BOAT RACE ビッグレース現場レポート

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準優ダイジェスト

圧逃

10R  並び順
①平本真之(愛知)
②寺田 祥(山口)
③坪井康晴(静岡)
⑥河合佑樹(静岡)
④桐生順平(埼玉)
⑤柳沢 一(愛知)

 ダークホース河合がピット離れで飛び出し4カド奪取! 不穏なムードが漂ったが、非凡な実戦足を誇る平本74号機がインから難なく押しきった。スタートは↑御覧のとおり美しいまでの横一線。こうなってしまえば、並びがどうでもインコースの利は動かない。外5艇がすぐに動けず牽制し合っているうちに、ゴールデンレーサーがすたこらさっさと逃げきった。

 1マークを回って焦点ははや2着争いに。バック直線は3コースから伸びなりぶん回した坪井vs4カドから二番差し河合の「仁義なき静岡バトル」の様相を呈したが、2マークも委細構わず握り倒した坪井が可愛い後輩を置き去りにしてファイナル切符を決定づけた。

 一方の河合はターンマークごとにずるずる下がって5着フィニッシュ。ピット離れは超抜レベル(スタ展から密かに突出していたので明日も要注意!)も、準優に入っては明らかにパワー劣勢だった。地元の寺田は1マーク手前で坪井ブロック⇒逆に引き波を浴びたロスが致命傷に。追い上げ及ばず4着に敗れた桐生、アウトから見せ場もなかった柳沢は、ピットアウトでのコース誤算が響いたのかも知れない。

 1着・平本、2着・坪井。
 あまりの圧勝で精査は難しいが、1マークまでの伸び返し~初動からのサイドの掛かり~出口からグイッと突き進んだ押し足ともにスムーズかつ軽快な見え方で、ファイナルでも上位級のパワーと呼んでいいだろう。今日は1マークまでの伸びもしっかりしており【回S・直A】と鑑定しておく。

 坪井66号機は回り足がやや不安と見ていたのだが、今日は引き波のない外~外を全速でぶん回って快速機の持ち味を十二分に生かしきった。だからして「ガチで競ったらどうか、複数の引き波を越えたらどうか」という疑問符は付きまとうものの、見た目のサイドの掛かりは昨日よりかなりしっかりした見え方ではあった。私の鑑定も【出C+・直S】から【出B・直S】に昇格したい。

鬼バンカー

11R
①石野貴之(大阪)08
②片岡雅裕(香川)12
③萩原秀人(福井)21
④徳増秀樹(静岡)17
⑤茅原悠紀(岡山)11
⑥椎名 豊(群馬)11

 ここも石野信用金庫がインから押しきったのだが、レース前に驚かされたのが展示タイムだ。
 6秒81!!!
 今日まで6秒9台を叩き出した選手はかなりいたが、6秒8台はシリーズ初。それも81などという数字は異次元レベル。きっと石野の走った練習水路だけが、戸田や多摩川などの淡水プールだったのだろう(笑)。

 ただし、いざ本番の石野は10R平本ほどの完勝圧勝ではなかった。1マークでこの大本命を脅かしたのは5コースの茅原! スリットでわすかに凹んだ徳増を引き波に沈め、まんま減速しないで鋭角なまくり差しハンドルを突き入れていた。恐ろしい勝負手。

 この強襲は、ややもすれば先マイした石野の内にズッポリ刺さるか、という勢いだった。並みのイン選手なら音を立てて差しきったと思う。だがしかし、茅原の舳先はターン出口からじわじわと押し返され、あっという間に2艇身ほど突き放された。茅原の勝負手も恐ろしかったが、石野の鬼足はもっと怖い存在だった。その後は逃げる石野~二番手の茅原がずんずん後続を突き放し、石野の上りタイムは平本のそれより1秒ほど速かった。
 1着・石野、2着・茅原。

 石野56号機の足が鬼レベルであることは、初日から何度も何度も書いてきた。もはや書く必要もない全部の足が抜群なバランス型=節イチの【出S・直S】だ。明日の最終レースでもこの鬼パワーを120%活かす展開になれば、芦屋オールスターに続くSG連続Vも十分に可能だろう。たとえ2号艇であっても。

 茅原17号機は前検からバカに良く見えたものの、初日であれれ?と首をひねったり、2日目にやっぱええじゃんと見直してみたり、日替わりで印象が変わりつつ今日に至った。準優も勝負手がしっかりハマった2着で正味の足色は分かりにくいのだが、とにもかくにも石野を一瞬でも脅かしたスピード~その後もあまり離れず追撃したレース足ともに悪くない見え方で、【出A・直A】の上位級であることは間違いない。

王手!

12R
①磯部 誠(愛知)04
②馬場貴也(滋賀)06
③菊地孝平(静岡)07
④池田浩二(愛知)15
⑤羽野直也(福岡)13
⑥魚谷智之(兵庫)18

 シリーズリーダー磯部が師匠と呼ぶべき池田を引き連れて、ファイナル1号艇へと続くゴールを通過した。昨日の7R1着=予選トップ当選に続き、順当に第二関門も突破とお伝えしていいだろう。明日も同じようにしっかり逃げきれば、ぼちぼち「悲願」という言葉が似合うであろうSG初優勝を鷲掴みにすることになる。

 ただ、このレースである意味、勝者より目を惹いたのは常滑の大スター池田の実戦足だった。1マークは二番差しの最内をするする伸びて主導権を握り、2マークの鋭角ターン一発で他の4艇を置き去りに。もちろん、この男の超絶テクも込み込みの抜け出しではあったが、実にパワフルな出足・回り足だった。

 さらに、その後も逃げる愛弟子にひたひたと追いすがり、ターンマークごとに差を詰め、最後は2艇身ほどまで肉薄したレース足も不気味の一語。昨日の『展望BOATBoy』では【出B+・直B+】⇒直前の予想欄で【出B+・直A】と昇格したが、それでも足りない見え方。たとえば、磯部を戦前のままの【出A・直A】とするなら、それ以上のレベルを授ける必要がありそうだ。
――もしかして、池田が良かったんじゃなくて、磯部の足が頼りなかったのでは??
 と思われる読者もおられるだろう。私もそれはすぐに思い至ったし、これを書いている今も払拭できていない。磯部の上りタイム1分51秒0は平本より0.6秒、石野より1.5秒も遅かったし。

 現時点で結論は出せないが、今日の磯部は最終ターンマークで大観衆の声援に応えるべく大きく流れて(流して?)塀際まで到達したから、上りタイムを参考外と考えてもいいだろう。ただ、この時計を不問にするとしても、節イチパワー石野とは現時点でソコソコ大きな較差があると値踏みしている。(photos/シギー中尾、text/畠山)