優勝戦の朝、というのはまあいつでもそれほど変わりはないもので、ベスト６の動きは比較的穏やかである。おおむねモーターが出ている選手が優出する、わけだから、急ぎの作業というのは本来あまりないのが自然。ゆったりと過ごす選手が多くて当たり前といえば当たり前である。
そうしたなかでのちょっとした異変といえば、白井英治が朝からボートを下ろしていたこと。全体的に見ても、決して動き出しが早いタイプではない白井が、試運転とペラ調整を早々に始めていたのはけっこう珍しいことだ。昨日はペラ調整に失敗し、サイドの掛かりがまるでなかったという白井。今日はしっかり調整を、と会見では語っていて、その通りに動いているわけだ。
あと、ペラ室には湯川浩司の姿もあった。一昨日に新プロペラに交換しているので、やはり調整の必要は誰よりもあるということ。昨日も早くからペラを叩いていたが、優勝戦の今日もほぼ同じ動きだ。
それ以外は、基本的に優勝戦らしい朝と言える。前本泰和は１Ｒと２Ｒに中四国の選手が出走していなかったから、エンジン吊りでも姿を見ることがなかった。モーターにはプロペラが着いたままで、ようするにまだ作業らしい作業をしていないということになる。
菊地孝平、松井繁のモーターからはペラが外されていて、ペラ調整をすでに始めているかと思いきや、ペラ室にその姿はなし。エンジン吊りには控室から、落ち着いた歩調であらわれている。雰囲気的にも切羽詰まった様子はまるで感じられず、そのあたりは歴戦の強者といった感じ。
峰竜太もプロペラが外れていて、２Ｒ発売中にはペラ室に姿があった。その後、桑原悠のエンジン吊りに参加し、さらに桑原のモーター返納のヘルプも行なっていた。これが終わると、プロペラを装着。そしてさっそく水面へと出ていくのであった。昨日の試運転転覆は３Ｒ発売中だったとか。今日も３Ｒ発売中にボートを下したのであって、昨日と同じタイミングで動き出したというわけだ。今日はコケないでね（笑）。（ＰＨＯＴＯ／中尾茂幸 池上一摩 ＴＥＸＴ／黒須田）
