイルを見せてくれたぞ。
