BOAT RACE ビッグレース現場レポート

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THEピット――紅組&畑田汰一V!

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 団体戦。やはり点増しのある特別選抜戦から、ピットも一気にヒートアップ! 10R、安河内健が4カドまくりで快勝し、佐藤悠を3着に連れてきたことで白組が4ポイント獲得。前田滉ら、残っていた地元の若手たちが「よっしゃっ!」と叫びながら安河内を出迎えた。安河内も、笑顔の仲間たちに力強いガッツポーズ。モーター返納作業の際には、「まずはB戦獲ったぞ!」と高らかに叫んだ。

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 一方、1号艇で大敗を喫した寺田千恵は申し訳なさそうに戻ってきている。山川美由紀に慰められて、「もう、ごめんなさい、のレースだわ~」と顔をしかめた。
 しかし、である。B戦の4ポイントは、実は大勢に影響を与えるものではなかったのである。A戦の8ポイントを紅組が獲れば35vs22になって、白組が優勝戦を獲っても届かない。カギを握っていたのはこっちだったのだ。

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 A戦、中村魁生が逃げ切り、2番手を中村桃佳と松尾夏海が並走。そして、内からジワジワやってきたのは宮之原輝紀。その宮之原が2マークを先取りしたことで、にわかに団体戦は熱くなった。2周1マークで中村が2番手を確保したことから、焦点は松尾と宮之原の3番手争い。そのとき最後方を走っていたのは栗城匠だったので、この3番手争いが大きな大きな意味をもったのだ。

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 2周2マーク、宮之原は松尾を張りながら先に回ろうとしてややキャビり、3周ホームでも二人が並走状態。競技棟1Fのモニターで観戦していた女子選手たちの声援が熱を帯びる。3周1マーク、宮之原の先マイに対して松尾は果敢に外マイ、キャビり気味の宮之原を松尾が交わしていった瞬間! 女子選手たちの大きな拍手が響いたのだった。紅組優勝!

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 もちろん2着を走った中村、5着を守った原田佑実の力も大きかったわけだが、宮之原を交わした松尾に対して笑顔と拍手が向けられる。寺田千恵は松尾の肩を嬉しそうに何度も叩いて、称賛をあらわしていた。道中の3連勝といい、勝負駆け成功といい、紅組のMVPは松尾夏海で決まり!?

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 一方、宮之原はやはり悔しそうで、2周2マークのターンを「B2級のターンだった」と悔やんで、「練習してきます」と苦笑いしてみせた。まあ、もし3着を競り勝ったとしても優勝戦は結果紅組が獲っていたので、団体戦の行方は変わらなかったのだが、宮之原にしてみれば痛恨の競り負けであっただろう。

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 さて、団体戦に影響がないなかで行なわれることになった優勝戦。こうなればもう、レース後の称賛は、優勝した畑田汰一に集中することになった。見事なまくり差し一撃! グレードは一般戦とはいえ、それ以上の注目が集まる特別な戦いで、鮮やかすぎるVゴールを決めたのだから、「持ってる」と言うしかない。寺田千恵も笑顔で祝福していたぞ。

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 優勝戦メンバーのなかでは最も若いからなのか、あるいはもともとそういう性格なのか、畑田は派手に喜びをあらわにすることなく、ひたすら微笑を浮かべ、先輩たちから掛けられる声にはむしろ恐縮したように、何度も会釈を返していた。そのベビーフェイスも相まって、それはなんとも初々しい光景だった。

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 もちろん感傷的になることもなかった。これが4回目の優勝なのだから当然だろう。今期はA1ペースで勝率を稼ぎ、このままならヤングダービーにも登場しそうだし、また最優秀新人候補の最右翼にもなったと言える。ということは、これは畑田にとっては本当に通過点でしかなく、本領を発揮するのはまさにこれからということになるだろう。もちろん、上位の壁に苦悩することもあるだろう。そうしたなかで、この初々しく、瑞々しい若者がどう逞しくなっていくのかを見るのが本当に楽しみになってきた。それにしても、落水失格がありながら、よくぞ優勝までたどり着いた。素晴らしいの一語。おめでとう!(PHOTO/池上一摩 黒須田 TEXT/黒須田)