BOAT RACE ビッグレース現場レポート

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浜名湖レディチャンTOPICS 初日

パワハラシリーズ??

 真夏の女王を決するシリーズの初日は、機力上位の選手たちが1マークまたは道中でガンガン舟券に絡みつく「パワー決着」が続出した。

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 たとえば、3R6号艇の倉持莉々。もっとも不利な6コースから発進した倉持は、スリットから5コース浜田亜理沙に完全ガードされる苦しい隊形に。セオリーとしては「浜田が握るのを待ってのアウト最内差し」だが、伸び足に分のある倉持は強引なツケマイで浜田を叩き潰し、バック4番手からさらに鬼気迫るレース足であれよあれよと2着に食い込んでいた。

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 さらに、倉持のツケマイを浴びて大差のシンガリだった浜田も、そこから追って追って追ってミラクル3着をGET。もちろん、先行艇がやり合うなど展開の利も味方したのだが、2着・倉持&3着・浜田の実戦足はピカピカに輝いていた。

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 たとえば、7R5号艇の細川裕子。5コースからスタートでやや後手を踏んだ細川は、苦しいながらも狭い間隙に舳先を突っ込んで先行集団に。コンマ04まで突っ込んだイン海野ゆかりには一歩及ばなかったが、松尾夏海との2着争いに持ち込んだ。

 

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  舳先を揃えた道中は、内に構える松尾が断然有利。だがしかし、細川はこの若き成長株に強ツケマイ~強ツケマイという力任せの強打を連発。松尾も必死にブロックしたものの、48号機のパワーを受け止めきれずに3番手を余儀なくされた。
「こ、これって、パワハラじゃん!?」
 うっかり私は叫んでしまったが、これは細川糾弾でも差別用語でもない「48号機の機力ハラスメント」という意味ですんで悪しからず(笑)。とにかく、今日は一事が万事、こんな感じでパワフルな面々がグングン着を押し上げたわけだ。

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 ちょっと視点を変えて、より分かりやすい事象を紹介しておこう。今日の展示タイムだ。普通、展示タイムは引き波のない1号艇がトップに収まることが多いのだが、今日の一番時計はてんでバラバラ。むしろ3~6号艇に集中し、各レースのトップ選手はまんま「機力(特にストレート)もトップ」というメンバーが並んだ。そして、このトップ時計の面々が縦横無尽に暴れ回ったわけだ。

★今日の展示トップ選手
1R西橋奈未=5号艇2着(バック大接戦から圧倒的な伸び足で抜け出す)
2R(複数)中村桃佳=2号艇1着・山川美由紀5号艇2着・富樫麗加6号艇3着・向井美鈴1号艇4着(4人同タイムであまり参考にならないが1~4着は独占、向井はまさかの周回誤認で即刻帰郷)
3R倉持莉々=6号艇2着(前出)
4R高田ひかる=2号艇2着(スリット同体から伸び突出ジカまくり~③中川りなのマーク差しを浴びる)
5R平田さやか=1号艇3着(スタートで後手を踏み、③金田幸子のS一撃まくりを浴びる)
6R渡邉優美=2号艇2着(①堀之内紀代子11号機と激闘)
7R細川裕子=5号艇2着(前出)
8R土屋実沙希=3号艇2着(スリットから伸びて強ツケマイ、惜しくも届かず)
9R西橋奈未=3号艇2着(3コースまくり差しは②大山千広に弾かれたが、2マークの悶絶小回りターンで大逆転の2着!)
10R平高奈菜=3号艇1着(スタート張り込み、さらに強烈な伸びでハコまくり一撃)
11R高田ひかる=5号艇3着(ドカ遅れからバカ伸びまくり差し~道中も伸びに伸びて3着確保。「出足ゼロ」だった前検より手前の足も良化か)
12R遠藤エミ=2号艇1着(スリット同体から伸びてプレッシャー~差し抜け一撃! 前検での見え方より実戦のほうがはるかに迫力があった)

 まず、展示トップ時計の1号艇が2R向井(4人が同タイム)と5R平田のふたりだけ、という事象がちょっとしたレアケース。それだけ今日はパワー相場に格差があった、という見方ができる。

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 そして、1号艇以外でトップ時計を叩き出した13人(2Rのトップタイ3人含む)が、「すべて枠番以上の好成績を挙げた」という点は大いに注目すべきだろう。この2~6号艇の13人のトータル成績は【1着率25%、2連対率83%、3連対率100%!!】(浜名湖の直近1年の展示トップ成績は【1着率27%、2連対率46%、3連対率63%】)。「すべて舟券に絡んだのは、たまたま偶然」と片付けることもできるが、上記のメンバーを見る限りはある程度の必然性が存在する気がしてならない。私の今日のパワー鑑定と、かなり一致する面々だから。初日を終えてのパワー評価も記しておこう。

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初日の独断パワー評価
★★★S(超抜)=細川裕子、遠藤エミ
★★A+(抜群)=倉持莉々、西橋奈未
★A(上位)=渡邉優美、堀之内紀代子、平高奈菜、高田ひかる
★B+(中堅上位)=中川りな、金田幸子、水野望美、浜田亜理沙、富樫麗加、櫻本あゆみ、土屋実沙希、守屋美穂

 昨日の前検評価とあまり変わらない中、完全に見逃していたのが西橋36号機。展示タイムも強烈だったし、それにまんま比例するスリット近辺の行き足~伸びは惚れ惚れするほど力強かった。もちろん【展示タイム=正味の機力】とは思っていないけれど、「女子戦はストレート足を活かしつつ、主導権を握って攻めたもん勝ち」という私の勝手なイメージにも合致する1日だったと思っている。

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 明日の1Rからも「展示トップ=舟券絡み」という連続記録が続くかどうかはともかく、上記の面々がスリットから暴れまくって穴を開ける展開は随所に期待できるだろう。で、さらなる大穴を狙うなら「この面々の外に構える人気の盲点レーサー」であることは改めて言うまでもない。
 あ、最後に蛇足ながら、高田ひかるのAは【出足C・直線SS】であります!(photos/シギー中尾、text/畠山)