BOAT RACE ビッグレース現場レポート

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新鮮な前検!~ピットから~

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 装着場に並べられたボートを見ながら、ちょっとした違和感が。山川美由紀のボートに「5」の艇番が付けられていたのだ。こうした大レースでは、前検1班はドリーム組。2班以降は登番順に振り分けられるのが通例。今節の登番最上位である山川は2班の1号艇になるはずで、「5」が付いているわけがないのだ。

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 今節は登番が最も若いのはやはり「山川」で、そう、山川波乙。52名での節では、7班までが1班6名で、8班と9班は5名ずつとなる。ということは、山川波乙は9班5号艇となるはずなので……もしかして、波乙ちゃん、美由紀先輩のボートに自分の艇番付けちゃった!?

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 実は、これで正解なのであった。今日の班分けは、なんと選考順位順。つまりはファン投票の順位順で、47位で選出された山川美由紀は8班5号艇なのだった。一方の山川波乙は22位選出なので4班4号艇。美由紀姐さんより波乙ちゃんのほうが随分と上位であることに衝撃を受けたりもするわけだが、今日は世にも珍しいかたちで前検が行なわれたというわけである。これまでにもあっただろうかと記憶を辿ってみたが、ちょっと思い出せなかった。なお、普段なら美由紀姐さんが入るはずの2班1号艇は、ファン投票7位の富樫麗加。登番4758だから、おそらく前検で2班に入ったのは初めてのはずだ。

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 少々不思議な光景も生まれている。スタート練習とタイム測定は前後半に分けられていて、1~5班が前半で6~9班が後半。まず前半組が先に着水して、後半組は前半組のタイム測定などが終わるまでは着水せずに陸上待機となる。登番順の班分けなら、まずは先輩陣が先に水面に下りて、若手たちのボートがその間は陸上に置かれたままになるわけだ。ところが、選出順だから山川美由紀のボートはずっと陸上にあったし、山川波乙のボートは早々に水面へ。波乙は124期、こんなに早くボートを下ろす前検は間違いなく初めてだと思う。ベテラン勢では、前年度覇者の岩崎芳美や海野ゆかりのボートも長らく装着場に置かれたままだったりした。

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 海野は、モーターを装着したのが最も遅かった。これは何も前検後半組だったからではなく、半ばルーティンともいえる。海野はモーターを受け取ると丁寧に時間をかけて点検し、装着にも時間をかける。男子で言えば今垣光太郎が同じタイプで、だから前半組のときには試運転をする時間が取れずに、スタート練習とタイム測定に臨むことも多い。前半組と後半組の間には20分ほど、後半組の試運転タイムが設けられており、今日の海野はしっかり試運転を走ることができたはずだ。
 まあ、珍しい前検だったことが結果に影響をもたらすとはもちろん思えないが、実に新鮮な前検の風景だった、という次第。同じくファン投票で出場選手が決まるSGオールスターもこの方式になったりするのだろうか。

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 さてさて、前検が慌ただしいのはいつものことで、どの選手も忙しそうに動いているわけだが、今日はその慌ただしさが増しているように感じられた。まず、整備室がピットのいちばん奥にあること。モーター格納庫も整備室に隣接しているから、選手が受領するのは整備室ということになる。そして芦屋のピットの形状が細長いこと。ボートがピットの手前のほうに置いてあったりすると、架台に乗せたモーターを長駆運ばなければならなくなる。忙しい前検だから、そうなると走る! モーター架台をゴロゴロ転がして走る! 走るのはその選手だけではない。装着をヘルプしようと後輩が駆け寄って並走! かくして、ふと見回すとピット内を多くの選手が駆け回っているという光景になっていたのであった。

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 さらに、若手選手は大変だ。自身の装着作業をしながら、整備室のほうに気を配る。同支部や同地区の先輩がモーターを運び出したら、自分の作業を後回しにして走る! そして先輩の装着をヘルプ。さらに架台を置き場に運びもする。たとえば柴田百恵。静岡の先輩はもちろん、東海地区の先輩が整備室から姿をあらわすたびにダッシュ! もちろん自分の作業についてもキビキビとこなす。思わず背中に頑張れ!と声をかけたくなろうというものである。若手たちは明日からも走り回ることになるだろうが、オッサンは応援しているぞ!(PHOTO/池上一摩 TEXT/黒須田)