BOAT RACE ビッグレース現場レポート

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風が変わった2日目前半のピットから

 昨日はほぼ向かい風が吹く一日だったが、今日は真反対の追い風。しかも、なかなか強めに吹いている。気温が下がって、ピットには冷たい風が吹き込んでおり、肌寒さを感じたりもするわけだが、それはさておき。海野ゆかりが頻繁に水面を眺めているのである。宮島は今節が実に88節目。このレース場を知り尽くした海野だけに、風が変わった朝、水面にじっと見入る姿には、何か意味があるように思えてしまうわけである。海野の出番は8Rで、その時間帯も同じ風とは限らないけれども、こういうときの攻略法はもちろん知悉しているはず。こうして気候が変わったとき、特に海野のような百戦錬磨にとっては、間違いなくアドバンテージがあるはずなのである。

 それを感じたのかどうか、水面を見つめる海野に同期の岩崎芳美が寄り添った。肩を並べて水面を見ながら、会話を交わす二人。海野が時にどこかを指さしたりもしていた。遠目に見ても、情報を交換し合っている様子に見えるわけである。心安い相手が同期ということは、岩崎にとってもアドバンテージになるはずだ。

 2Rで2着になった實森美祐は、もちろんレース後は海野先輩に声を掛けているわけだが、二人はレースを振り返ったのか、あるいは調整の方向性を話し合ったのか、とにかく長く会話を交わしている。その間も、海野はやはり水面に目を向け、實森も目は水面に、耳は海野の言葉に傾けられていた。海野の知略戦略が、自身のレースはもちろん、仲間たちにもどう反映していくのか、注目してみよう。

 實森が2着になった2Rでは、戸敷晃美が差し切り。初日から連勝! しかも連続マンシュウぶち開け! 予選序盤のMVPは戸敷で決まり! 初のレディースオールスターでいきなりの活躍はお見事の一語。昨日の「週刊BOATBoy」ではインタビューに登場してくれた戸敷(アーカイブで見られますので、まだ見てない方はぜひ!)。二の足(回った後の足)が甘いと言っていたのだが、相手関係はあるものの、その部分が上向いたと見える差し切り勝ちであった。レース後はもちろんニッコリ! 3着の三浦永理に声を掛けられると、さらにその笑みは深くなっていくのだった。

 1Rの藤原菜希も初日から日またぎの連勝だ。ただし、藤原はレース後、わりと淡々とした様子であり、連勝の歓喜みたいなものをあまり表にはあらわしていなかった。今日は6Rに2走目が控えており、目はそちらに向いていた? ちょっとした貫禄のようなものも感じられる、連勝後の藤原なのであった。

 冴えない顔つきだったのは渡邉優美だ。番手争いで前を追いかけたものの4着。昨日の2R4着と同じような展開で、競った相手を思えばやはり足がもうひとつとしか思えない。前回大会も、序盤は大きな着を獲った渡邉だったが、3走目からリズムを取り戻して、予選後半から怒濤の連勝で優勝している。しかし今回の3走目は流れを変えるものにならなかったのが心配。表情が暗くなるのは当然だし、待ち構えるカメラマンたちを避けるように進路を変えていた気持ちもよくわかる。前年度覇者として、険しい顔を撮られたくないのは当然だろう。今日は1R1回乗り。今日は時間をたっぷり使って、巻き返しの調整作業を続けることになるだろう。風向きが変わった2日目、渡邉自身も自身に追い風を吹かせたいところだ。(PHOTO/池上一摩 黒須田 TEXT/黒須田)

 …………7艇立てですか!?

 宮島では、出走ピットや展示ピットに向かうのに係留所を横断することになる。6人が通過した瞬間に係留所での作業を終えて装着場のほうに向かおうとすると、こんなシーンになったりするのです。なお、“7号艇”は岩崎さんです(笑)。