原田幸哉がいきなり本体を割っている。前検から本体整備とは、よほど感触が悪かったか。幸哉が引いたモーターといえば…………62号機!? 62号機って、エース機じゃないか! 畠山が書いている通り、正確には「旧エース機」と呼ぶべきではあるようだが、しかしかつては抜群の動きを見せていたモーターなのである。それを、前検から割っているのだから、これは異常事態だ。幸哉は本体整備を終えるとペラ調整を始め、今日の調整時刻ギリギリまで叩き続けていた。
ペラ調整を終えた幸哉に聞いてみた。「とにかくすべてがおかしかった」そうだ。キャブレターや電気位置、さらにはプロペラまで、整備する部分が山ほどあったという。発表される8部品以外で、交換も行なったそうである。エース機に対するコメントとはとても思えなかった。ただし、できる調整はすべて行なった。ペラもひとまず叩き切った。あとは明日乗ってみてどうか、ということになる。幸哉の手腕でエース機が復活する? それともさらに調整が必要になる? 明日の幸哉のレースをしかと注目しよう。
幸哉以外では、三井所尊春が本体を割っていた。うーん、伸び伸び帝王の三井所、今節は苦しいか。この整備で伸びを引き出してくれれば、三井所らしいレースで浜名湖をおおいに沸かせられるのだが。こちらも明日の気配を注目しよう。
一方、スーパーエース機=47号機を引き当てた岡崎恭裕。前検航走を終えた岡崎に、OKマークを出してみると、「そりゃあ、ねえ」とニッコリだ。やはり好感触! ここはオールスターを8年前に制した地(もう8年も前なのか!)。あの日の再現をおおいに期待できそうな雰囲気である。岡崎といえば、当ブログの読者でもある(もちろん節を終えたあとにまとめて見てます)。当欄のお引っ越しも知っていた。今節を終えて帰郷したときには、岡崎の記事であふれてたりして? 「今日の岡崎」みたいなコーナーができるくらい激走しまくれ!
さてさて、一般戦優勝回数が選考条件にあるせいか、クラシックはSG常連以外の選手も少なからず出場していて、ピットの風景が新鮮に感じるもの。たとえば、大賀広幸。かつてはもちろんSGでも活躍した大賀(98年メモリアル優勝戦は大賀から大勝負したなあ)、マスターズ世代となってふたたびこの舞台に帰ってきたことが、僕的には非常に嬉しい。JLCキャスターの佐山夏子さんも、再会を喜んでいた。
近畿地区選Vで出場権を掴んだ野添貴裕に会えたのも嬉しい。まくり爽快で、けっこう好きな選手なんです。美味しい舟券も獲らせてもらってるし。その近畿地区選が実に19年ぶりのGⅠ制覇。来月のマスターズにも出場するが、SGでその雄姿を見れるのが感慨深いではないか。
SG初出場となった前沢丈史にも期待したい。東京のファンとしては、安定した実力がようやく全国区になりつつあることが、やはり嬉しい。97期といえば、西山貴浩や山口達也が先行しているかたちだが、ここでの活躍で一気に肩を並べるのは可能なはずである。初のSGでも臆することなく、持ち前の腕を発揮してもらいたい。
こうした選手たちにもチャンスが回ってくるのが、クラシックのいいところかも! SG初優勝が出やすいと言われるのも、“隠れた実力者”がチャンスをつかんで活躍するから、という部分もあるだろう。ニューヒーローの誕生に期待だ!(PHOTO/中尾茂幸 黒須田 TEXT/黒須田)