BOAT RACE ビッグレース現場レポート

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THEピット――整備の手は止まらず

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 午後もまた、整備室が盛況だ。SGでもこういう日がないわけではないが、女子戦のほうが多いような気がしますね。まず目を引いたのは長嶋万記だ。初日4着6着。1号艇があってのこの成績は、明日以降を考えても厳しい。そして、機力的にもまた厳しいということだろう。9R6着後に速攻で整備に着手しているわけだから、なかなか深刻だ。本体を分解しての大整備だけでなく、さらにキャブレターの調整も行なっていて、終盤の時間帯では間違いなく最も多忙な時を過ごしていた。この整備が実を結んで、明日は巻き返し成功となるか。

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 朝も整備する姿を見かけた竹井奈美が、レース後も本体をバラしていた。4Rはキャリアボデーの交換を行なっていたわけだが、午後は本体。8Rは逃げ切って結果は出したが、まだ物足りないということか。あるいは枠の利がなければやはり厳しいということだろう。

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 やはり1Rでキャリアボデー交換をしていた寺田千恵も、8R3着後に本体を分解。整備士さんと相談しながら、整備に取り組んでいた。遠目からは、部品交換というよりは、細かい部分の調整と見えた。実際どうなのかは、明日の直前情報を確認したい。百戦錬磨のテラッチが、今日2走して辿り着いた整備なのだろうから、きっちり直してくる可能性は高そうに思えたがどうか。

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 そして、これまた5Rでキャリアボデー交換をしていた大山千広も、まったく同じ動き。9R3着後に本体整備だ。5Rはいわゆるドカ遅れをやらかしての4着だったわけだが、9R3着では異変を感じたということだろうか。作業途中に競技本部から呼び出しのアナウンスがかかったり、レース後にエンジン吊りに真っ先に駆け付けたりと、慌ただしいなかでの整備だった。だから余計に必死そうに見えており、ということでどこか健気にも見えるわけである。明日は12R1回乗り。やはり朝から必死の調整に取り組むことになるだろうか。

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 あとは、今日嬉しい水神祭をあげた中川りながキャブレター調整をしていた。水神祭がゴールではないわけだから、さらに上積みをはかろうという姿勢は素晴らしいと思う。明日勢いに乗れれば、台風の目になるかも。

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 岩崎芳美はギアケース調整。それにしても、本当に岩崎のお人柄には癒されます。すれ違うと「暑いですね~、ほんとに!」と声をかけてくれるし、他の選手への気遣いを見せていたりするし、猛暑の中の一服の清涼剤、ってやつですよ、ほんとに。やっぱ肩入れしたくなるよね。今日は大きな着を並べてしまったが、ここからの逆襲に期待します。

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 女子戦らしい光景というか、猛暑のなかで試運転を遅くまでしている選手はやはり多かった。1R1回乗りだった原田佑実がラストの中の一人でした。切り上げて陸に戻ってヘルメットを脱いだら、やはり汗だく。しかし、その汗が美しい、と思います! 明日は9R1回乗り、やはり朝から試運転と調整に励むことになるだろう。

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 さて11R、浜田亜理沙がまくり差しで細川裕子のふところを捉え、さらに高田ひかるも上位争いに加わった1周目ホーム。48号機のパワーはさすがで、細川が振り切るかとも思われたのだが、2マークで細川は浜田の舳先に接触してしまい大きく流れ、ほとんど3艇による大競りという展開になっている。その間隙を突いて差し上がったのは松本晶恵。一気に先頭に立って、幸運な逆転劇となった。というわけで、ピットに戻ってきた松本はニコニコ顔なのだが、それ以上に出迎えた仲間たちが笑っていた。ラッキーだったね、って感じだろう。細川のエンジン吊りから離れた池田浩美も松本を指さしながらニッコニコ。ボートレースにはこういう展開も起こりうる。そして松本の周りは笑顔になる。

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 で、浜田は陸にあがるや細川のもとに駆けていき、頭を下げている。細川は左手をあげて、気にしないで、と応えていた。それでも、ヘルメットを脱ぐと、そこには悔しさにまみれた顔が。浜田に対して禍根はないが、4着という結果にはとにかく納得がいかなかったのだろう。好機を相棒にしているだけになおさらだ。パワーの凄さは今日の2走で見せつけた。この敗戦がバネになって、明日は怒濤の強さを見せつけてもおかしくないだろう。

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 ヘルメットを脱いだ時、同じような表情を見せていたのは、なんと10Rの平高奈菜なのであった。3コースからまくり一撃の快勝。だというのに、まったく笑顔は見えず、むしろ顔をしかめていたのであった。なぜだろう? まあ、平高のスタートはコンマ19で、内はそろってコンマ32。スタート勝ちという面はあって、決して納得のいく足色、結果ではなかったのか。これをラッキーと笑って済ませないあたりが勝負師平高、ということか。前半は5着で、なんとか巻き返した格好。明日はさらにピッチが上がってくるだろう。(PHOTO/中尾茂幸 黒須田 TEXT/黒須田)