まず、昨日の記事内の白井英治の得点については失礼しました。ご指摘ありがとうございます。訂正いたしました。14点なので、今日は3着が欲しいところ。今日も早めの始動となっている白井は、まずはプロペラ調整に取り掛かっている。雰囲気は昨日までよりずっと柔らかく感じる。ファイナル行きに向けて、最後の勝負どころなのだが、それほどピリピリした感じもない。昨日のレースである程度の好感触を得られたことで、光明があったということだろうか。
やはり意外と柔らかい雰囲気なのは石野貴之だ。これまでのグランプリでは、声をかけにくい雰囲気が常にあったし、また石野自身、意識してそうふるまっている部分もあったという。そうすることで集中力を高めようとしていたわけだ。昨日あたりから石野が普段に比べて尖った感じをみせていないという声は聞こえてきていたが、今日はさらにそんな様子が強くなっているような気がする。やり方、考え方が変わったのか、あるいは自然とそうなっているのか。ひとつ言えるのは、非常にいいメンタルで過ごしているのは間違いないということだ。
いつも通りの鋭さを発揮しているのは井口佳典。射抜くような目つき、引き締まった頬、力強い歩様。特にグランプリのピットで出会う井口佳典である。勝負駆けを1号艇で迎えるだけに、気合ももう一段階強くなっていて当然だ。調整はプロペラに専念。昨日は本体整備もしていたが、トライアルの最終日を迎えて、あとは思い切ってレースができるよう仕上げていくだけだ。なお、井口に限らず、トライアル組を見かけるのはほぼプロペラ室だった。プロペラを煮詰めていく段階ということか。
今日はテレボート会員のピット見学が行なわれていて、応募して選ばれたファンの方がグランプリのピットの雰囲気を味わっている。整備室の脇にはボートが置かれていて、元選手の田辺通治さんが解説。ボートに乗り込んでの講義だった。田辺さん、いいイン屋だったよな~。などと感慨にふけっていたら、プロペラ室から峰竜太が登場。整備室へと向かった。あ、峰竜太……と気づいたファンの顔色がささっと変わった。ピットの峰竜太が間近にやってきたのだ。テンションが高くなろうというものである。整備室から出てきた峰に、よっ、スーパースター!とからかったら、「こいつ誰だよとか思ってたりして」だって。峰竜太を見てそう思う人がピット見学に来ていたとしたら、そっちのほうがビックリですな。
シリーズ組。準優組で早めの始動は西村拓也。ほかの1号艇ふたりはまだ大きな動きを見せていないなか、西村は早々に試運転に出ている。1号艇だからといって特に緊張している雰囲気はなく、平常心で過ごせてはいるようだ。
それは予選トップの木下翔太も同様。ちょっとだけ話すことができたのだが、まったくいつも通りの木下だった。シリーズだからなのか、まだ準優だからなのか、SG初制覇に向けてのプレッシャーは今のところなさそうだ。
プロペラ室で、桐生順平が遠藤エミと会話を交わしながら調整をしていた。もちろん桐生も自身の調整があるわけだが、雰囲気的には遠藤にアドバイスを送っているようにも見えた。遠藤にとって、これはデカい。もともと二人の絡みはSGなどでもよく見かけているが、この大一番で桐生の薫陶を受けられるのだ。女子3人目のSG優出へ、いい過程を踏むことができそうだ。(PHOTO/中尾茂幸 池上一摩 TEXT/黒須田)