BOAT RACE ビッグレース現場レポート

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蒲郡ダービーTOPICS 3日目

連覇の道、GPの道

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 今日はふたりのレーサーの「勝負駆け」が際立って見えた。まずはSG3連覇を狙う毒島誠だ。昨日まで563着で暫定42位。2日目にして予選突破へ黄信号が点った上に、今日の2走は6&3号艇という正念場。6号艇の1Rで4着以下ならその場で3連覇の夢がほぼ途絶える状況だったのだが、持ってる男は違う。そんな瀬戸際で、いつ飛ぶかわからないピット離れが火を噴いた。あるいは毒島なりのバナレ仕様にしていたのか。とにかくピットアウトから一気に抜け出し、インを取りきるほどかっ飛んだ。最終的に①岩瀬裕亮にインは奪い返された(←待機行動違反)ものの、6号艇で穏やかな2コースは美味しい限り。いざ実戦はスタートで凹んで惨敗もありえる隊形だったが、ありえないような小回り全速ブロックで2着を取りきった。

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 まだまだ険しい勝負駆けが続く5R。3号艇のピットアウトからさほど飛ばなかった毒島は、今度は⑤深川の前付けを入れて4カドに引いた。この変幻自在の駆け引きが、今の毒島の真骨頂だ。そして、横並びで凹んだスロー3艇を、コンマ15全速で一撃まくり! 初日から56321という尻上がりの成績で、3連覇の夢を明日以降に引き継いだ。明日は待望の1号艇で、きっちり逃げきれば予選成績6・17。ランキングの下位は間違いなさそうだが、準優や優勝戦であの“必殺技”が炸裂すれば外枠からでも3連覇は十分にありえるだろう。

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 一方、もうひとりの“勝負駆け”は鬼気迫るものだった。目下、賞金ランキング17位の王者・松井繁。こちらは毒島と違って、「グランプリ勝負駆け」と呼ぶべきか。昨日までの松井は、中堅ど真ん中の65号機にムチを打ちつつ、142着と無難に着をまとめてきた。ただ、今節の頼りない機力を考えれば、予選下位では優出=GP当確(松井にとって、これが何よりも重要だ)はかなり難しい。おそらくそう考えたであろう松井は、1年に渡って封印してきた奥義を解放した。
 フライング覚悟のスタート勝負。
 そう、去年の今頃も書いたと思うのだが、この時期こそが松井の奥義を繰り出す絶好のタイミングなのだ。つまり、12月に三国周年が入っているのでFを切ってもチャレンジカップに参戦できる。グランプリはF休み期間中でもOK。準優などの賞典レースは重い罰則が課されるが、予選での勇み足はF休みのみ。もちろん、あえてFを切るつもりということではなく、「キワのキワまで踏み込める絶好の時期」なのである。さらに、6Rはアタマ狙いのスタート勝負にもってこいの3号艇。1号艇はスリットから伸びない西山。そんなあれやこれやを考えて、「このレースだ!」と決断したに違いない。

 松井は行った。コンマ01、全速!! インの西山もコンマ02まで踏み込んだが、スリットからの伸び足がまるで違う。松井は一気に西山を呑み込んで、節間8・00=暫定3位までランクアップさせた。あのレベルの機力で……恐ろしい男だ。
「今まで我慢してきて、今日が行くとき。行くつもりで行きました。たまたま、切らなくて良かった」

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 レース後、王者はスタートの決意と覚悟を具体的に吐露した。それを聞きながら、私は「やっぱり、王者の“Xレース”はこの6Rだったのか」と悔やんだ。去年もそうだった、と気づいたのは1マークでまくりきった瞬間だったのだ。気づいていれば、王者のアタマで260倍を召し取れたかも……後の祭りである。
 ではでは、明日の松井もスタートを張り込むのか。いや、8・00という勝率を得た以上、明日は同じようなリスクを冒しはしないだろう。常にGPを見据えている松井だからして、何よりも欲しいのは今節の優出だ。優出完走さえ果たせば6着でも賞金ランク10位前後、準Vなら8位前後と、チャレカを待たずにGPの青写真がはっきりと見えてくる。今日のコンマ01は、その青写真を作るための勝負駆けだったと私は確信している。
 そうそう、大阪支部には今日の松井と似たような境遇のレーサーがもうひとりいる。石野貴之。賞金ランクは30位で松井よりはるかに低いが、チャレカ参戦がほぼ確定している身の上。このダービーは一か八かの勝負が懸けやすい舞台でもあるのだ。で、節間成績はと言えば初日から5432と来て、明日は4号艇の一発勝負駆け!! 崖っぷち&捨てるものがない状況で、この稀代の勝負師が猛攻を仕掛けないはずがない。ちなみに、その4Rの1号艇は前出・毒島。6号艇に赤岩善生がいて進入は微妙だが、おそらくイン毒島VSカド石野の熾烈なスタート対決が見られるはずだ。

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 それから、今節はチャレカに参戦できない選手にとって、ほぼラストチャンスとも言うべき勝負駆けである。代表格は、予選17位の瓜生正義(賞金ランク22位)。明日の5R3号艇で大敗すれば、今年の瓜生のGP参戦の可能性は潰える。まさに、雌雄を決する勝負駆け、とお伝えしておく。

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 あ、それからそれから、『穴・極撰』でも触れたが、今日の西山貴浩のバナレ飛びが半端なかった。もはや予選突破は絶望的な身の上ではあるが、本当にマジで明日の「バナレかっ飛びからのイン逃げ=大穴??」だけは警戒していただきたい。もちろん、バナレ中毒の私はアタマ決め打ちで勝負しますっっ!!(text/畠山、photos/シギー中尾)