BOAT RACE ビッグレース現場レポート

BOAT RACE ビッグレースの現場から、精鋭ライター達が最新のレポートをお届けします。

新モーターと前検

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 児島は今節から新モーター導入。こうした全国的なレースで初下ろしとは珍しい。というか、10何年ビッグレースを取材してきて、今回だけだ。初下ろしに立ち会ったのは、現在のプロペラ制度が試験導入された2012年の浜名湖(一般戦)を取材したときのみ。というわけで、ピカピカのモーターを目の当たりにするのは実に新鮮でありました。

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 プロペラも全基、新ペラになっている。そのせいなのかどうか、今日はいきなりペラ調整に取り掛かる選手がかなり多いように感じられた。新ペラなので、当たり前だが、ペラの形はすべてまっさら。前節に乗った人が叩いた形でとりあえず乗ってみよう、ということもありえないわけである。それでも、そのまっさらな形で乗ってみて、本体の雰囲気を確かめようという選手も少なくなく、たとえば菊地孝平はモーターを装着すると一番乗りで水面へ。調整より先に、試運転を行なっている。

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 叩かずに着水したなかには、20枚ほど常備されている調整用のプロペラを使う選手も多いようだった。やはり早々に着水した山本隆幸がこのプロペラを手にしていたし、同じ兵庫勢の馬袋義則や向所浩二も同様なのであった。ちなみに調整用のプロペラはレース用より羽が小さいです。

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 先にプロペラ調整を行なった選手は、たとえば平尾崇典。これはなかなか気になります。まっさらの、ということは他の選手が叩いたクセがまったく残っていないプロペラだから、自分の形に叩くのはより容易なはず。地元で、つまり児島の調整を知悉している平尾がいきなり叩いたのだから、仕上がりが早いかも!? それも、平尾らしい伸び仕様だとしたら……枠番抽選でゲットした枠は4号艇。カドまくり見たいなー。

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 12R1号艇の井口佳典もいきなりペラを叩いた一人。今日のタイム測定&スタート練習は、通常の登番順の班分けではなく、レースごとの班分けとなっていた。1班は5R出走組、2班は6R……12Rは最終8班。5班のタイム測定等の後に6班以降の試運転タイムが設けられており、そうか、井口は装着や着水を急がなくてもいい立場だったわけか。そう思ってメモを見返すと、やはり8班の森高一真とか7班の西山貴浩とか同じく7班の大峯豊とか、後半組の名前が散見されるのであった。

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 今井美亜も8班。着水前のペラ調整を最後までやったのが彼女だった。装着場にモーターが乗ったボートが見当たらなくなった頃にもまだペラ室に姿があり、装着場全体が閑散としているなか、ペラ室を飛び出して大急ぎで装着。慌ただしく水面へと向かっている。かなり調整を進めることができただろうか。

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 で、これが着水ラストではなく、大トリは守田俊介。ただし、ボートが装着場に置かれている間、モーターからプロペラは取り外されることなく、そして守田の姿はほとんど見かけられず。5班のエンジン吊りが終わってからもろもろの点検を始めており、それ以前にはほとんど作業らしい作業をしていないのであった。慌ただしい前検日のなか、なんともまあマイペース。年が変わっても、守田のルーティンは変わらないのであります。

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 全員の着水が終わっても、ペラ室は調整している選手たちで賑わっていた。タイム測定等を終えた選手たちも、今日乗った感触をもとにペラ調整をしますからね。1班の守屋美穂の姿も見かけられました。

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 タイム測定等を終えた選手では、ギアケース調整組も多々。整備室の壁際にギアケースを固定する万力が並べられており、外からは調整中の選手の背中がずらりと目に入ってくる。菊地孝平の隣で調整していたのは渡邉優美。時折、菊地の手元を覗き込んでいる様子があり、菊地の調整を参考にしているようだった。もちろんセッティングはそれぞれなので、同じ調整をして吉と出るというものではないだろうが、グランプリレーサーの調整を学べるのは大きな経験となるはずだ。隣り合わせたのはたまたまだろうが、渡邉にとっては意義ある偶然。ふたりは会話も交わしており、菊地も快く助言などしていたということであろう。

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 整備室の奥のほうでは赤岩善生がやはり整備。どうやらキャブレターを扱っているようであった。これが整備の鬼のいつもの光景ではある。どんな仕上がりにしてくるのか、注目したい。ほかに、寺田千恵と田村隆信が電気回りの調整をしていました。これもある種のルーティンだろうか。特殊な勝ち上がりルールのバトルトーナメント、しかし選手が陸でやることが特殊なわけではない。どの選手も前検から精力的に、自身の調整に励むのである。(PHOTO/池上一摩 黒須田 TEXT/黒須田)