BOAT RACE ビッグレース現場レポート

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徳山グラチャンTOPICS 3日目

地元3強の明暗PART2

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 64年ぶりの徳山SG奪冠に燃える長州トリオ。いや、徳山のみならず下関でもSGタイトルを手にしたことがない山口支部にとって、今回のSGはまさに悲願成就の舞台だ。が、今日の3強はまたしても明暗がくっきり分かれてしまった。
 今日は明るい方から伝えよう。昨日に続いて寺田祥! 7Rの寺田は6号艇という試金石。スタート展示ではスローの5コースを選択したが、本番は⑤深川真二の前付けでスロー勢が深くなるのを確認してから最アウトに舳先を翻した。1253/46。この隊形に、1日早い勝負駆けの④徳増秀樹が燃えた。5カドからコンマ06、おそらく全速。スリットから一気に突き抜け、まくるまくる。迷うことなくインの森高まで攻め潰した。
 こうなればアウトの寺田も絶好の展開があるとしたものだが、どうしたことか徳増をマークしきれず千切れてしまった。バック入り口では完全に後手を踏んで4番手まで。ただ、ここからの追い上げが素晴らしい。2マークは最内から鋭角ターン一発で2着争いに参入。2周1マークは内の桐生順平を全速の抱きマイで追いつめ、逆に2マークでは冷静な差しハンドルで一気に突き放した。鮮やかなコンビネーションブロー。もちろん競り勝った相手を考えれば、今日の64号機も抜群~超抜と言うしかない。

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 昨日は5号艇で1着、今日は6号艇で2着。この2戦で寺田が得た貯金はあまりにもでかい。昨日からの予選トップの座をきっちり守り切り、明日は4号艇&1号艇の2回走り。11Rの1号艇を確勝とするなら、前半6R4号艇で2着ならば予選トップが見えてくる。今節の寺田のリズム&パワーを加味すれば、十二分に実現できる着順だろう。

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 続いて、白井英治。こちらもまた実りのある1日だった。前半5Rはスロー4コースからまくり差しが届かず3着まで。可もなく不可もない安定の3着というレースだったが、プレッシャーのかかる最終12Rのイン戦を危なげなく逃げきって貴重な10点を加算した。今日の3着1着で昨日の16位から一気に3位までジャンプアップ。明日は5号艇で、寺ショーとの予選ワンツー当選を目指す“勝負駆け”となる。

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 後輩のふたりが奮闘する中、絶体絶命のピンチを背負ったのが山口支部の総大将・今村豊だ。今日は寺田と同じ6号艇の一発駆け。オールスローの6コースからコンマ07まで踏み込んだが、スリット横一線(07~09!)では仕掛けようもない。直進してからのターンマーク差しは5番手まで。そこから執念の追い上げで3着争いに潜り込んだが、要所要所で競り負けて5着に終わった。
 足色的には昨日より競れるムードは感じられたものの、2度ほどサイドが掛からず真横に流れるシーンもあった。良く見積もって中堅ど真ん中か。明日はこれまた寺田と同じ4号艇&1号艇の勝負駆け。片や予選トップ勝負、こちらはピンピン連勝で6・00という悲痛な戦いだが、もちろん絶望的な条件ではない。部品交換などの勝負手も含めて、明日のミスターにも声援を送り続けたい。

不気味なエース

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 地元3強以外のV候補たちは、今日になって勝率を落とす選手が続出。昨日の当欄でピックアップしたドリームレーサー菊地孝平もコンマ04&13のトップSが報われずに4着6着。明日は予選トップどころか、準優ボーダーの勝負駆けに臨むことになった。
「晴れのち土砂降り」みたいな1日になったのが、昨日まで6位の茅原悠紀だ。前半1Rは5コースから、朝ボケの目が覚めるような凄まじいまくり差し一撃。ニュージェネ軍団の「見る前に飛ぶ5コース全速まくり差し」はもはやSGの定番なのだが、何度見ても惚れ惚れしてしまう。
 でもって、この1着で勝率8・00までアップした茅原の後半9Rは待望の1号艇。ここをすんなり逃げきってしまえば、8・40で寺田に次ぐ2位まで浮上するはずだったのだが……インからの起こしでブルが入ったか、コンマ26という冴えないスタートで2コース須藤博倫のジカまくりを喰らった。まさかまさかの6着惨敗。せっせと蓄えた貯金を一気に吐き出し、8位まで下落した茅原だった。まあ、この男の場合はたとえ予選18位(定位置?)でもまったく侮れないV候補ではあるのだが。
 菊地、茅原以外でも、昨日まで4位の服部幸男が6着5着。同7位の深川真二が6着、同8位の毒島誠も5着……次々と予選トップ争いから脱落。もちろん、この流れは地元3強にとっての追い風になることだろう。

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 逆に、不気味なムードを漂わせているのが東都のエース・濱野谷憲吾だ。今日は鬼門の6号艇6コースをものともせず、捌きに捌いて美味しい2着をゲット。64号機のパワーをしっかり引き出し、3242着というらしい成績で暫定11位に付けている。久々にGIも制してリズムは抜群だし、機力も回り足を主体に抜群レベルだし、前検の56キロから53キロまで減量したし(笑)、まさに不気味な存在と呼ぶしかない。明日の憲吾に残された枠は、待ちに待った1号艇の一発勝負。ここをきっちり逃げきって勝率7・20まで引き上げれば、11年ぶりのSG制覇も現実味を増してくる。
 それから、今日のイン逃げで暫定2位に跳ね上がった池田浩二も、もちろん予選トップの有力候補。ただ、明日は6号艇の鬼門を残しており、そこをどう乗り越えるか。尼崎オールスターで10万舟を演出した6コース差しが再現できれば(8・40で、寺田は①②着が必要)、4年半ぶりのSGタイトルに大きく近づくことになる。

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 最後に、今日もやっぱり小野生奈。ふたつの好枠を与えられた今日の生奈は、最低限のノルマをクリアした。1号艇の1Rは前述。茅原のカミソリ差しに屈したものの、焦らず騒がず冷静な立ち回りで2着を確保。後半の10Rも2コースから鋭い差しを繰り出し、あわや舳先を突っ込むかという見せ場を作りつつ枠番と同じ2着を取りきった。当たり前のように16点を加算した印象だな。初戦からがっちり舟券に絡み続けて、目下の予選ランクは5位! 明日の10R4号艇で1着(7・60)を獲ったりしたらば、相手次第では予選トップまでありえる好位置だ。逆に6着(5・80)だと予選落ちもありえるのだが……。(text/畠山、photos/シギー中尾)