BOAT RACE ビッグレース現場レポート

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THEピット――緊張感

 平本真之が早くからペラ調整と試運転に熱心だ。昨日のレース後の優出インタビューでは、直線寄りに調整をし直すかも、というコメントを残していた。ターン回りがかなり良さそうだったので、シフトチェンジということになる。その調整を勧めているということだろう。感触次第では元に戻すことになるだろうが、まずは優勝のみを求めて試してみる。これは、SG優勝戦での平本にはよくあることだ。20年グランプリは6コース濃厚ということでチルトを跳ねる調整をして、しかし元に戻した。21年オーシャンカップではやはり6コース濃厚でチルトを跳ね、こちらはその状態で優勝戦に臨んだ。6コースから伸びていったが、5コースに止められてしまったけれども。さあ、今日は最終的にどうするのか。展示を注目したほうがよさそうだ。

 平本以外の5人は、マイペースの午前中。茅原悠紀はプロペラゲージの整理をしていて、プロペラはモーターに装着されたままだったので、帰郷準備ということだろう。おそらく、今日の調整で使うゲージは決まっている。だから、使わないゲージを片づけて、荷造りを最低限済ませておこうということだ。こういう動きは最終日にはよく見られるもの。

 坪井康晴もプロペラはモーターに装着されたままで、まだ調整を始めていない段階。茅原も坪井も、これが結局4R発売中までそのままだったので、6R発売中に行なわれる優出メンバーの公開インタビュー後に調整が本格化していくものと思われる。

 石野貴之はプロペラにゲージを当てて点検作業。それを一通り終えると、プロペラをボートの操縦席に置いて控室へと消えていった。昨日は一発も叩かなかったというから、今日も試運転の感触次第ではノーハンマーになるかも。それくらい、仕上がりには自信があるわけだ。

 池田浩二は特に作業らしい作業はしていなかったのだが、装着場を駆けている姿を数度見ており、それだけとればなんだか忙しそう。その場面とエンジン吊り以外ではまったく見かけていないので、こちらも調整はインタビューイベント後になるのだろう。

 さて、SG初優勝が懸かる磯部誠だ。3R発売中、調整所に向かってペラを叩き始めている。何しろ、すぐ右側に超抜石野がいるだけに、昨日の会見ではそれを意識しての調整をしたい、と語っていた。これまでの仕上がりをまるで変えてしまうということではなく、それを保ったうえで石野の行き足から伸びに対抗できる足を模索しようということだ。だから大きく叩き替えているというよりは、微調整に近い強度の叩き方だった。このあと乗ってみて、また調整を進めるか、し直すかといったところ。で、少しだけ言葉を交わせたのだが、頬が少し紅潮しているようにも見え、緊張しているのは間違いないと思う。だが、それで当たり前。初のSGファイナル1号艇で、緊張を感じなかったらおかしいのだ。あとはいかにそれとうまく付き合っていくか。ここからはプロペラとともにメンタルの調整もはかっていくことになる。(PHOTO/中尾茂幸 池上一摩 TEXT/黒須田)