BOAT RACE ビッグレース現場レポート

BOAT RACE ビッグレースの現場から、精鋭ライター達が最新のレポートをお届けします。

THEピット――若者たちの勝負駆け

f:id:boatrace-g-report:20210827222855j:plain

 8Rで丸野一樹が逃げ切り1着。得点率を6.17とした。この時点で18位。勝負駆け成功! といっても、なにしろボーダーがなかなか下がらなかったから、実際は9R以降の結果を待たなければならなかったが、それでも大けがを克服しての復帰戦でこの成績、お見事と言うしかない。勝利者インタビューなど一通り終わったところで顔を合わせたが、ひとまず復帰後初勝利について純粋に頬をほころばせていた。

f:id:boatrace-g-report:20210827222914j:plain

 逆に、攻め切れずに4着となり、得点率6.00まで落とした松尾拓は、悄然とした様子。本来この数字は予選突破に充分ではあるのだが、この時点ではかなり厳しい状況となっていた。また、やや中途半端にも見えるレースになったことを悔いてもいたか。足は良かっただろうから、なおもやもやは消えないだろう。

f:id:boatrace-g-report:20210827222935j:plain

 9Rでは、磯部誠がピット離れで遅れて、回り込んだものの誰も譲らず6コース。これが響いて、3着条件の勝負駆けにも失敗してしまった。磯部はピットを出たあと艇がバウンドするようなかたちで遅れており、それを心配した先輩たちもレース後は磯部を取り囲み、何があったのかを尋ねていた。このレースを戦った峰竜太も気遣って声をかけている。そんななかで磯部は憤懣やるかたないといった表情。地元SGの勝負駆けが不完全燃焼に終わったことは、ひたすら胸を締め付けるものだったに違いない。

f:id:boatrace-g-report:20210827223227j:plain

 この9Rは羽野直也が1着! 先に2コースから差した峰竜太を捉えるナイスまくり差しだ。これは自信にもつながるはずの一番で、レース後は穏やかな羽野が充実し切った表情を見せていた。また、勝利者インタビューのブースでは、放送前にいろいろな人に声をかけられて、スーパースマイル! 羽野くんって、こんなに笑うのか! いや、笑うだろうけど、あまりピットでは見せないとびきりの笑顔だったのである。ファンに見せたかったなー。

f:id:boatrace-g-report:20210827223252j:plain

 さて、11Rで茅原悠紀が大敗し、18位圏内から転落してしまった。6号艇はさすがに遠く、緑のイメージがある茅原とはいえ、如何ともしがたかったか。
 この結果を受けて、丸野が18位に! 10R終了時点では19位だったものが、滑り込みで準優進出だ。丸野はこのことを把握していなかったようで、こちらの「セーフ!」のポーズに目を丸くしていた。いやはや、本当にお見事。「日に日にターンも元に戻りつつあるでしょ?」と手応えを感じてもいるようで、準優は6号艇でも侮れないかも。そういえば、GⅠ初優出のヤングダービーも、予選18位だったな……。

f:id:boatrace-g-report:20210827223337j:plain

 若者たちの勝負駆けはこれくらいにして、マスターズたちの勝負駆け。11Rは濱野谷憲吾が3着に入り、18位圏内からの転落を食い止めた。2マークのターンなど、若々しかったですねー。本人も手応えがあったのか、レース後はゴキゲン。池田浩二らと笑顔を交わしながら控室へと戻っている。

f:id:boatrace-g-report:20210827223403j:plain

 そして、名人・原田幸哉が予選トップ通過! 準パーフェクトペースでの快進撃で、原田もご満悦の様子だ。「こういう状況で、いつも通りにやれるかどうか、ですね」。はぁ? 原田幸哉が緊張するって? かつて優勝戦1号艇でも、レース直前にこちらに話しかけてきて、30分ほども談笑していた人である。たしかにこの状況は久しぶりだが、緊張で震えるような男とは思えない。ただ、本人が心配する通りになったら……。明日の早い時間帯のお楽しみは、「原田幸哉がいつも通りかどうか」を確認することだ。(PHOTO/中尾茂幸 池上一摩 TEXT/黒須田)