今日の優勝戦出場インタビューは朝9時55分から。1Rのスタート展示が始まるころ、ベスト6はピットに戻っている。ウェアを着替えることなく、地上波放送のインタビューに直行したのは瓜生正義。優出インタビューに向かう前に声をかけられていたのだろう。待たせちゃ悪いと駆けつけるあたりは瓜生らしい。
瓜生は昨日の会見で「今日は緊張した」と語っている。今朝の優出インタビューも、ステージに立つことが、の意味だろうが、同様の言葉を使った。着替えを終えた瓜生と少し話をしたのだが、うん、たしかにそんな雰囲気がないわけではない。百戦錬磨の瓜生でもそんな心持になることがあるのが驚きだが、久しぶりの予選トップ、優勝戦1号艇に多少なりとも重圧があるということだろう。
では、SG初優出の芝田浩治はどうか。序盤の時間帯は特に作業らしい作業をしておらず、装着場で姿を見かける回数も少なかったので、正直わかりにくかった。ただ、昨日までの芝田と何か違いがあるかといえば、そうも思えない。5号艇という枠の気楽さもあるだろうし、緊張が襲ってくるとするならレース間際のことだろう。
池田浩二、坪井康晴も始動はもう少し先のことになりそうだった。坪井もやはり優出インタビュー用のウェアを着たまま、地上波のインタビューを受けているのだが(芝田も松井繁もそうだった)、乗艇着に着替えてからはエンジン吊りでしか姿を見ていない。池田はペラ調整所でゲージを当てて点検をしていたが、ハンマーを振るう気配はひとまずなし。あったとしても、微調整程度のように見受けられた。
そうそう、今節はノーハンマーと言っていた松井繁が、ペラを叩いていたぞ。入念にゲージを当てて翼面をチェックすると、ついにハンマーを手にとった! といっても、強く打ちおろす場面はまったくなく、コツコツと軽く叩く程度。それも全体的に叩いているといった感じで、文字通りの微調整というところだろう。ようするに、ペラを叩いていたぞ、などという大仰なものではなく、引き続きノーハンマーと考えてよろしいと思います。
早くも本格的なペラ調整に取り掛かったのは白井英治だ。1Rのエンジン吊りで、白井は菊地孝平をつかまえて、肩をグッと抱き寄せた。肩を組んだまましばらく歩いた二人、その間じゅう白井が菊地に何かを話しかけていた。肩をほどいた二人は、ペラ調整所に直行。どうやら白井は菊地にペラのアドバイスを求め、菊地がそれに応えているところだったようだ。5分ほどのやり取りが終わると、白井は整備室奥のプロペラ調整室へ。アドバイスに従ってなのか、調整を始めていた。モーターはいいけど、ぜんぜん合ってない。一節間、その状態で戦ってきた白井は、大一番を前に他者の声に耳を傾けた。正解を導き出せたとするならば、強烈なパワーで優勝戦に登場するだろう。(PHOTO/中尾茂幸 池上一摩 TEXT/黒須田)