BOAT RACE ビッグレース現場レポート

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THEピット――ジャンプアップ目指して

 グランプリに賞金6位以内で行く、というのは黄金のヘルメットを意識するのならもちろん大事なことだが、まずは18位以内に入って、トライアル1stの舞台に最低でも立たなければどうしようもない。だから、現在賞金ランク19位以下の選手たちはまずは18位以内にジャンプアップすることを目標にすることになり、たとえば現在19位の菊地孝平は現在18位の篠崎元志を最低でも追い抜かなければならないわけだ。その菊地と篠崎の賞金差は約25万円。予選のあいだに入れ替わることもありうる差額で、初日からきっちりと結果を残していきたいところ。菊地は今日、まずはペラよりも外回りを優先しての調整。篠崎もそうだが、前検日の作業時間をびっしりと使い切っている。

 21位の今垣光太郎は篠崎と約500万円の差があり、確実に追い越すには優出が欲しいところ。ということは、22位より下の選手は最低でも優出、という勝負駆けになりそうで、予選での取りこぼしが許されない状況ということになる。今垣の場合は地元SGで結果を出すということも大命題になるが、15年オーシャンは準優1号艇で僅差の3着、優出を逃しているだけに、そのリベンジがそのままグランプリ出場に近づくことでもある。その今垣は早くも本体整備。よほど感触が厳しかったのかと心配にもなるが、ただし三国の調整を知り尽くしている今垣だけに、逆にこれでいいのではないかとも思えたりする。

 ちなみに、今垣以外で本体を割っているのが確認できたのは峰竜太、池田浩二、篠崎元志、土屋智則。そう、18位ボーダーの篠崎は本体整備に取り組んでいたのだった。18位を守るというより、さらに上を狙っていくのが当然なだけに、早くも勝負に出ているという見方もできる。また、この4人、すべて賞金ランク18位以内の面々でもあるのだった。選考1位選出(その後の記念の結果により、馬場貴也に抜かれて現在は2位)の峰もここに名を連ねているのは少々意外ではある。

 昨年のグランプリファイナリストである原田幸哉は現在29位、片岡雅裕は現在32位。原田は優出4着以上がほしいところで、片岡は準Vあたりが条件となるか。これまでに何度もグランプリに出ている原田はともかく、昨年が初出場だった片岡としては、2年連続で出場して自分の立ち位置をしっかり見せつけたいところ。それだけに今節は気合も違っていなければおかしく、準Vが欲しいのであれば予選でも快走して得点率上位で予選を切り抜けたいところだ。片岡はやはり時間をたっぷりと使ってペラ調整。前検航走を終えれば今日はもう乗れないわけだが、今日の段階でしっかりと叩いておいて、明日の朝の試運転や調整に備えようということだろう。

 今節がSG復帰戦となる白井英治は、どうやら優勝条件ということになってきそうだ。ダービーで峰がSG復帰即優勝を成し遂げており、白井もこれに続きたいところなのだが、今日の白井はかなり自然体で過ごしていたのだった。多くの選手が前検後の調整に時間を費やすなか、早々に着替えを終えた白井は基本、エンジン吊りに参加するのみ。もともと、よほど感触が悪い場合以外はガツガツと調整をするタイプでもないわけだが、今日は圧倒的多数が作業時間を目一杯使っている傾向にあったので、逆にその余裕が目立って見えたのであった。そして、この気負いのなさが逆に怖いのでは、と思ったり。

 ところで、前節に石川真二が引いてバナレ仕様に調整しながら、しかしエース級の1機と目される36号機。これを引いたのは中田竜太だった。試運転をいったん切り上げてきた中田に「ペラ見た?」と尋ねたら、「やばいっす!」と苦笑い。そりゃそうだ。自分とはまったくスタイルの違うペラなのだ。しかもそれが素性良しとなれば、実に悩ましい。叩いても動いてくれるのか。いっそこのまま戦うのか。「エンジンはいいと信じます!」とも言っていたので、どうやら自分の形に叩くことになりそうだが、これが果たしてどう出るか。中田は現在39位で準Vで届くかも、安全圏なら優勝という条件になりそう。そうそう、昨年のチャレンジカップは深谷知博と鎌倉涼が揃って優出し、鎌倉は無念だったが深谷は6コースから優勝して勝負駆けを成功させた。今度は中田&浜田で同様のシーンを生み出せるかどうか注目したい。

 で、浜田亜理沙のほうはすでにクイーンズクライマックス当確。今節はトライアル初戦の枠番を少しでも内へ、という戦いになる。前検航走を終えたあとには中田とツーショットで話し込む場面もあって、戦うステージがまったく違うことから、正真正銘、助け合い支え合いながらこのシリーズを駆け抜けていくことになるだろう。W優勝で深谷鎌倉夫妻を超えろ!

 GⅡのほうももちろん、13位以下の選手は12位以内を目指して戦うことになるわけだが、やはり注目したいのは藤原菜希。クイーンズクライマックスは地元多摩川開催、東京支部で出場の可能性が残っているのは藤原だけなのだから、何としてもの思いは強いだろう。現在女子21位の藤原は、優勝条件! 厳しい勝負駆けだ。今日は前検航走前も後も、わりと柔らかな表情に見え、勝負駆けの気合!てな感じではなかったのだが、戦いが始まる明日からはどんな雰囲気を漂わせるのか。ヒリヒリする戦いを見せてほしいぞ!(PHOTO/中尾茂幸 TEXT/黒須田)