BOAT RACE ビッグレース現場レポート

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蒲郡ヤングダービーTOPICS 初日

第一関門、突破。

 

 岡村慶太=60号機が節イチ級のパワーを如何なく見せつけた。まずは4号艇の2R、4カドに引いた岡村はコンマ26という危なっかしいタイミングでスリットを通過した。実際、2コース秋元哲のほうが1/3艇身ほど突出している。が、そこから60号機が伸びる伸びる。スリット同体だった3コース中嶋健一郎を軽々と呑み込み、さらに秋元までをも伸びなりに叩き潰した。ターン出口では逃げ粘る北野輝季との一騎打ち……と思いきや、そこから押して行くレース足がまた絶品。並ぶ間もなく北野を追い抜き、数秒で2艇身ほどのセーフティリードを取りきった。やはり、ストレートは無敵の強さだ。

 

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 後半8Rのスリットは、さらに背筋の寒い隊形だった。カド受け3コースからコンマ19の岡村に対して、5コース白神優はコンマ07!! 一気に絞めようとする白神を4カドの佐藤翼もブロックしながら絞め込むというツープラトン攻撃。岡村にとって絶体絶命の展開だったのだが、それを救ったのも60号機の伸び足だ。絞めつけられながらもグイグイ伸び返し、押し潰される寸前にまくり差しハンドルをねじ込んでいた。このあたりは、捌き巧者・岡村のテクに拠る部分も大きい。ただ、スリット同体だった2コース塩田北斗を、1マークまでに1艇身ほど出し抜く伸び足があればこそのまくり差しでもあった。

 

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 4カドまくり&3コースまくり差しでのピンピン連勝発進。それぞれ違う戦法ではあったが、「節イチ級の伸びを生かしての競り勝ち」という点では変わりはない。かねてから私が不安視している60号機の回り足に関しては、今節もまだ未知数が多いと思っている。たとえば1マークで後手を踏んで、何艇かがシノギを削る2、3着争いになったとき、岡村60号機がどんな立ち回りを見せるのか。そこでも他を圧するような足色だったりしたら、私は文句なしの節イチパワー=優勝候補の筆頭と認定するだろう。もっとも、そんな面倒な回り足を見せる間もなく、V街道を驀進する可能性もあるのだが……。

 

SGの薫陶

 

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 先の若松SGメモリアルに大抜擢されたふたりの若武者が、その存在感をしっかりアピールした。とりわけド派手なパフォーマンスを見せたのが4Rの山田祐也だ。このレースはF2持ちの佐藤翼が3コースから一気にまくるという意外な展開になった。あまりにも完璧なまくりに1着確定と思ったものだが、そこに電光石火の5コースまくり差しを突き刺したのが祐也だった。その初動の早さ(明らかに内の動きを見る前に握り始めていた)といい、旋回の速さといい、SG常連の若手レーサーにしかできない「見る前に飛ぶ5コースまくり差し」。もちろん、これができる資質があるからこそ鳴門代表として選出されたわけだが、「SGで揉みに揉まれて、また一皮剥けたなぁ」と思わせるスーパーターンでもあった。

 

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 もう一人、メモリアルでサプライズ選出された永井彪也は同じ5コースで3着止まり。とりわけ派手なパフォーマンスもなかったのだが、道中の競りで慌てず騒がず冷静的確なターンを繰り返し、危なげなく3着を取りきったあたりに成長を感じさせた。まさに「少年、3日会わされば刮目して見よ」。つい1年ほど前までは「SGはおろかヤングダービーもどうか」というレベルだった若者が、格上とも思えるレースっぷりを見せてくれる。これがヤンダビの大きな楽しみでもある。SG参戦が時期尚早ではなかったことを証明するためにも、ユーヤ&ヒョーヤには是非ともV争いの最前線で最終日まで戦い抜いてもらいたい。

 

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 さてさて、私と黒須田はここ3年ほど「ヤングダービーの舟券は初日、2日目が勝負どころ。まだ全国に名前の売れていない金の卵をいち早く見つけて、早い段階でガッポリ儲けよう」を合言葉にしているのだが、今節の金の卵は……パワー的には椎名豊がその筆頭候補だろう。今日の11Rは5コースから3着止まりだったが、道中で追い上げる迫力は半端ないものだった。ストレートは岡村60号機にヒケを取らないし、回り足もそれなりに仕上がっている。4~5号艇でいつでもS一撃がありえる超抜パワーとお伝えしておく。他では、パワー一息でも常に絞めまくりがある中嶋健一郎と佐藤博亮のふたりは、絶対に絶対に軽視してはならない。

 

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 あ、それからそれから……59kgという体重をモノともせずに素晴らしい展示タイムを連発した海野も要注意。あの体重で、しかもほとんどノーマークの66号機で、どうしてあんな時計が出るのか。ちょっと意味不明なのだが、「デビュー13年目の卒業生」は常に警戒しておきたい。(TEXT/畠山、PHOTOS/シギー中尾)