BOAT RACE ビッグレース現場レポート

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守屋美穂3連勝の9R!の2日目後半ピットから

 守屋美穂、3連勝! センター枠に入った今日は、枠なり3コース、そして4カドからまくり一撃! 文句なしの勝ち方で、負け知らずの快進撃を繰り広げることとなった。

「めっちゃ伸びよるね~」
 9R後、出迎えた寺田千恵が目を丸くしながら守屋に語り掛ける。守屋がヘルメットをかぶったまま言葉を返すと、寺田はさらにテンション高めに守屋の走り、パワーを称賛するのだった。誰が見ても抜群の行き足から伸び。遺憾なく繰り出している守屋には、称える言葉しか出ないのも当然だ。

 戦った相手へのあいさつ回りも含め、微笑は浮かんではいたものの、穏やかな表情を保っていた守屋。一気に破顔一笑となったのは、同期の櫻本あゆみが祝福の声を掛けたときだ。顔をくしゃくしゃっとして、思い切り目を細めたのだ。やはり心安い同期に対しては、心中の会心が素直にあらわれたということだろう。機力も含めて、守屋美穂、絶好調! 2度目のV、と言ってしまうのはさすがに尚早に過ぎるが、それでもかなり有力な位置にいるのは間違いないだろう。

 9Rの面々は、守屋以外はみな、一様に苦しそうな表情を見せていた。逆転で3着となった大瀧明日香は、守屋に対しては笑顔で腕をツンツンしたりもしていたが、なにしろ真っ先に守屋に沈められているのである。守屋ウンヌンではなく、その事実については機力も含めて悔しさはあるだろう。それはまくられた日高逸子も同様。

 清埜翔子に関しては、それこそ守屋とは無関係なところで、つまりは己の機力の足りなさに対して、かなり思うところがあったはずだ。ピストンリング4本、ピストン2本の交換で登場したこのレース、いったんは3番手をキープしながら、柴田百恵の追撃に手こずっている間に、後退してしまった。大瀧の先マイ仕掛けを行かせて差したら、引き波をまるで超えられないという。彼女の技量ではなく、大整備しても上向かない相棒の機嫌に苦しんでいるという印象で、今後の調整方法も含め、浮かない表情になってしまうのは致し方ないところだろう。

 守屋のまくりに連動して、連対圏も見えていた柴田百恵は、競り負けたことに落胆している様子であった。エンジン吊りを終え、控室に戻りながら、どうしたって顔はうつむいてしまう。視線を下に向けながら、力弱い顔つきで、とぼとぼと戻っていく柴田。

 そして、6着大敗の寺田空詩も思い切り悔しそうな表情を見せたレース後なのであった。スリット後伸び返して守屋に抵抗する姿勢を見せたように、足は間違いなく悪くないのだと思う。それを活かせない自身のレースぶり、また先輩たちとの場数の違いに、かなり苛立ったような様子が見えたのである。キャリアを考えれば、その意気や良し。苦戦をして当たり前の対戦相手たち、だから敗れても仕方ないと恬淡とするよりは、燃えるような目つきでレース後を過ごしたほうがよほどいいと思う。

 そんな寺田にレース後、長く言葉をかけていたのは魚谷香織だった。少し離れた場所でも時折、魚谷の声が届いてきたのだが、その声色は実に優しく、慈愛にあふれたものであった。魚谷自身も通ってきた道であり、そこでもがく後輩に彼女だからこそかけられる言葉もあるだろう。思えば魚谷は元山口支部。寺田の父・翔はもともと同支部の先輩である。それだけに、魚谷も空詩が気にかかるところもあるのかもしれない。魚谷の言葉を胸に、明日こそはレース後に笑える走りを見せられたら、と思う。(PHOTO/池上一摩 TEXT/黒須田)