THE勝負駆け①予選トップ争い
師匠の異次元ターン
昨日までの予選トップ3の得点と今日のレースはこうだ。
①毒島 誠=5走44点(8・80)…10R6号艇
②峰 竜太=4走34点(8・50)…7R3号艇&11R4号艇
③原田幸哉=4走32点(8・00)…2R5号艇&9R3号艇
この状況を言葉に換えると「峰vs毒島の一騎打ちムードに、地元・選手班長の原田幸哉がどこまで食い込めるか」ってな感じか。で、昨日の段階で自力トップの権利を有しているのは毒島ではなく、峰だった。仮にふたりともすべて①着なら9・00で並び、1着数の差で峰が上回る。つまり、峰はライバルの成績なんぞ見向きもせず①①着と連勝すればいいわけだ。果たして、センター枠2走でそんな離れ業ができるのか。
時系列でトップ3の結果を振り返ろう。
まずは2R、少しでも毒峰コンビにプレッシャーをかけたい幸哉は、5号艇から素早いピット離れを利して3コース奪取。渾身のまくり差しは惜しくもイン仲谷颯仁に届かなかったが、最低ノルマと言うべき8・00はキープした。
後半戦に入って真打登場。7R3号艇・峰竜太のオッズは他レースの1号艇と同じくらい売れまくり、逆に①山崎智也のアタマ舟券に至っては「峰が飛んだ場合の12点(1-2456-2456)はすべて万舟」!!という異常事態となった。もちろん、助兵衛な私はこのピンマン12点舟券を握りしめて実戦に臨んだのだが……ただただ峰の凄まじい光速モンキーに口をあんぐりするしかなかった。F2持ちの②小野生奈がしっかりスタートを決めて壁になっていたはずなのに、峰は生奈の差しには見向きもせず1マークをかなりオーバーランしてからの超鋭角180度折り返しブーメランターン!!
あれは間違いなく流体力学の法則を逸脱しており、まさに「ボートが捻じ曲がるようなターン」(場内放送)という表現がぴったりだった。この1着で8・80とした峰は、同率ながら毒島を捉えて暫定1位に浮上。あとはライバル2人の結果を見ながら11Rを待つ身となったのだが、この後の顛末はあまりにあっけなかった。
一気に書いてしまおう。9Rの幸哉が3コースから他艇にボコボコに蹂躙されて6着、脱落。さらに10Rの毒島も6コースの遠さに抗いきれず、道中の展開も後手後手に回ってまさかの6着惨敗……この結果、11Rの峰は「無事故完走するだけでトップ確定!!」という思いもよらない「アロハな⑥着条件の勝負駆け」(笑)になってしまったのである。で、その条件を知ってか知らずか、11Rの峰は何食わぬ顔(ターン)で4着入線。あるいはメイチ①着勝負ならまったく違うレースになった可能性もあるが、これも勝負のアヤと言うべきか。とにかく、後半のなし崩し的な顛末を見る限り、今シリーズの流れは完全に峰に傾いたと思って間違いなさそうだ。
THE勝負駆け②準優ボーダー争い
弟子の強心臓ターン!
昨日までの準優ボーダーは5・75と低めだったが、「3日目までのボーダーが高くても低くても、4日目には6・00に収束することが多い」というセオリー(勝負駆けあるある)どおり、今日も3Rを終えた段階でどっしりと6・00に落ち着いた。
で、真っ先に準優当確ランプを点したレーサーは1Rの桑原悠だ。メイチ①着条件だった桑原の枠番は、波乱を予感させる3号艇。そう「3号艇の桑原」と言えば、いつでもどこでも必殺の3カド戦法がある。支部は違うが今垣光太郎の後継者とも呼ぶべき存在だ。
ただ、3号艇なら何でも闇雲に艇を引っ張るというわけではなく、伸び足がバッチリ来た上に他の足もしっかりしているときに引くケースが多い(伸び型仕様に決めた時は展示タイムが極端に速くなるので分かりやすい)。
今節の桑原はチルトを1度に跳ねるなど何度も伸び型を試してきたが、現状はどうにもしっくりこないのだろう。この1Rもスローの3コースに構え、手前に寄せたであろうレース足をフル稼働して一撃のまくり差しを突き刺した。さてさて、明日は外枠の桑原がどんなパワースタイルで実戦に臨むのか。チルト角や展示タイムをしっかりチェックし、この長崎きっての「曲者」の思惑を的確に読み取るとしよう。
今日のボーダー勝負駆けでひとりだけMVPを選出するなら、峰竜太の愛弟子・山田康二か。2号艇の4Rは2コースから差して2着だから、特筆すべき活躍ではない。素晴らしかったのは4号艇の9Rだ。このレースで最低でも③着(6・00)が必要だった山田は、まずは1マークの好旋回でバック2番手に。とりあえず安全圏に入ったものの、2マークの握りマイでバランスを崩してあっという間に5番手まで後退した。
流れが流れだけに万事休すと思えたものだが、2周1マークのターンの凄かったこと(是非ともリプレイ鑑賞していただきたい!!)。ターンマークの手前、山田の前には3艇が狭い間隔で三角形のように並んでおり、私の目には完全に進路が塞がれたように見えた。無理にでもその三角形の外をぶん回すか、それらを行かせて最内を差すか、そんな絶望的な状況だったのだが、山田はその三角形のど真ん中に艇を突っ込み、針の穴を通すような航跡を描いてその3艇をまとめて追い抜いたのである。勝負駆けだからこその、一か八かのミラクルターン。山田康二はこれまで「SGに12回参戦して11回予選突破」という恐るべき準優進出率を誇っているのだが、あの針の穴ターンを目の当たりにしてこの男の勝負度胸&勝負強さを改めて実感した。あの師匠あって、この弟子あり。今日、私の網膜に強烈に焼き付いた光景は、峰&康二のありえないようなスーパーターンだった。
それからそれから、今節の目玉商品である中村亮太34号機がなんとか無事に予選を突破した。2日目まで順風満帆と思っていたらば、3日目にまさかの6着大敗で暫定14位に急降下。今日の10Rは③着条件の勝負駆けに追い込まれたが、2コース差しから安定感抜群の足色で2着を確保した。4号艇の明日は、どんな構想でスーパーエース34号機に活を入れるのか。とことんスローに徹してきた亮太34号機が、あるいは4カドから新たな一面を披露するのか。桑原同様、昼特訓から穴が開くほどチェックするつもりだ。(photos/シギー中尾、text/畠山)