BOAT RACE ビッグレース現場レポート

BOAT RACE ビッグレースの現場から、精鋭ライター達が最新のレポートをお届けします。

THEピット――1号艇3連勝だが……

10R

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 妻鳥晋也が逃げ切り快勝。初のヤングダービーで見事に優出を決めた。
 今節は香川支部は10名が大挙参戦。そのうち予選突破はわずか2人であった。しかしそのうちの1人、妻鳥は準優1号艇。香川勢はまずこの準優ファーストバトルの妻鳥に熱視線を送ったことだろう。それに応えて逃げ切った妻鳥。彼を出迎える香川勢は一様に明るく、祝福の声を受けて妻鳥は充実感たっぷりの、してやったりといった力強い顔を見せつけていた。エンジン吊りに加わった、12R登場の近江翔吾は「俺も!」とパワーを得たことだろう。

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 2着は中田達也。昨日の勝負駆けは連勝。しかも、6号艇から前付け5コースからもぎ取った1着、フライング艇にまくられながらも道中捌いての1着、ともに値千金の勝利であった。そして、準優2着で優出。確実に流れを掴んだと言えるだろう。
 それを本人も実感しているのか、レース後はノリノリだ。カメラマンのリクエストに応えてポーズをとりながらおどけたり、他選手の祝福に親指を立てまくったり。足の仕上がりもかなりよさそうで、機力的にも気力的にも上々で優勝戦に臨めそうである。

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 野中一平は3着で優出を逃した。レース後はもうしょんぼりしていて、落胆の様子がありありと見えた。2日目、松井洪弥の水神祭で飛び込めなかったときに見せた不満げな表情。今日の表情はあんなものではなかった。やはり水神祭で飛び込めないよりも、優出を果たせないことのほうが何倍も悔しいのだ。来年のヤングダービーも水神祭ではおおいに盛り上げてくれることだろうが、この悔しさを忘れず、水面のパフォーマンスでも思い切り盛り上げてもらいたい。

11R

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 中田が流れを掴んだ、というのなら、上條暢嵩は正反対ということになるだろうか。昨日の12R、フライング艇にまくられて大敗。予選順位を一気に下げての5号艇となってしまった。9R発売中のスタート練習で、上條は前付けの意思を示している(1本は80m起こしの2コース)。しかし本番は誰も譲らず、そしてスタート後に単騎ガマシの松井洪弥にあおられ落水……。今節バリバリの主役候補だった上條が、ドリーム戦を勝って好発進したはずだったのに、魔に魅入られるように脱落。勝負はこれがあるから恐ろしい。上條は地力でレスキューを降りているが、腕のあたりを押さえて顔をしかめてもいた。大きなケガでなければいいのだが……(途中帰郷)。

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 勝ったのは関浩哉だ。本番は上條が動いたものの枠なり5対1となり、100mあたりの起こし。もちろんこれは想定していただろう、コンマ10のスタートを決めてしっかり逃げて押し切った。さまざまな選手が関に声をかけているが、事故レースでは喜びをあらわにするわけにもいかない。淡々とエンジンを吊り、控室へと戻っている。
 実はその後、『週刊BOATBoy』の優勝戦展望でインタビューをしているので、ぜひそちらも見てください。少しだけ抜粋すると「いちばん良かったのは前検」「回り足に違和感があった」「しかしそれは解消されてきている」とのことだ。このモーターを引いたことで「優勝を意識している」とも言っている。明日も粛々と調整して、強い気持ちで優勝戦に臨むことだろう。

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 2着は下寺秀和。今期B1級だが、その前は6・22という勝率を残してあとわずかのところでA1級を逃したという、地力のある選手である。今節はとにかく軽快な足色を見せており、優出は何の不思議もない。こちらもやはり事故レースということで淡々としたレース後ではあったが、もちろん内心には快哉があることだろう。対戦した馬場剛は同期。その馬場にぽんぽんと腕のあたりを叩かれたときに、一瞬笑みが浮かんだ。今節は112期生は5人が参戦。その代表として、明日は優勝戦のピットに立つ。

12R

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 ラストカードも事故レースになってしまった。1周目バックで井上一輝と栗城匠が2番手並走となり、内の栗城が一回転(不完走失格)。井上は2番手入線だったのだが、陸に上がるとエンジン吊りは仲間に任せて、栗城のもとに向かっている。栗城は身体は無事のようで、自力でレスキューを降り、普通の足取りでピットに戻っている。そして、最初に謝ったのは栗城のほう。実際のところ、井上は不良航法をとられ、賞典除外となっているのだが、お互いにもちろん禍根はないし、流れの中で起こったことだと栗城も納得しているようだった。井上は2年連続優出を逃してしまったのが残念……。

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 3着の入海馨が繰り上がりで優出。昨日は滑り込み18位で準優出。今日は繰り上がりで優出。ツキは節イチか!? 事故の状況からこっそりだったが、同期の大山千広が笑顔で祝福。実はその時点では不良航法の発表はまだ出ていなかったので、入海は複雑な表情を見せつつ、同期の思いに対して笑みを返している。

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 勝ったのは予選トップの羽野直也。事故の状況関係なく、しっかりと逃げ切った。やはり事故レースでは喜びを爆発させるわけにはいかないし、そもそもそういうタイプでもないし、粛々と戻ってきた羽野。すぐにJLCの勝利者インタビューに呼ばれたこともあって、特に表情を変える場面はなかった。
 注目したいのは、実績№1の羽野vs節イチの関。今節は対戦がないし、足合わせもしていないそうだ。初のマッチアップで、どんなバトルが見られるのか。そしてその間隙を突こうとするあとの4人の動きは!? 流れからすれば、やはり外枠2人が気になるわけだが……。(PHOTO/中尾茂幸 池上一摩 TEXT/黒須田)