BOAT RACE ビッグレース現場レポート

BOAT RACE ビッグレースの現場から、精鋭ライター達が最新のレポートをお届けします。

すっかり晴れた終盤のピットから

●晴れても試運転

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 雨は昼過ぎにはあがり、終盤の時間帯には気持ちのいい晴天になった。雨でも走る選手たち、晴れたら当然走る。というか、初日の午後だから、1走目もしくは2走した感触をもとに試運転を繰り返す選手がいるのは日常的な光景である。若者たちが多い今節だからなおさらだ。

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 最後まで試運転をしていたのは、宮田龍馬、高木圭大、滝沢崚。女子では村上奈穂。やはり若い面々が遅くまで乗り込んでいた。村上はその後に整備士さんと話し込んでいたから、モーターの症状を伝えて明日整備、なんてこともあるのかも。

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 滝沢はモーターを片付けると、新兵仕事も熱心に。今節は登番が下から2番目なので、鉄くず集めなどは定松勇樹とともに、彼の役回りなのである。ご苦労様!
●6号艇のLUCK

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 今日は6号艇の1着が2本。7Rの三浦永理と9Rの寺田千恵だ。三浦は6コースから突き抜けたのだからお見事! 寺田は5コースからだったが、2マークの立ち回りは巧みで、ルーキーたちを翻弄するかのような旋回であった。
 着替えを終えたテラッチ、整備室へと向かう途上で三浦の姿を見つけて声をあげた。

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「エリ~~~~、返すわ~~~」
 テラッチは三浦に空気を送るような仕草をしながら歩み寄って、オーラか何かで包み込むようなアクションを見せた。ようするに、同じ6号艇の2人、三浦からツキを受け取って自分も勝てたとテラッチは言いたかったんでしょう。緑の運を与え合っての快勝! というわけで、三浦はテラッチに運を返してもらっていたので、明日も活躍するかも!? 明日の枠番は違いますが。
●イケさん

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 残念ながら、安達美帆は途中帰郷。10R後に出発する帰宿1便とともに宿舎へと向かっている。荷物をまとめに戻ったということだろう。
 で、朝は雨が降っていたので、選手たちの朝の移動は傘をさしてのものだったわけだが、帰りは晴れているのでもちろん傘は不要。ただし、傘を宿舎に戻してほしいと「1便で帰る選手は傘をお持ちください」とのアナウンスがかかっていた。それを安達は聞き逃していたようで、手には傘がない。傘を取りにいこうとした安達に声をかけたのは道上千夏。「安達! 大丈夫大丈夫」と安達の分も道上が取りにいったのだ。

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 傘2本を手に1便出発の集合場所へ向かう道上を待っていた安達。「イケさん、すみません」と頭を下げた。イケさん!? たしかにそう聞こえたのだ。イケさんと。そうです道上千夏は旧姓・池。正直、僕も道上千夏より池千夏のほうが馴染みが深かったりするのです。久々に聞いたなあ、池千夏。
●優しい

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 ピットではスリット写真を貼りだしたり、資料を配布したりする事務の職員さんが働いている。10R発売中だったか、女性の職員さんが数枚の紙を手に右往左往。どうやら誰かを探しているようだ。
 それに気づいたのが水口由紀。すかさず「どうされました? どなたか探してます?」と声をかけたのだ。残念ながら水口もお目当ての方がどこにいるかは知らなかったようだが、そうして気遣う姿が素敵ではありませんか! ボートレースはもちろん選手が主役。だが選手たちはそれで偉ぶるのではなく、裏方さんたちにも感謝しながら気を配るのである。
●「ウォーッ!」

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 10R、ピットに女子選手の咆哮が轟いた。明らかに興奮した声色。「ウォーッ!」。2周1マーク、2番手争いをしていた實森美祐が外マイで畑田汰一を交わした瞬間だ。
 内に畑田、外に實森と並走という隊形。どう見ても畑田のほうが有利だし、前回の常滑大会で鮮烈に優勝した畑田のスピードを考えれば實森は分が悪い。誰もがそう思った場面での見事なツケマイ一撃だったから、特に同じチームで団体戦を戦う女子選手はテンションが上がって当然だ。

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 残念ながら、實森は2周2マークでやや流れたところを畑田に差し返されてしまって3着。女子の溜め息はピットには聞こえてこなかったが、きっと控室等では残念がっていただろうし、實森も悔しかろう。レース後、實森は山下流心と長い会話。山下が両手をボートに見立てて動かしていたので、まさに反省会といったところだろう。山下のアドバイスに聞き入る實森、という図であった。団体戦を戦いながらも、こうした場面では紅組も白組も関係ないのだ。
●反省会はここでも

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 11Rのレース後、カポック脱ぎ場で長嶋万記が熱っぽく言葉をかけていた。相手は原加央理。このレースで6着大敗を喫してしまった原に、長嶋がやはりアドバイスを送っている場面である。山下と同じように長嶋が両手をボートに見立てていました。

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 そのカポック脱ぎ場からは対岸のビジョンが見える。話している最中にビジョンは11Rのリプレイを映し出し、二人はそちらのほうに向き直って会話をつづけた。肩を並べてリプレイを見つめる長嶋と原。ただ、その少し前よりはかなり和やかな雰囲気になっており、ふたりとも笑顔を浮かべながらビジョンのほうを指さしたりしつつレースを振り返るのだった。
 長嶋は今日は1着2着と好発進。いいメンタルで明日以降も戦えそうですね。
●ドリームは宮之原

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 12R、ドリーム戦を制したのは宮之原輝紀。鮮やかな5コースまくり差しであった。今日の宮之原は入念に調整を進めていたという印象。ペラ室へ向かう姿、係留所へ降りていく姿など、何度も見かけたものだった。10R発売中はレース前のギリギリの時間まで、係留所で回転調整をしている。好機を引き当てた宮之原、今日一日の調整でそのパワーをうまく引き出すことに成功したと考えていいだろう。
 昨日挨拶に来てくれた彼は、「今節はやります」と力強く言った。前回の常滑大会は優出を逃しており、今回こそは活躍するところを見せますという宣言と僕は受け取った。この好発進を明日以降どこまでつなぐことができるか。期待してますぞ。
(PHOTO/池上一摩 黒須田 TEXT/黒須田)