BOAT RACE ビッグレース現場レポート

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THEピット――空飛ぶニッシーニャ!?

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 モーター抽選の記事によると、西山貴浩が「今節はお世話になっちゃいますよ」と石川真二に囁いていた、ということだが、前検後のピットではさっそくお世話になっていた(笑)。二人が整備室でかなり長く話し込んでいたのだ。本当にピット離れ仕様を教えてもらっていたのかしらん。
 西山の引いた35号機は、前節で木村仁紀が引いている。木村は現在、三国ルーキーシリーズに出走中なのだが、これがまたピット離れで飛びまくっていたりする。まさかなあ……と蒲郡での成績を見たら…………何じゃこりゃ! やっぱりピット離れで飛びまくって、10走中1コースが5回! 2コースも4回で、35号機はすでにピット離れ仕様になっているようなのだ。スポーツ報知の井上記者が教えてくれた。木村は下関で石川が完全優勝を収めたモーターを引いて、ゲージを取っていたらしい。つまり、オーシャンでも話題になった“石川ペラ”を手の内に入れているのだ。三国での飛び方もそういうことか……。

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 西山の「お世話になっちゃう」は実は冗談でも何もない。本家本元がそばにいるのだから、西山が明日から飛びまくる可能性も充分にあるぞ。明日の西山は9R4号艇。石川は5R1号艇だからバナレ飛ぶ必要はないけど、西山のほうはぜひともピットアウトから注目しておきたい。

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 前検から大きな作業をしているような選手は見当たらなかったが、本体を外していたのは3人。池田浩二、坪井康晴、湯川浩司だ。坪井は整備士さんに話を聞きながらの調整作業。湯川は黙々と作業をしていた。本体を割っていたわけではないが、ペラ調整やギアケース調整などの選手とは違った方向性の調整を行なっていたわけである。

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 池田はキャブレターを手にしていた。奥のほうを目を凝らして覗き込み、ドライバーでねじをきゅっと締める。坪井や湯川もキャブレター調整だったんだろうか。池田はドリーム選手の記者会見で「良くないと思いますよ」と第一声。池田の引いた62号機の前節が122期の新人選手。これを池田浩二レベルに引き上げなければならないわけで、あらゆる手立てを尽くすことになるのだろう。池田の作業が終わったのは、前検9班組がモーターを格納するのと同じくらい。ドリーム組の池田は1班だから、今日もっとも長く作業をしていたのが池田ということになる。「このエンジンではそこまで気合は入らないかな」と苦笑していたが、その実、今日の作業っぷりは気合のあらわれと言っていいだろう。

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 復帰戦でいきなりエース機を引いた篠崎元志は、案の定、報道陣に取り囲まれていた。エース機を引かずとも、復帰戦ではこのような光景が見られたであろう。エース機を引いたのだからなおさら。やはり元志はこうした光景が似合う男だと改めて思う。
 報道陣から解放された元志は、プロペラ調整に移っている。といっても、ゲージを合わせての点検が主体のようで、叩くにしても繊細に丁寧に、といった感じだった。逆打ちもしていた。逆打ちとは、ペラの裏面を叩くことで、おおむねこの夏のお盆開催頃から解禁されたものだ。ということは、5月以降欠場していた元志にとっては、初めての逆打ちとも言える。それにいきなり対応した、あるいはもともとその理論について知っていたということで、さすがと言うしかない。評判のパワーを元志がさらに引き出してもまったく不思議ではないだろう。(PHOTO/中尾茂幸 TEXT/黒須田)