●本日の山口支部
メインカード12Rの1号艇で白井英治が登場。1号艇という枠番はもちろん必勝の気合で臨む一戦となるが、12Rの1号艇というのは重い意味がある。番組的に、その日の主役としての期待がかけられるからだ。地元SGなのだから、その思いは白井の胸にもびんびん迫る。白井の表情は、レース前から非常に鋭いものとなっていた。
結果は1着。安堵もあるだろうし、さらに強い決意が生まれたりもしているだろう。レース後の白井に笑みはない。険しい目つきを変えようともしていない。明日はもう一丁、気持ちのレベルを引き上げて予選最終走に臨むことになろう。
早々にレースを終わらせていた今村豊と寺田祥は、特に大きな動きはなく、ともすればのんびりとも見える雰囲気で過ごしていた。それでも、選手班長の今村はもちろんのこと、寺田も1便で帰宿することはなかった。最後まで残って、盟友・白井の勝利を見届けている。二人とも明日は1号艇。今村は切羽詰まった状況、寺田は逆に地元Vに王手をかけることになるかもしれない戦い。ヒリヒリする戦いとなるだろう。地元軍団にとって、明日は今節ひとつの山場となる。
●勝って王冠の緒を締める
11Rを松井繁が逃げ切った。この勝利をもってしても、明日の勝負駆けは勝って結果待ちとなりそうだが、しかし王者としてはここで負けるわけにはいかなかっただろう。
レース後、エンジン吊りに参加した湯川浩司と談笑。写真の通り、湯川がのけぞって笑うほど、朗らかな会話となっていたが、その後の動きはさすがだった。すぐに整備室に飛び込むと、ペラ調整を始めたのだ。レースをしてみて得た感触がある。それをもとに、ペラを叩いた。しかもそれは、12Rのファンファーレが鳴ってもなお、続いていた。勝って兜の緒を締めよ、という諺があるが、この男の場合は王冠の緒か。これもまた王者たるゆえん、ということになるだろう。
●延々と
同じ大阪支部の田中信一郎も、最後の最後まで作業をしていた。8Rで出走を終えているので、1便で帰ることも可能だったはずだが、田中はペラ調整所に陣取り続けた。正確には、ペラゲージ擦りを行なうテーブルで作業を続けた、ということになる。整備室を覗くたび、そこには田中の姿があった、と言っても大げさではない。時折、そのテーブルから離れてペラを叩き、またテーブルに戻る、という動きも。田中は明日、勝負駆けに臨む。この努力を明日もできうる限り、続けるのだろう。
●オールスターウィナー
近年、オールスター→グラチャンを連続優勝するケースが頻発している。14年の菊地孝平、15年の山崎智也、そして昨年の石野貴之。どんな因果関係があるかについてはまた改めて考察するとして、今年その権利を持つのが中島孝平だ。
中島はオールスターでは、節間ほぼノーハンマーで戦った。前検で好感触を得て、あえて叩くのを我慢したのだ。三国のGW開催で初めて試して奏功したことで、SGの舞台でもそれを貫いたらしい。整備をしないことも整備、と好モーターについては言われたりもする。オールスターでは何もしないのに日々乗り味も上向いたというから、何もせずに走って馴染ませることが調整になるということもあるのかもしれない。
対照的に、今節はペラ調整所にいる時間が長い。すなわち、オールスターのときのような感触はない、と考えていいだろう。もっとも、とことんペラと向き合うのも本来の中島のスタイル。今日も結局、12R発売中までペラ調整所に残った一人となっていた。明日は2着3着条件の勝負駆けとなる模様。最後のひと叩きが奏功するや否や。
●最強の年
12R発売中、閑散としたピットの片隅で西スポのショージ記者と雑談していたら、小野生奈がやってきた。ナンダカンダと話しているうちに、「4年に1回、2月が29日まである年」の話題となった。生奈はその年のことをこう言った。「ウリュウ年」。うーん、めちゃくちゃ強そうな年ですね。しかし、我々はあまりにも頻繁にウリュウという言葉を耳にし、口にもしているので、一瞬まるで違和感なく響き、そういうものだとしてスルーしそうになったのだった。ということで、ボートファンは閏年のことをウリュウ年と言うことにしましょう。僕は言います(笑)。
(PHOTO/中尾茂幸 池上一摩 黒須田 TEXT/黒須田)