BOAT RACE ビッグレース現場レポート

BOAT RACE ビッグレースの現場から、精鋭ライター達が最新のレポートをお届けします。

THEピット――“石川ペラ”

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 前節の若松では、ちょっとした“ブーム”が起こっていたらしい。石川真二がペラ交換を2度しながらも好気配を見せて活躍していたのだが、その石川のペラの形に叩いた選手が続出していたというのだ。石川のペラ、といえば、もちろん出足型。そして、ピット離れで軽快に飛び出す、というもの。ただし、それは独特の形状ではある。迎えたSGオーシャンカップ。今節、そのペラがついているモーターを引いた選手は果たしてどうする? そのまま乗って、ピット離れに賭ける? それとも叩き変えてしまうのか……。“石川ペラ”にしたおかげで出足上々のモーターもあったというから、そのあたりが前検でもおおいに注目されたのであった。(写真はマスターズチャンピオンでのもの。石川のSG出場、見たい!)

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 石川自身が乗っていたモーターを引いたのは笠原亮。試運転、スタート練習などの前に直撃したら、「怖くて、まだペラ見てないっす(笑)」。笠原はとにかくペラ調整をとことんやる男だが、噂を聞きつけて、それがどんなペラなのか戦々恐々だったのだ。

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 やはり“石川ペラ”を引いた前田将太には、着水前に尋ねてみた。前節のレースを見て、気配が悪くないのは確認したが、それでもやはり悩ましいところ。「石川さんのペラで1回乗ってみたいとは思ってたんですよ。でも、僕の引いたのは石川さんが叩いたんじゃなくて、別の人が石川さんの形にしたモーターなんですよねえ」。ペラの形は見たそうだが、やはり相当に独特だそうで、叩き変えるとしても時間がかかりそうとのことだった。まずは乗ってみてどうか、というところだ。

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 岡崎恭裕も“石川ペラ”のモーターを引いた。岡崎にはスタート練習などが終わったあとに話を聞いたが、「ペラは叩きます」とのことだった。ぜんぜん乗れないのだそうだ。岡崎と石川ではレーススタイルも違えば、乗り方も違う。つまり、岡崎には合わないのだ。「5回くらいキャビるんじゃないかな(笑)」となれば、これは叩くしかないだろう。今節の岡崎は忙しい時間を送ることになるかもしれない。

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 池田浩二もまた“石川ペラ”だが、スタート練習などの後にプロペラ室にこもっていた。叩いているかどうかは確認できなかったが、とにかく忙しそうに動き回っていた。感触は悪くないようだが、やはり池田と石川ではスタイルが違う。あともう一人が長田頼宗で、これは「石川ペラでパンチなし」というのがスポーツ報知・井上記者の評価だから、これは叩き変えることになるか。ひとまずペラ室で姿は確認している。
 笠原は、結局「叩きます」とのこと。前検作業の時間いっぱい、プロペラ室で過ごしていた。前田はモーター格納後にペラを手に調整室へと向かっている。ただ、なにしろ前検航走が最後になる9班だったので、作業時間はほとんど残されていない段階だった。ひとまずゲージを当てて形を確認、という程度だったと思われる。“石川ペラ”の5人がどんな走りを見せるのか、初日にはぜひ注目していただきたい。

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 中田竜太ファンならば、この写真に違和感があるのでは? そう、ヘルメットが中田のものではないのだ。これはレース場から借りたもの。今日、宅急便で送った中田の荷物はレース場に届いていないのだ。グローブやシューズ、乗艇着も届いていないそうで、これも借り物。ドリーム戦の記者会見では、「今日はよくわからなかった。ヘルメットも違うし、手袋もサイズが違うし、だからですかね?」と苦笑していた。

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 西日本の広い地域に被害をもたらした豪雨。これが流通にも影響を与えているようで、今日は中田以外にも何人か、荷物が届かなかった選手が出ている(森高一真も、レース場入りの際に「荷物が1コも届いてない」と言っていた)。明日の早い時間に届くものと信じたいが、あの豪雨はレーサーたちにも影響を与えているわけである。ただ中田は「もっと大変な思いをしている方たちがたくさんいる。だから僕は大丈夫です」と言った。これくらいの現実は平気で受け入れる、という心意気である。その走りで、被災地の方を元気づけろ!

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 さてさて。若松取材時の宿泊地は、近隣の黒崎という街(芦屋もここ)。一部の方には、「黒須田のエビス屋好き」はすでに有名である。エビス屋というのは、24時間営業のエビス屋昼夜食堂。その名の通り食堂だが、アルコールもつまみも揃った呑み屋でもある。僕は一節間に、13回は通う。レース場に向かう前の昼飯もしくは朝飯と、仕事終わりの一杯を、節間毎日味わっているのだ。
「ちょっとちょっと、僕のエビス屋を荒らさないでくださいよ!」
 西山貴浩がやけに真剣な表情で歩み寄ってきたので、何かと思ったらそうイチャモンをつけられた。西山は若松が純地元、黒崎は当然テリトリーで、エビス屋も行きつけなのだそうだ。しかし、エビス屋好きならこちらも負けてない!

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「ちょっとちょっと、西山貴浩のエビス屋じゃなくて、僕のエビス屋ですよ!」
「何言ってるんですか! 僕が何年、エビス屋に通ってると思ってるんですか!」
「なんのなんの、僕は若松と芦屋に来たら節間、13回は通うんですよ!」
 西山vs黒須田のエビス屋口論(笑)。というか、ワタシのエビス屋好きはニッシーニャにも伝わってましたか。
 というわけで、「今節はニッシーニャの代わりに通っときますから」と笑顔で分かれたのでありました。明日会ったら、何食って何呑んだか伝えて、羨ましがらせてやろう(笑)。(PHOTO/中尾茂幸 黒須田 TEXT/黒須田)