BOAT RACE ビッグレース現場レポート

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THEピット――激しい調整

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 後半のピットも、調整にあくせくと走り回る選手は少なくなかった。つい目が向いたのは石野貴之だ。試運転はかなりギリギリまで繰り返していたのだが、ペラを外してあがってくるたび、表情が重い。仏頂面に見えることもあったし、首をひねることもあった。ゲージを当て、かなり長いこと考え込む場面も。方向性を模索していたのだろうが、明らかに足色に納得していない様子なのだ。なにしろ2号艇がエース機・吉川元浩。これはまくられてしまうのではないか、と思わされてしまった。それだけに、ドリームを逃げ切ったのは価値が高い! 帰宿バスに乗り込む石野は決して高揚してはいなかったが、ひとまず安堵の思いはあったことだろう。

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 山口達也のプロペラ調整も激しかった。石野もかなりハードに叩いていたのだが、それを上回るような強い金属音をピットに響かせていたのだ。それも、その甲高くかつ重い音が、1分ほども続いたりした。力を込めて、何十回も連続でハンマーを強く打ち下ろし続けていたのだ。まさに「叩き変え」というヤツだろう。あんなに叩き続けて手が痺れないんだろうか、と余計な心配もしてしまったくらいだ。明日の気配の変化には注目したい。

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 白井英治は、11R出走まであまり時間がないなかで、ギアケース調整に取り掛かった。前半7Rで4着。その後も試運転をしていたが、違和感があったのだろう。かなり急いだ感じで調整に向かっていた。11Rは1号艇。万全を期したかったと見たのだが……その11R、原田幸哉の差しを許してしまう。攻めた永井彪也にも迫られるかたちで、さらに2マークで篠崎元志と接触、後退してしまった。ギアケース調整が実らなかったか……。残念ながら白井は途中帰郷となってしまった。次の舞台での雪辱に期待しよう。

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 桐生順平と永田秀二が向かい合ってプロペラ調整している姿も目を引いた。二人は100期の同期生。永田はSG初出場だから、この舞台で顔を合わせるのはこれが初めてである。もちろん同じ斡旋は初めてではないが、SGでともに情報を交わしながら調整できるのは永田にとって大きいはずだ。一緒に水面に下りて足合わせも行なっており、心やすい相手がスパーリングパートナーとなるのもお互いのテンションを高めてくれるはずだ。

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 100期といえば、平高奈菜は1回乗りの3Rのあとも水面に出続けた。3Rは2着と上々の発進ではあったが、まだまだ上積みを止めようとはしない。久しぶりのSGで、努力を惜しむような人ではないだろう。4R1回乗りだった守屋美穂も試運転に懸命だった。もちろん今日は不本意な成績に終わってしまった今井美亜も、調整の手を休めようとはしなかった。今回、女子はその3人。大きな爪痕を残してほしいぞ。

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 SG初出場の村松修二も、懸命なペラ調整。今節は登番が最も若いわけだが、わりと落ち着いた様子で、この舞台への気後れは特に見られない。世代の近い上條暢嵩や永井彪也の存在も大きいだろうか。広島支部からも3人の先輩が参戦しており、心強く戦えているかも。明日は1R1号艇。水神祭の大チャンス。モノにできるかどうか、朝から注目度が高いレースとなるぞ。

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 さてさて、9Rで森高一真が4着。ただし、1マークではまくり差しが決まって、初日ピンピン発進かと思われたのに、守田俊介のツケマイで引き波にガッツリはまって着を下げたもので、とびきり悔しい一番となってしまった。自分を買ってくれるファンの舟券に貢献することが何より嬉しいという森高だけに、舟券圏外まで下がってしまったことは痛恨の極みであろう。レース後はさすがに顔色を失う森高。明日はこの分も取り返す一日となるだろう。その森高、容貌に変化があるようなのだが……。明日、森高に余裕があれば確認してみよう。(PHOTO/中尾茂幸 TEXT/黒須田)