BOAT RACE ビッグレース現場レポート

BOAT RACE ビッグレースの現場から、精鋭ライター達が最新のレポートをお届けします。

大村グランプリTOPICS 初日

GPレディ、GO!

11R
①池田浩二(愛知)06
②桐生順平(埼玉)07
③毒島 誠(群馬)07
④遠藤エミ(滋賀)07
⑤上條暢嵩(大阪)16
⑥瓜生正義(福岡)17

 池田が逃げた。スタートは↑御覧のとおり、内4艇が高いレベルで横一線。昼の開会式で何人かの選手が「最高峰の戦い」と表現したが、極限のストレス下でのこの集中力には脱帽するしかない。

 ただ、どんなレベルであってもスリット隊形が揃ってしまえば、1マークの攻防は内から順番に有利になる。4カドから遠藤が鋭く伸びて行ったが、毒島がそれを抑えて先制アタック。例によって早くて速い攻撃も、スリット同体からしっかり伸び返した池田には届かない。するりと1マークを回って、まずはイチ抜け確定。トライアル1stは2日間の超短期決戦だからして、次なるステージへ大きく前進する14ポイントでもある。

 2着は2コースから冷静的確な差しハンドルを入れた桐生。スタート隊形&コースの利を生かした2着だが、前検で不安視していた出足系統が実戦ではかなりしっかりしており、先頭の池田にずんずん肉薄して行ったのには驚かされた。24時間で相応の上積みがあったのか、ハナから私が軽視し過ぎていたのか。現状ではまだ分からない。

 そして、もっと驚いたのは遠藤のストレート足! 夕方の特訓では昨日に引き続いて出足~行き足がもっさり重そうに見えたが、いざ本番ではその分もしっかりプラスにアジャスト。スリットラインを加速MAXで通過し、他の誰よりも鋭い飛び出しを見せた。素晴らしい!

 3番手の道中では毒島にしつこく付きまとわれ、3周1マークで大競りの展開。ここでも外の遠藤は怯むことなく絞め倒し、難敵を引き波にハメて貴重な3着=11点をもぎ取った。スタートからゴールまでGPトライアルに相応しい攻防を繰り広げ、明日の勝負駆け条件も3着。これを書いている時点で枠番は不明だが、2ndへの可能性が大きく膨らむ第一戦だったことは間違いない。(その後、枠番抽選で1号艇をGET!)

気持ちの底力

12R
①白井英治(山口)14
②椎名 豊(群馬)17
③石野貴之(大阪)18
④磯部 誠(愛知)09
⑤羽野直也(福岡)07
⑥丸野一樹(滋賀)15

 こちらもインの白井が逃げたが、スリット隊形は大波乱を予感させるものだった。仕掛け人は4カドの磯部。カド受け石野を半艇身以上も出し抜き、迷うことなく一気に絞めまくり! 昨日から「底力」という単語を連発している磯部だが、これはもう気持ちの底力を全開にしたような絞めまくりだ。

 が、白井のイン戦は例によってしたたかだ。じんわり伸び返しつつ、ややターンマークを外しながらもしっかり握り、「磯部クン、ワシをまくりに来たら大変なことになるよ」的な旋回で応じた。まくる気満々、磯部のスピードがはたと止まる。

 はやる気持ちを抑えてまくり差しにシフトしている間に、外からほぼ全速でぶん回した羽野~丸野がドカドカと差し抜けて行った。スピード豊かな若者にとって、こうした「展開のレース」はまさに絶好球と言えるだろう。内で踏ん詰まりになった椎名と石野がもたつく間に、白井~羽野~丸野の上位隊形がガッチリと固まっていた。

 自力で展開を作った磯部にとっては残念な4着かも知れないが、怯まず攻めた結果の4着。悔いの残らぬ戦いだったと思うし、明日への期待が膨らむ“底力”を魅せてくれた。レース後の枠番抽選で赤玉=3号艇を引き当てた磯部が、明日も先制攻撃を仕掛ける可能性は高いとお伝えしておこう。

新開だもの。

 さてさてGPシリーズ戦の初日は、やはりSG初出場のこの男について書かねばなるまい。118期の超サプライズ男・新開航。やまと学校の時分は「間違いなく未来の東都を背負って立つエリート」と謳われた主席・宮之原輝紀、同じく東京支部で一匹狼的な個性を漂わせていた事故点キング栗城匠、宮之原にライバル心むき出しでやまとチャンプに輝いた板橋侑我……いわゆる「118期の三羽烏」がピッカピカに輝いていて、新開や吉川貴仁らは大差の第二集団という立ち位置だった(と認識している)。

 だがしかし、118期で誰よりも早く水神祭を遂げたのは、三羽烏ではなく新開航なのである。芦屋のデビュー節での4走目。6コースからズッポリと差し抜けての初勝利は、あまりにも規格外な配当でもあった。
 2連単57万9900円!!!! 3連単22万6310円。
 なんとなんと、2連単が3連単の2倍以上に跳ね上がったのだ。なんでそんなことが?? と聞かれたら、私としては「新開だから」としか答えようがない。その後もこの118期の下克上ルーキーは、デビュー初優出もデビュー初優勝(6コースまくり差し、931倍)も一番乗りで三羽烏を出し抜いた。
 さすがにGIやSGに関する記録は宮之原らに先を越されたが、今年の新開は別路線で特大サプライズをやらかしている。現時点で16優出10V、120勝!! 優勝数も1着数もソコソコ2位に差をつけての単独トップ。
 去年は0V、65勝だった選手がなんでこんなに??
 と聞かれたら、私としては「新開だから」としか答えようがない。

 さて今日の2R、SGデビュー戦の新開は6コースから凄まじいまくり差しを繰り出したが、惜しくも島村隆幸には届かず2着となった。それでも、3着にもっとも配当の高い深川真二を連れて万舟にするあたり「新開だから」の片鱗を醸し出してもいた。
 2走目の6Rは道中で3、4着争いから、先輩の激辛の捌きを浴びて6着大敗。SGの洗礼、若さを露呈した形ではあるが、予選突破の可能性はまだまだ残されている。明日は【1R1号艇】に抜擢された新開。しっかり逃げて彼にしては順当すぎる水神祭となるのか。ただ、もしも人気のイン戦で苦杯を舐めるとしたら、そのときは1000倍級の大穴になっても不思議じゃないだろう。だって、新開だもの。(photos/シギー中尾、text/畠山)