THE勝負駆け①予選トップ争い
独壇場
予選トップの経緯について、書くべきことは少ない。前半戦で大勢が決したと言っていいだろう。まずは4R、イン戦で確勝を期したはずの暫定2位・辻栄蔵が、前付けした深川真二30号機に一気にまくられた。スタート遅れ(コンマ31)が最大の敗因だが、そこから伸び返す迫力も乏しく「回り足は強烈だが伸びは平凡」という今節の辻35号機の弱点をモロに突かれてしまった。5着大敗で予選勝率は7・60に急降下。
一方、5R4号艇の暫定シリーズリーダー寺田祥は、4カドから自力で攻めきれずにやむなしの根っこ差し。かなり攻めが遅れたように見えたのだが、いざ回ってみれば舳先が逃げる吉川元浩に突き刺さっていた。こうなったらもう、今節の寺田52号機に負けるべき要素はない。ぐんぐんと舳先を突き出して2マーク先マイし、出口のあたりで3艇身ほど置き去りにしてしまった。まくっても、まくり差しでも、根っこ差しでも無敵の強さだ。
貴重な10点加算で節間9・60とした寺田は、この時点で2位以内が確定。トップを脅かす存在は11Rの平本真之だけになったが、その前に寺田が「9R1号艇で③着以内なら自力トップ確定」という権利をゲットした。
そして……9Rの寺田はスタートでやや後手を踏みながらも、ゴキゲンな伸び返しで1マークを先制。笠原亮の5コースまくり差しを秀逸なレース足で完封し、12111着という成績で予選を終えた。まさしく独壇場。残り2戦を逃げきれば、丸亀オーシャンカップの峰竜太に続く新たなSGウイナーが誕生することになる。寺田の精神面が極端にぶれない限り、その可能性はかなり高いとお伝えしておく。
THE勝負駆け②予選ボーダー争い
地元の明暗
準優ボーダー争いに移ろう。明暗がくっきり分かれたのは地元勢だ。もっとも残念だったのは池永太。昨日まで2143着と大崩れなくコツコツとポイントを積み重ね、昨日まで7位という好ポジションに付けていた。今日の4Rは「2号艇で⑤着以内」という穏やかな条件だったのだが……シャカリキに攻めてきたセンター勢に絞め込まれ、なす術なく失速。同じくセンター勢にまくられた辻との5着争いにも競り負け、ただひとつ取ってはならない着順でゴールを通過した。1点足らずの落選。
8Rは昨日まで16位に踏みとどまっていた渡辺浩司が「4号艇で③着以内」という勝負駆けにアタック。1マークで後手を踏み4番手に甘んじたが、このまま終わるわけにはいかない。2マークで意地の切り返しを敢行して3番手の田中信一郎に肉薄。あの手この手のチャージを仕掛けたものの、ついぞ信一郎を抜き去ることはできなかった。こちらも1点足らずの落選。
一方、ド派手な活躍で大逆転の予選突破を果たしたのが前田将太だ。今日の勝負駆けは2号艇と5号艇で②②着条件。なかなかに厳しいものだったが、まずは1Rで永井彪也との2着争いに競り勝ち最低ノルマの2着確保。さらに7Rでは4コースからスピーディな最内差しで逃げる森高一真に肉薄し、抜きつ抜かれつのデッドヒートの末にノルマを超える1着フィニッシュ! 昨日の27位から一気に15人を抜き去り、12位で準優のチケットをゲットした。
そしてもうひとり、今日の5Rで「6号艇③着以内」というタイトな条件に挑んだのが地元の大将格の篠崎元志だった。地元だけに前付けもあるかと見ていたが、動じることなく6コースを選択。1マークでは5コース石渡鉄兵のまくりをマークしつつ根っこ差しのハンドルを入れたものの、やはりコースが遠すぎてバック4番手止まり。「元志、お前もか!?」という大ピンチの局面から、2マークは開いての全速差しなど的確な勝負手を放って眼前の坪井康晴を追い抜いた。ギリギリ3着で予選突破。結果論ではあるが、地元のニュージェネ・コンビが勝負強さを発揮した1日でもあったな。
そうそう、ニュージェネといえば峰竜太と茅原悠紀も鮮やかに勝負駆けを成功させた。2走で③③という比較的ハードルの低い条件だった茅原は3・1着であっさりクリア。一方、3号艇でメイチ①着条件だった峰は3コースからマサカリでカチ割るような猛烈なまくり差しを決め、SG連覇の夢を明日につなげた。ニュージェネ軍団では篠崎仁志と岡崎恭裕の地元コンビが落選したが、それでも上記4人に桐生順平、平本真之、新田雄史を含めた7人が予選突破!! 松井繁や今村豊、今垣光太郎ら古豪がこぞって落選した事実も含めて、確かな世代交代の息吹を感じる1日でもあった。
そうそう、今日も最後に一言……勝負駆けとは無縁の話だが、整備の鬼・赤岩善生が今日もクランクシャフトとシリンダーケースを交換!! やはり6着完敗も、道中で王者と競り合ったあたりは気配アップの兆候かも?? 明日も頑張れ、赤岩2号機!(text/畠山、photos/シギー中尾)