BOAT RACE ビッグレース現場レポート

BOAT RACE ビッグレースの現場から、精鋭ライター達が最新のレポートをお届けします。

桐生レディチャン 準優ダイジェスト

逃げ圧勝①

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9R
①細川裕子(愛知)31
②田口節子(岡山)30
③向井美鈴(山口)32
④中里優子(埼玉)27
⑤香川素子(滋賀)25
⑥守屋美穂(岡山)19

 スタートは↑御覧の通りの遅さ。8Rあたりから強くなったホーム向かい風の影響だろう。スロー3艇が遅いなりに横一線で、ダッシュ勢も踏み込みきれなかった。今節、グイグイまくっている中里がコンマ15前後まで突っ込めば、まったく違うレースになっていただろう。

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 戦前の私は「イン戦の細川のスタートがやや心配」と思っていたのだが、みんなで遅れりゃ怖くない。田口の差しと中里のまくり差しを完封して、しっかり逃げきった。今節の細川の成績は2223221。パワー的に突き抜けるほどの迫力はないが、どの部分にも欠点が見当たらない安定感のある足色だ。

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 バック中間で焦点は2着争いに。ここも2コースから差した田口が外の中里を徹底ブロックし、2マークのスピード旋回でファイナルの2議席目をほぼ手中にした。早々に縦長の隊列になったので細川vs田口のパワー比較は難しい。
 「1マークで細川が一気に突き放したから細川のレース足が上」という見方もできるが、強めの追い風でしかも中里の引き波を浴びながらの2コース差しだっただけに、安易な決断はできない。しかも54号機は「マッチングが合えば行き足~伸びが節イチ級」という特長もあり、明日のダッシュ戦(想定)が楽しみでもある。

逃げ圧勝②

10R
①寺田千恵(岡山) 11
②宇野弥生(愛知) 08
③落合直子(大阪) 08
④小野生奈(福岡) 09
⑤樋口由加里(岡山)12
⑥津田裕絵(山口) 16

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 こちらは向かい風を計算に入れて、それぞれがしっかり踏み込んだ。で、早いなりに横一線になれば、やはり内コースが有利になる。宇野の差し、落合のまくり、小野の二番差しを寄せ付けずに寺田が鮮やかに逃げきった。寺田の足は初日からいい感じで、特にスリット前後の行き足が強い。その後の伸びは突き抜けるほどではないが、スリット同体から覗いて主導権を握るだけのパワーはある。

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 バック直線の2着争いは、9Rよりも混戦に。二番差しの小野がギリギリ宇野に舳先を引っ掛け、2マークを先取りした。が、今節はそこでのサイドの掛かりが甘い。外に流れたところを宇野がスパッと差し抜け、その後も生奈と落合の追撃を的確なターンで退けた。

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 宇野の足もかなり強力。初日は展示トップ時計を出すほど伸び寄りだったが、それを手前に引き寄せてバランス型に。今日はその強化した出足がモノを言った。5号艇の明日もハナから展開を突くつもりなら現状のバランスでいいだろう。が、私らしくスリットから自力で攻めたてるなら、セッティングを変える(初日に戻す?)可能性もある。どんな選択で臨むか、明日の気配に注目しておきたい。

逃げ圧勝③~そして、哀しみの包囲網

11R
①山川美由紀(香川)13
②松本晶恵(群馬) 17
③廣中智紗衣(東京)12
④土屋千明(群馬) 10
⑤倉持莉々(東京) 17
⑥谷川里江(愛知) 15

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 このレースはスリットにわずかな凹凸があった。凹んだのは地元の松本。勢い3コースの廣中が握って攻めたが、先マイした山川には届かない。盤石の逃げ。ターンの出口から押して行くレース足は、他の準優のそれよりも強烈に見えた。山川11号機に対して「B+?」などという節穴な評価を下している私は、今日もしっぺ返しを食わされた。どこからどう見てもA以上の出足系統だ。明日もスリット同体になってしまえば、あのレース足を生かして他艇を置き去りにする可能性は高い。そうと知りつつ、明日の私はどんな予想をするのか……色んな意味で自信がないなぁ(苦笑)。

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 一方、2着争いが凄絶を極めた。文句なしの今節イチの2着争いだった。常に先行していたのは廣中。その背後から追撃したのは松本&土屋の地元コンビだ。まず、1周2マークは土屋が内から切り返し気味に嫌味をつける。それを察した松本が外に開いて展開を突く。阿吽の呼吸の地元包囲網。それでも、初日から回り足が強力な廣中が2周ホームでシュッと抜け出す。

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 2周1マーク、今度は最内の松本が廣中に猛アタック。2艇が接触するほどの競り合いになり、外に開いた土屋が絶好のチャンスを迎えたのだが……土屋は流れている2艇の外を全速でぶん回してしまった。その間に、また出足が強力な廣中がグイッと前に飛び出す。
 2周2マークも、内の松本がまたまた突進気味の切り返し。外から面倒を見切れないとみた廣中は、冷静にこれを行かせて差しハンドルに構えた。好判断で、決定的な3艇身差。が、松本は諦めない。3周1マークは戦法を一変し、外に開いての全速差し。これで廣中との差が一気に縮まり、わずか1艇身差。俄然やる気になった松本は、最終ターンマークで捨て身の切り返し=ダンプを繰り出した。ゴツッと2艇がぶつかり合い、廣中の艇が真横に流れる。作用反作用で、松本の艇だけが前に進む。追いかけて追いかけて2度も接触して、ついに松本が廣中を捕えた。凄まじい地元の意地。

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 レース後、松本の最終ターンマークのダンプは不良航法と見なされ、ファイナルの権利を失った。うーーーん、あのダンプが反則=賞典除外になるほどのラフプレーだったかどうか。記者席の面々も「うーーーん」。
「何度か突っ込んだから、合わせ技一本なのかなぁ」
 そう呟く記者さんもいた。いずれにしても、アウェー1vsホーム2の地元包囲網は、結果として報われることはなかった。私個人としては、地元コンビ(とりわけ松本)の優出に懸ける熱い思い、それをすべて余すところなく水面に投下した闘魂チェイスに拍手を送りたい。
 繰り上がりで最後のチケットを獲得した廣中の足は、優勝戦の中でもヒケを取らない。特長は強力な出足系統で、引き波を超えるパワーは節イチだろう。6コースからではよほどの展開がない限り優勝は難しいが、混戦を切り裂いて舟券に絡む不気味な穴パワーではある。(text/畠山、photos/シギー中尾)